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2008.12.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類


1970年代に初めてMMFを開発したリザーブファンドの運用するMMFが、リーマンの破綻で組み入れていたリーマンの債券が無価値となり、基準価額が元本の1ドルを割込み97セントとなってしまった。その結果、資産620億ドル(6.5兆円)を擁するファンドに600億ドルの解約が殺到、ファンドは閉鎖に追い込まれた。数日後、名門投信会社のパトナムも、運用するMMFの一つが大量解約に見舞われた。パトナムのファンドはリーマンの債券は組み入れていなかったが、解約資金捻出には組入れ証券を安値で売却せざるを得ず、そうなれば基準価額が元本割れとなってしまうとして、ファンドは営業を停止した。

リーマンの破綻や相次ぐ証券会社、金融機関の経営危機によって、投資家の不安が増大しMMFから大量の資金が流出する懸念が生じたため、米政府は最大500億ドルを投入して払戻しを保証する方策を打ち出し、FRB もMMFの大量解約があれば銀行への融資拡大を行うと言明している。

米国のMMFは7月末で3.5兆ドル(約370兆円)の資産残高があり、米国投信全体の30%を占める大きな柱となっている。そのうち、機関投資家向けのMMFが3分の2、個人投資家向けが3分の1と、機関投資家向けのファンド残高が多いことが特徴だ。大量の解約が殺到したリザーブファンドやパトナムのファンドは機関投資家専用のMMFである。

MMFは機関投資家の短期資金の運用対象となっていると同時に、米国のコマーシャルペーパーの発行高の47%を保有する最大手の機関投資家ともなっており(2007年末)、企業の短期資金調達に重要な役割を果たしている。今回、政府がMMFの強力な支援策を講じたのも、一つにはMMFの短期金融市場における役割を重視したからであろう。

幸い、個人投資家向けのMMFは、現在までのところ解約動向は比較的安定しているようである。米国MMFは、元本保証はないもののSECの厳しい運用ルールによって実質上元本1ドルを維持する運用が行われてきており、個人投資家にとっても安全で有利な資産運用対象とみられてきた。にもかかわらず今回、元本割れを生じてしまったのである。

日本でも2001年に一部のMMF(マネー・マネージメント・ファンド)で元本割れが生じたことがある。これに対応して投信業界は、米国のMMFをも参考に運用面・販売面のルールを策定し、MMFの安定性の確保を図って今日に至っている。米国のMMFが今後どのように改善されていくか、日本としても注目を怠れない。

※旬の投資情報をお届けする「今号のピックアップ」と、海外ETFの銘柄をご紹介する「海外ETFナビ」は、交替でお届けします。


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金融アナリスト 新藤正悟
(楽天マネーニュース[株・投資]第36号 2008年10月10日発行より)
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最終更新日  2009.03.09 12:55:39


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