最近、投信会社のウエブサイトで「基準価額下落についてのお知らせ」といった見出しをよく目にする。その内容は、基準価額が前日比で5%以上値下がりしたファンド名を公表したものだが、そのリストを見ると、株式ファンドだけでなく外国債券ファンドも含まれていることが注目される。株式ファンドはともかく、債券ファンドの基準価額が1日に5%以上も変動するとは、従来は考えられなかったことである。
基準価額の変動率の大小を見るのに最も適した指標は、ファンドの標準偏差である。標準偏差は、ある期間のファンドの月次リターン(分配金再投資後の月間の基準価額の変化率)の平均値から各月のリターンがどれだけ離れているか、その程度を表している。標準偏差が大きいことは、ファンドの基準価額の上下変動が大きいことを意味し、将来の期待リターンに対する不確実性が増す。つまりリスクが高くなるということになる。
近年のファンドの標準偏差の動向を見ると、リーマンショック以降、標準偏差の水準が明らかに上方シフトしている。今年の4月末に終わる過去3年間の標準偏差を、その前の2007年4月に終わる3年間の標準偏差と比べてみると、国内株式型のTOPIXインデックスファンドが14.7から19.7へ上昇となっているのに対し、グローバル株式型は平均13.6から24.6へ、グローバル債券型は5.4から12.4へと、外国投資ファンドの標準偏差の上昇が大きい。
とりわけ上昇が顕著なのは、ハイ・イールド債やエマージング債に投資するファンドで、たとえば「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」は7.9から20.8へ「エマージング債券ファンド(毎月分配型)」は9.6から19.6へ急激にレベルが高まり、TOPIXインデックスファンド並みの標準偏差を持つようになった。
外債ファンドの標準偏差が大きくなったのは、リーマンショックによる世界の金融・為替市場の大波乱を反映したものといえよう。最近は落ち着きを取り戻してきているとはいえ、株式市場・債券市場・為替市場の不安定な状況は今後もなお続くと考えられる。外債ファンドの基準価額の値動きは激しくなっており、投資リスクは高まっている。エマージング債券やハイ・イールド債券に投資するファンドは、債券ファンドというよりは株式ファンドと同等の投資リスクを持つファンドと考えた方がよさそうだ。
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(楽天マネーニュース[株・投資]第76号 2010年6月11日発行より) ==========================================================