『ユージニア』
著:恩田陸
とある町で起こった、凄惨な事件に関わりのあった人たちへの、
インタビュー形式で綴られる小説。
犯人はなんとなく序盤で匂わせているが、その手口や動機が、
多くの人々の証言によって、次第に一点に向かって集まっていく。
この人の語っている「彼」って、誰?
これはいつの話?
と、ページを行ったり来たり。
そして、あぁこれはあのことか!と、断片的だったイメージが、
段々と形を作り、ハッキリと見えていくような感じ。
見えてはいくんだけれども、「そうだ」とハッキリと語られることはなく、
結局は、真相は分からず、謎は解けないまま。
え?
で、誰が犯人なの?
彼女だとしたら、動機は??
頭の中が「?」で一杯になる、釈然としないラスト。
思わず最初に戻って、読み直したくなるような。
女神のように皆から崇められていた盲目の美少女が、
本当に求めていたものは…。
「ユージニア」
神秘的な響きの、2人だけのユートピア。
彼は、たどり着いたのだろうか。
彼女も、これから行くのだろうか…。
なんとなく読むのに違和感が…と思ったら、文字の並びが、
わずかに傾斜している。
裏ページを透かしてみると、ハッキリ分かります。
それももちろん、作者が意図的にしたことだよね。
そういう、全てをひっくるめて変な感覚に陥らせる、
手法というかテクニックが、さすがだな、と思った一冊でした。
この本についての、恩田陸氏のインタビューは コチラ
。
【参考】
◆その他、恩田陸氏の著書は→
♪本日のBGM
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