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2000年3月8日
やっと最後の朝がきた
そう思うほどに恋こがれた帰国の日がやってきた
昨夜は相も変わらず空港泊だったので飛行機の中でも眠いことには代わりはない。
だが旅の間に芽生えた熱い気持ちはやり場のないほどに高揚している。
今晩は帰国後早速彼女と会う予定である。
そして僕は彼女の新たなる決意を告げるつもりでいるのだ。
思い起こせばほんの2ヶ月前。
彼女に見送られて成田空港のゲートをくぐった元日のあの日が遠い昔のことのようだ。
僕は成田へと向かう飛行機の中でもういちど猿のぬいぐるみを握りしめてみる。
この数ヶ月のことが走馬燈のように脳裏をよぎる。
ほんの数ヶ月前に奥多摩で二人過ごした夜を思い出して切なさが胸にこみ上げる。
そんな思いはきっと彼女も一緒だろう
でも僕らはそんな切ない思いを昇華して新しいステージにたたざるを得ないのである。
だから・・・
と僕は後ろ髪を引かれつつも、彼女への想いを捨てて、自分の夢に駒を進める
自分が夢を叶えることが、障害者となった彼女への最大の勇気づけであるのならば、
ならば・・・
僕は精一杯自分の夢を描こう!
そして彼女を勇気づけよう!
なだめたり、すかしたり、言葉をもって励ましたりすることは誰にでもできる
でも僕のように行動をもって彼女に勇気や感動をあたえることができるのは絶対に僕しかいない!
絶対に僕しかできない!
だから自分が彼女にしてあげられる唯一絶対のことは、ただ「自分の夢を叶える」
だからこそ、彼女への特別な感情は捨て去って、ただただ、彼女に勇気や感動を与えるべく、自分の夢を叶えていくべきなのである。
そして・・・・
そんな錯綜した想いを抱えながら飛行機は成田へ着陸しようとしていた。
冬の気配濃厚の68日前、元日に彼女に見送られた成田も今でははかすかに春の気配がした。
時の流れに驚愕をしつつも、僕の目の前には新たなるステージへの期待と不安で胸がいっぱいになっているのであった。
第3章~完~