8月の前線豪雨並びに9月5日の大雨による災害で亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに被災されたすべての皆さんにお見舞い申しあげます。また、対応された行政関係者、消防団、建設業者、地域の方々やボランティアの皆さんに感謝申し上げます。
8月前線豪雨はとりわけ諏訪、上伊那、木曽地域に甚大な被害をもたらしました。9月5日には茅野市高部の下馬沢川で土石流災害が発生し、大規模な被害が起こっています。わずか1か月の間にこのような大災害が同じ諏訪地域でおこることはかつてなかったことであり、気候危機のすさまじさを感じています。
(1) 8 月 13 日から 15 日までの岡谷市の総雨量は350mm。特に8月14日は深夜3時から4時の時間雨量が44mmとなり、早朝5時29分、川岸駅前の渓流「中大久保沢」で土石流が発生し、母子3人がなくなるという大変痛ましい事件となりました。現場は土石流警戒区域に指定はされていたものの、普段は水も流れていない小さな沢での出来事であり、近隣住民の皆さんは「まさかこんなところで土石流が起こるとは思わなかった」「早朝ドーンと大きな音がしたのでビックリして飛び起きてみたら向かいの家に土砂が流れ込んでいた」と突然の出来事に驚いています。すでに諏訪建設事務所に対応いただき応急復旧はされていますが、依然として避難指示は発令されたままです。 土石流の原因と隣の「大久保沢」を含め、今後の本格復旧の見通しについて建設部長に伺います。
(2)今回の土石流は平成18年湊及び橋原の死者8人を出した同じ西山地域で起きており、小田井沢川や本沢川も同じように今回も荒れており、当時設置していただいた砂防堰堤は山腹崩壊による流木と土砂で完全に埋まっていて、もしこの堰堤がなければ再び惨事に巻き込まれたのではないかとゾッとする状況です。
危険な渓流や沢は数えきれないほどありますが、岡谷市では平成18年の災害以前はたった4基だった砂防堰堤でしたが、災害復旧や下流域に保全施設がある地域を優先的に対策し、現在は40基の砂防堰堤があるそうです。
これから台風シーズンにもなり、地域の皆さんは安全に過ごせるか心配し、堆積土砂の撤去を切望しています。 優先順位を考えながら堰堤にたまった土砂のしゅんせつをしていただいて機能回復を図っていただきたいがいかがでしょうか。また、県下にたくさんある堰堤も同じような状況かと思いますが点検体制と適切なしゅんせつが必要だと思いますが対応について伺います。
(3)次に大きく陥没し、通行止めが続いている国道142号線について伺います。ここも「大久保川」に大量の水が流れ込み、横断する道路下部を洗堀して土砂が大量に流れ、周辺の約40件に避難指示が出されました。道路には直径30センチの水道管や下水道管が通っており、かろうじて破損しなかったことが不幸中の幸いだったと町長も語っています。現在は不安定な土を取り除きブルーシートがかけられたままになっていますが、 道路陥没の原因と復旧の見通しについて伺います。
近隣住民の皆さんのお話ではこの川は平成18年の豪雨災害の時にも氾濫し「また今度も同じように荒れた。繰り返さないように抜本的な対策をとって欲しい」と口々に言っておられます。
道路の復旧とともに雨が降れば安心して寝られないという「大久保川」上流部の抜本的な治水対策を住民の皆さんの意見などもよく聞きながら図っていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
( 4 ) 今回県下の被災された皆さんに対し国の生活再建支援法の対象にならない方々に対して「信州被災者生活再建支援事業」で救済するための補正予算が盛られていることは歓迎します。しかし、被災地を回って要望いただいたことは住宅は損壊しなかったが、土砂が敷地内に入りこむことによってエアコンの室外機や給湯器などが使えなくなったが買い替えには費用がかさむため支援はあるかということでした。 これらに関する公的支援はあるのでしょうか。見舞金や民間の保険だけでは救済されない場合もあり、今後何らかの支援策を検討する必要があると思いますが危機管理部長の見解をうかがいます。
(5)土砂災害や洪水の危険性に対し、命や財産を守るためにはハード面の対策とともにソフト面での対策の重要性を改めて認識しているところです。各地で防災ガイドやハザードマップなどがつくられています。いったんは全戸に配っていてもなかなか日常的に自分たちの住んでいる地域がどんな状況にあるのか、自覚することが少ないと思われます。犠牲者を一人も出さなかった茅野市高部の住民の取り組みは今後大いに教訓としなければならないと思いますが、 土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域、浸水区域などハザードマップの住民への啓発や周知、防災や減災への備えについて伺います。
( 6 ) 次に避難所の環境改善についてうかがいます。
被災された方々は学校体育館や公民館、地域コミュニテイ施設、提携する旅館などに避難されておりました。不安を抱えながらの避難生活。簡易テントなどが入り、プライバシーは守れたものの冷たい床にシート1枚、毛布1枚ではつらい、食事も弁当やインスタントなので温かいものが食べたい、中には弁当は自分で買って食べている、毛布も自分でもってきたという声も聴かれました。 TKB (トイレ、食事、ベッド)を中心に避難所の環境改善のため県では「避難所運営マニュアル策定指針」を示し、市町村と取り組みを進めています。
しかしまだまだ県下をみても地域ごとにアンバランスがあり、避難所の環境改善の取り組みには課題があると痛感しています。
いっそう市町村と認識を共有して避難所の環境改善を進めていただくこと、簡易テントや段ボールベッドなど備蓄に対する支援、さらには高齢者等避難指示が出ても要配慮者は体育館等には避難できないとの声も聞かれます。要配慮者への避難のあり方についても伺います。
2、国道20号諏訪バイパスについて建設部長に伺います。
半世紀前に一旦とん挫した国道20号諏訪バイパスですが平成28年11月に山側ルート案が示されて以降環境アセスが都市計画変更手続きと併行して進められています。
準備書への住民意見は261通提出され関心の高さが伺えます。具体的な中身が明らかになりバイパスの姿が見えてくるにつれ住民から不安の声があげられ、県の技術委員会でも議論が重ねられていますが、いくつかの点について部長に伺います。
(1)諏訪バイパスは8割方トンネル掘削する計画ですが、温泉・湧水、水源や諏訪5蔵、植生など環境面への影響はないかとの不安が広がっています。下諏訪町の6月議会では下諏訪温泉旅館組合、慈雲寺、諏訪大社が「町民の意見を反映し自然環境を保持するよう求める陳情」を提出し、全会一致採択されています。町長も議会で「住民の声を聞き、不安や疑問を解消したうえで進めることが大切」と答弁されています。 住民からの不安や疑問にどのように対応されていくのかご所見をお聞かせください。
(2)事業地一体を長年研究対象としてきた信州大学名誉教授の小坂共栄(ともよし)先生から知事や技術委員会に要望書が提出されています。ここでは調査が著しく不十分でトンネル掘削する地域が、過去に長地トンネル、湖北トンネル、塩嶺トンネルと大規模な出水事故や陥没事故があったことに触れ、不十分な水質データによって「掘削による温泉源泉への影響は軽微である」と結論付けていることに対して根拠薄弱だと指摘、また、準備書では地質に関する調査がたった2日間だけであり、ほぼ文献調査で済ませいるのは論外だと厳しく指摘しています。
先生は トンネル掘削による影響評価を実施するためには地質学的な調査とともに水理地質学的な調査を長期間にわたって実施・観測することが必要だと述べています。
温泉や酒造りに影響が出て観光や経済活動にダメージが生じたり、また陥没事故などが起こり近隣に土砂などが入って被害が出てからではとり返しが付きません。 専門家の指摘にどう答えていくのか県の姿勢も問われます。見解を伺います。
(3)今回の豪雨による土石流災害をみても、中央構造線と糸魚川静岡構造線が交わる地域の断層に沿って計画がされていることに「安全性は大丈夫か」との声も聞かれます。特に明かり部になっている下諏訪町高木の大沢川や津島公園一帯は土砂災害警戒区域になっており、8月の豪雨で大規模な土砂崩落がおきた場所でもあります。 安全性についての検証をどう行うのか伺います。
(4)掘削工事による建設発生土は約150万㎥と予測し、うち21万㎥を盛土材として再利用し、残りの129万㎥を区域外へ搬出するとされています。住民の皆さんの中でも発生土をどこにもっていくのか、工事用車両の交通量はどの位なのか、アクセス道路が狭いのに安全性は保たれるのかと心配の声が上がっていますが準備書には記載がありません。 発生土の搬出先や運搬するトラックの台数などはどうなっているのか伺います。
100年に一度どころか19号台風、去年の7月豪雨、今年の災害と毎年のように大規模な災害が起こり、その大きな原因に気候変動が挙げられています。災害への備えや復旧・復興とともに気候危機に対する本気の取り組みは待ったなしです。長野県は2030年までに10年比で二酸化炭素を60%削減する野心的な目標を掲げています。その達成のために覚悟をもってともに県民運動を盛り上げることを呼び掛けたいと思います。
諏訪バイパスを心配する皆さんは植生や地質や水源問題など自分たちの問題であるとともにこれからの子どもたちにとって本当に住みよい地域になるために何が大事かと真剣に学習を重ねています。この声に真摯に耳を傾けていただきたいことを重ねて求めます。
3、次に新型コロナウイルス感染症対策についてこども若者局長及び健康福祉部長に伺います。
(1)年末年始を控え第 6 波が懸念されます。ワクチン接種が進み、社会全体に免疫力が広がることが期待されますが、ワクチン接種対象外の10歳未満の陽性確認や若年者の多いのが5波デルタ株の特徴です。一日当たりの感染者数に占める10歳未満の子どもの割合は8月平均は7.6%でしたが9月は保育所などで集団感染が発生し比率が4割近い日もありました。
未来ある子ども達を感染から守らなければなりません。
保育所や児童館、児童センター、学童クラブなど密にならざるを得ない環境下で子ども達を感染から守るための取り組みをどのように実施しているのか伺います。
国で児童福祉施設に簡易検査キットを配るとされていますが その事業内容と必要数が配られているのか伺います。保育園に配るだけでなく、園を通じて家庭にキットを配布し子どもの場合家庭内感染が主なので不安があればまず自主検査を迅速にやっていただき早期発見に努めていただきたいがいかがでしょうか。
(2)抗体カクテル療法の実施体制が整えられつつあることは歓迎しますが、あまり経験したことのない治療法のために医療機関に戸惑いもあり研修の要望もあります。県内30の医療機関で実施できる体制を整えているとのことですが 保健所などが主導して研修の機会を設けるなど丁寧な取り組みを進めていただきたいがいかがですか。
(3)これから冬に向かいコロナとともに、風邪や季節性インフルエンザに対する対応など発熱外来の利用がいっそう増加してくると見込まれます。昨年度は「発熱患者等診療体制確保事業」が実施され、検査に対する補助などがありましたが、今年度は予定されておりません。 RS ウイルスの流行もあり発熱によって医療機関を受診する小児も増加してきていますが、このままでは医療機関の持ち出しとなり経営の圧迫が懸念されます。
長引くコロナ対応で医療関係者は疲弊しており「使命感だけではやっていけない」と悲鳴が上がっています。 第 6 波を見据え初期対応として重要な事業なのでせめて昨年同様実施できるよう県としての財政支援を求めますがいかがですか。
小さい子供たちはしばしば発熱します。マスクもつけられず保護者や保育者と密も避けられない環境下で神経を使って保育していただいています。無償の検査キット配布は必要だと重ねて申し上げ質問を終わります。