先月、この飲み会に新しい仲間が増えた。その人は富山で会社を経営している鈴木さん(故あって仮名である)。彼は焼津の隣町に居を構え富山の仕事場まで車で往復しているのだが、高速道路ではなく北アルプスと中央アルプスの隙間の一般道を通り抜けるのを常としている。
そんな彼の趣味は山岳地帯に踏み込み渓流釣りをすること。イワナだのヤマメだのを富山往復の度にしているそうだが、たまたま天然物の鹿肉が手に入ったとのことで、今回、お裾分けを頂いた。静岡近辺では山梨県鳴沢村あたりで鹿を養殖しているようだが滅多に店頭に並ぶものではなく、極めつきの貴重品である。
鹿肉の冷凍ブロックは2個。ほんの少しの小さい方は背ロースで刺身用、大きい方はモモ肉で加熱用である。鹿のピョンピョン跳びはねている様子からご想像いただけるとおり、鹿肉は余計な脂肪分がない。うっかり加熱するとボソボソになってしまうが、加熱しないとE型肝炎の原因になるというやっかいな肉でもある。
その背ロースは半解凍の状態で摺り下ろしたリンゴ、ショウガ、ニンニク、醤油に漬け込み下味を付け、自家製サンチュの上に並べて刺身でいただいた。味はというとユッケに似ているが、もっときめ細かく癖がまったくない。鹿の顔つきに似た上品な味わいのとろけそうな刺身だった。
モモ肉は昔、鹿肉を食べたときの記憶を頼りに鍋にしてみた。身が締まりやすいと聞いていたので低い温度で軽く加熱するだけに留めたのだが食感はいまいち。脂気が少なくボソッとした感じで、もしかすると一晩くらいじっくり煮込めば良かったのかもしれないが、前日食べた刺身の印象が強烈で鍋は今回限りとして、別のレシピを試すことにした。
翌日は鹿のモモ肉で竜田揚げを作った。コロモの中に肉汁と旨みを閉じこめてやろうという作戦である。そして、その竜田揚げをダイコンおろしとめんつゆで食べるという前日の失敗を教訓にしたレシピである。前回同様、日本酒、ショウガ、ニンニクで臭みを取り下味を付け、やや多めの片栗粉でさっと揚げる。これをサニーレタスにくるんでダイコンおろしのタレで食べた。結果は大成功。よくやるクジラの竜田揚げよりもはるかに柔らかで臭みもなく何とも上品な鹿のモモ肉レシピが完成した。
残念なのはせっかくレシピを完成させても滅多に鹿肉が手に入らないこと。楽天で調べたら北海道のエゾ鹿のお取り寄せが手に入りやすいようだが決して安くはない。
安倍川の上流に出向いて鹿を捕まえようかな。いかん!いかん!許可もなくそんなコトしたら新聞沙汰になってしまう・・・・
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