10koの徒然日記

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2010年05月31日
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カテゴリ: 小説
 「はぁ~い、くっさなぎぃ♪」

 蝶子が事務所のドアを開けたのは、そろそろ閉めて帰ろうと思っていた時だった。

 「なんで、蝶子でくるんだよ。摩利さんはどうした」

 「摩利は仕事で疲れているから、代わりにアタシが誘いに来たわけぇ。ねー、飲みに行こー」

 「ヤダ。昨日遅かったから、今日は帰って早く寝るの」

 「あーヤダヤダ。こっから、おっさん道まっしぐらになるわよお」

 自分もストレス抱えて摩利さんは寝ちゃったのだろう。で、無意識に蝶子が出てきて、おれ

 とこんにちわってことか。1人で街に放したら何するかわからねぇもんなあ。

 「仕方ない、つきあうか」「やっりぃ」



 そうしておれと蝶子はちょっとでこぼこコンビで(ヒールのせいもあるが、アイツの背の方

 が高い)夜の街へ繰り出した。


  「アッタシ、ここがいいー」店名【パープルレイン】なにか嫌な予感がする。

 「最初は居酒屋でいいじゃないか」「やぁーよ、いっくぞー」蝶子はおれの首の服を掴んで

 ひきずっていった。「いやじゃーああぁあああぁああ」


 思った通り、ハードマッチョな店だった。かかっている曲もなつかしのプリンスの【パープ

 ルレイン】そのもの。蝶子のすごいところはどこでも馴染んでしまうところだ。

 5分後にはゴリマッチョも細マッチョもみんな蝶子の周りに集まってワイワイ騒いで楽しそ

 うに飲んでいる。「すごいヒトだね、あのひと」おれの側にきた細マッチョが言った。

 「女なんだけど、なんだか仲間ってカンジがして。でも体は女の人なんだけどね。」



 うっ。ここは、ただのハードマッチョな店じゃなかったのか。

 「ボク、結構アナタみたいな方もタイプなんだ。」「そ、そお?」

 少し離れようかなと思ったときだった。「抱きしめていいですか?」え”。

 言うなり細マッチョくんはおれをぎゅうと抱きしめていた。ちょ、ちょうこ、たすけて~。

 「おもったとおり、あなた、ここちいいですね」細マッチョくんはうっとりしている。



 言葉が出なくて、心と体全体で蝶子にオーラを送った。「ん?」とマッチョ群に囲まれてい

 た蝶子がちらりとこちらを見た。

 「あっら~、くさなっぎ~、よかったじゃなぁい」言うに事欠いて、なんだとう。

 そういって蝶子は空になったグラスをマッチョに渡し、次のお代りを要求している。

 もうあごで使っているのか、この女王様は。

 「可愛い子でよかったじゃない。お店のNO1?すご~い。なっぎ~、もてもてじゃん」

 そこへおかわりが来て、受け取り、喉が渇いていたのか、蝶子はグイッと一気に飲み干す。

 おおっと声と拍手が上がり、マッチョ達は蝶子を女王様上げした。しっかし、そういうのが

 本当に似合う女だな。

 「なぎさん、って呼んでいいですか。ぼくも、していいですか?」「へ?」

 ぬおおおおおおお。細マッチョくんは笑顔でおれを(このおれを)お姫様抱っこした。

 「き、君。大丈夫?おれ、かなり重いんだよ。このまま倒れないでおくれよ」

 「大丈夫ですよ。鍛えてますから。」

 にっこりとする笑顔はさわやかなスポーツ美青年だ。そのままおれの耳元に唇を寄せて言

 う。「どうです、このままお店ハネたらホテルいきませんか?ぼくあなたみたいな方によく

 誘われちゃうんですけど、あなたちっとも誘ってくださらないから」

 「お、お、おろしてくれる?」「いいと言うまで、おろしませんよ」にこにこと笑顔で言わ

 れる。「お、おれ、のーまるなんだ」「じゃあ、ぼくと初めてしましょ」

 しない、しない、しない、しない!断じてしない!蝶子~、うらむぞ~、よくもこんな店に

 つれこんだなあ~・・・。

 どよぉ~んとした怨念が届いたのか、作り笑いのとりなした蝶子がこっちにきた。

 「おもりしてくれてたの、ありがとね。楽しみは次にしておいて。その方がいいでショ」

 そういうなり、すっと細マッチョからお姫様抱っこを解いてくれた。ちょおこぉ~。

 おれは、元凶も忘れて泣きつきたくなった。


 「じゃ、またきてね、蝶子ちゃん」「ン、また来るわ、ママ」「なぎちゃんもきてね」

 「あはははははい」扉のところで店全員がずらりと並んで見送ってくれた。

 おれの財布のカードも今月も危ないかもしれない。

 「居酒屋いこうよ、くさなぎ」「おっつ、めずらしいな」「なんだか行きたくなっちゃっ

 た」「はいはい」「安い所でいいよ」「それは歓迎だな」

 夜風に吹かれて、蝶子の長い髪が少しそよぐ。おれの髪はまだ大丈夫かな。わかってる、こ

 の組み合わせは美女とさえないおっさんだ。だがいいじゃないか。そんな2人で飲みにでか

 けても。たまには仕事を忘れて酒を楽しみたい。そんな日があったっていいじゃないか。

 おれたちは、冗談をいいながら明るい灯火のあちこち灯る方へと惹かれていった。

 それこそ灯りを求めて飛んでいく虫のように。

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最終更新日  2014年11月22日 21時15分42秒
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