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ふだんはいつもからっぽの腕が君の腕につかまるはじめて歩く街のはじめて歩く道雨の中 狭い道障害物 人の流れさまざまな物が君と私の腕を引き離す君の温もりが少し遠ざかるけれど君は少し前からほんのすこし歩みを緩めて私の半歩前まで近づいて顎で黙って自分の腕を示すその先には君の腕が丸い形を作って私の右手が滑り込むのを待つその姿はとてもあたたかで見上げる顔のその向こうはるか上から降る雨がいつの間にか綿毛のような雪になるけれど寒ささえも感じないほどに安堵する体温で凍える寒い夜をあたためる君と その腕あたたかい飲み物をいっぱいに満たして悴んだ心のなかまで温める大きなマグカップの取っ手にも似ていとしくて触れずにはいられない君は心をあたためる飲み物寒い冬の一日が君がいるだけであたたかくなる離れたって 平気君の腕はいつだって心のなかあたたかさを変えずにいつもそこにあるから
2008.02.20
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さよならに会うために一人で空を飛ぶたどり着いた大きな街のなにもない小さな部屋で私はさよならに会ったさよならは「君が幸せになるように」そう言って小さな植物を私の耳に置いた私はお返しに横たわったさよならの上で雪の上を月の光が転がる音を一晩中鳴らし続けた北の国から来たさよならは雪雲を連れていて私の心と大きな街の空に白い 白い雪を降らせて見せるはじめて見る心の空の雪雲身を切るような風と広がる 白い吐息そしてその白い世界のなかにちいさな緑色の植物ほんの一瞬だけ白く世界を覆ってさよならは元の世界に戻っていったさよならはさよならも言わず私の頭を無造作に撫でまた会えると言ったけどさよならはやはりさよならで帰る元の場所があるさよならの雪が溶けて暖かな春が来てもさよならの雪は忘れないし植物もここで生きるさよなら さよならさよならに会えてよかった言葉では言わなかったけど会えなくなることは風が知ってたさよならに瞳を閉じて雪が溶けたらまた ひとり空を見上げようさよならさよならありがとうさよならネット詩誌 MY DEAR今月の新作掲載作品主催者・島様に感謝
2008.02.12
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