Laub🍃

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2010.04.05
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俺の妹はアイドルだ。
けれどアイドルとしての妹の顔と、普段の妹の顔は違っている。
アイドルの妹はか弱く幼いが、普段は姉御肌でとてつもなく強い。

妹のアイドル像プロデュースを手伝った俺としては、アイドルとしての人気を得ている妹によかったなという思いばかり抱く。

けれど妹はその売り出している顔でもって、相手の同情を買い、そうして相手の内情を打ち明けられ、最終的にこんな人だと思わなかったと言われるのだ。


妹はあまりにも有名になりすぎた。だから今更化けの皮を剥がせないのだ。
けれど今までいくつもいくつも味方が攻撃してきたせいで、今更剥がしたらどうなるか分からないのだと言う。

「おにーちゃん」

妹を手伝った手前、投げ出す訳にもいかない。



……そして弱い妹もまた、妹の一部なのだ。

「……あのなあ、俺から見ればお前はアホで、強くて、でも弱い人の気持ちが分かる優しいやつでもあるよ」
「……でもだからって、弱い人の攻撃にまで共感しすぎるな」

俺と妹で考えた、そのアイドル像は、俺達がまさに欲していたもので。
アイドルが有名になるごとに、俺と妹はアイドルの親みたいな気分になっていて。
だから。

「中のお前は相変わらず『親』なんだろ。外のアイドルをプロデュースしていく。
 ……どっちが今ピンチなのか考えて、そうして腹をくくって、またいくしかねえだろ」
「…うん」



…ふと思った。

この強い妹こそが、仮面なんじゃないかと。


アイドルなら攻撃されない。攻撃した奴をむしろファンが攻撃してくれる。
だからそこで妹は本音を出しているんじゃないかと。

…それでも俺は、この強い妹を、自分の出来る手で、守っていくしかない。





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最終更新日  2018.08.12 02:50:54
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