Laub🍃

Laub🍃

2010.05.04
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カテゴリ: 🌾7種2次表
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


原型を留めない赤に埋められた部屋で、叫び続ける安居だけが浮かび上がっていた。


こんなものを記録映像として取っておくなんて、まったく俺達は悪趣味だ。


*******

餌兎・死

*******


本当にどこからともなく要は現れる。
だから俺も今更驚かない。
振り向かずに話しかける。


「ええ」
「心を壊して満足か、倫理観を汚して満足か、要」
「壊れたら治せばいいんです。汚れたら洗えばいい」
「……そうできたら、いいな」

これもなんてことのない成長促進だ。

「あーあ、予定が潰れちまった。こんなことがなけりゃ…」
「どうせ成長しかけの女子のシャワーを目にしながらバナナを食べるぐらいの予定でしょう」
「大当たり」

大分音量を絞っても聞こえてくるのは気が狂ったかのように、声も潰れんばかりに叫び続ける安居の声。

流石にこれを楽しめるほどおかしくなっちゃいねえが、可哀想だとか助けてやりたいとか思わないくらいには俺は「先生」らしくなっていた。
裏と表両方を知り、その境界上で尻を叩くのが「先生」の役目だ。



情報は分けなければいけないし、「こうしていれば落第しない」「こうしていれば上に行ける」ことは習慣として、洗脳のごとく根付かせてもいいがそれが「何故」なのかは知らしめないようにすべきだ。それも含めて自分で気付くべきなのだから。
賢い奴。馬鹿な奴。明るい奴。暗い奴。無謀な奴。慎重な奴。皮肉屋な奴。真っ直ぐな奴。
団結されては意味がない。

未来には友達は連れていけない。仲間だけだ。
意地や倫理や立場がどうであれ情報共有できる「仲間」ならばよし、相手を思いやって伝えられない「友達」や変に意識して情報を独占するような「友達」であれば、それで終わりだ。



口頭でその事実を伝えられ、その後暫くして確認させられた俺達とは違って、何の心構えもなく。

さて、どうなる。

これで安居は「先生」…未来での導く役としての資格を得るのか、それともすべてに疲れてすべてを放棄するか。


「安居がリーダーになりそうだから、安居だけにこういうことをすんのか」
「卯浪先生だって安居ばかり虐めるでしょう」
「あれは安居が反抗的な態度を取るから…」
「僕は、そんな安居に更にリーダーとしての胆力を身に着けてほしいんです」
「同じ穴の貉か」

ぼそりと呟く。モニターの中では安居が叫び疲れたのかショックからかふらつき、けれど絶妙な粘度と砕き切れていない四肢や毛髪や内臓や骨の断片がそれを支える。安居は何度目か分からない嘔吐をする。

「もういいか?俺は別の監視カメラを見たいんだが」
「……どうぞ、ご自由に」

要がいつもの通り表情のない声で返す。

「先生の楽しみの為にあるわけじゃないんですが」

そうして、他愛のない話をする。

「……この中で1人。モノにしていいって言われたら誰にする?」
「この中には居ません」
「ふーん」

意味深な声を残し、要は姿を消す。
この中に興味がないんなら、要が好むのはもっと年上の女か、もっと年下の女か。まさかの男か。
いや、要のことだから人外なんてものも有り得そうだ。

下衆だなんだのと言われるが性の話は大事だ。
何故ならこのプロジェクトは種、繁殖の意図なくしては成立しないのだから。

大量に理不尽に死ぬのならば、大量に理不尽に生ませねばならない。

監視カメラの中で小瑠璃はシャワーに紛れて泣いている。
恐らく明日の男子シャワー室では同じ姿の安居が見られるだろう。

全く、大変な所に生まれちまったもんだな、お前らは。

新世界で目覚める他のチームと出会ってどんな顔をするんだか。

ーもしも、ここでの教育の結果、別のチームに危害を加えるようならー

「先生」である同僚一人の言葉が頭を過る。
最早劇薬扱いだ。



ーそれならば。

今の内に牙を折ってー

別のチームのー

本当の、本物の「選ばれた子供達」の為のー

道具にする為にー


教育しなければならない。





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最終更新日  2018.01.04 02:51:15
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