Laub🍃

Laub🍃

2010.05.15
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それならば私はやっとその暗闇から抜け出せた。

明るいところで見る彼はなんにも持っていなかった。
私が勝手にした妄想が投影されていただけだった。

彼のため努力する必要がなくなったので化粧をやめたお洒落をやめた、そして最後に洗うのが面倒な髪をばっさりやってしまおうとぎゅっと握ったら、その手を幼馴染みが握りしめていた。

止めるのかと思った。

私が恋に盲るまで同じ道を目指していた彼は、恋に暴走する私をそれでも「お前はそのままでいい」と言っていたから。

けれど、彼はそのまま私の髪をばっさり切った。

「小さい頃と同じだ。この髪も、お前の泣き顔も、相変わらず子供なところも」


私をその胸で泣かせてくれた幼馴染みも、私に幻想を抱いていることに。

けれど、それでも私はその幻想にすがりたかった。
子供のように泣いて、子供の汚れなさで日々生きたかった。

幼馴染みの前では、そうしていられた。


けれどある日、幼馴染みが幻想から足を踏み出してしまった。

演じられなくなった私は、空っぽになっていた自分に気付いてしまった。

かつて恋した人も、私に応えて空っぽになったのだろうか。


..........それは、私の願望か。





最終更新日 2016.04.09 21:29:07





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最終更新日  2017.10.29 12:12:33
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