Laub🍃

Laub🍃

2010.06.15
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
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※二次創作
※タイムスリップ記憶持越し二週目
※地味にひどい源五郎
※秋ヲ視点


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幼い恰好をした源五郎は唸る。
その様子は年にそぐわず老成している。
年にそぐわず子供っぽい蝉丸と対照的だ。



「……どういうこった?」

どことなく言っている真意を察知して、自分が散々言われたであろうことを思い浮かべたであろう蝉丸の額には皺がよっている。

「彼は、腐った蜜柑です。外側に居て、傷を付けられて、傷口からよくないものが入ってしまった。
 腐ってしまったら、他のものに悪影響を与えます。ならばここでは腐る経過よりも腐った後の対処の方が、大事です。……僕たちは、そう教えられてきました。」
「……素直よね、本当に」

牡丹さんの相槌が虚しく響く。
その素直さが生む問題を源五郎は恐らく自覚しているが、それを源五郎は補うつもりがない、恐らく他のチームー勿論俺も含めてだーが欠けてるそれをカバーすることを期待、いや予測している。

「彼が、もしかしたら感染しているかもしれない貴方方の仲間を殺した時ー僕達が咎めなかった理由の一つもそれです」

お蘭の目が険しくなる。一段落ついているようでいて、未だに不意の言及にお蘭は弱い。

「どうして腐ったのか。どうしたら腐らずに居られたのか。腐ったものをどう始末するのか。それらは全て残る者の為です。……正しくないことをした彼に、狂気の感染源となりかねなかった彼に、傷付け合う春と秋はそぐわない。だけど全体を考えれば彼と、彼をどうしても守りたい人だけがついていく方が合理的でした」
「……そ、そのおかげであたしたちは助けられたし……ね、ナッちゃん」

「偶然だか奇跡だかわかんねえけど、なんだっけ、人間人馬が最高?」
「人間万事塞翁が馬です」

そういえば夏Bと安居と涼の邂逅ややり取りは詳しく知らなかったなと遠い目をする。
何がどういくもんか分からんし、幸と不幸は裏表、どこかで泣く人間がいりゃあどこかで笑う人間も居る。

「……」



視線の先には、未来での記憶がない安居。
幼いーこちらも記憶を受け継いでいないが事情を説明されたー鷭がつっかえながら話を引き継ぐ。

「今も、それが一番の問題だよ。-もし、ここからやり直せるなら、安居くんも仲間に引き込んで、あんな悲劇を起こさない道を探すべきだと思う。……今ならまだ間に合うのなら」

「だけど、もしやり直せないのなら。僕達全員の記憶が失われて、貴方達だけが戻ることができるのならば、元のようにして、観察して、そうして未来に活かすべきなのかもしれない」
「……それがあんたの言う、腐った蜜柑を捨てない方法か?」
「……」





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最終更新日  2017.12.22 23:39:10
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