Laub🍃

Laub🍃

2011.07.13
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カテゴリ: 💫復活裏
空がある。
開かれているそれは、常識を追いやる。
縛られない、閉ざされない、どこまでも光が通っている。
しかし、だからこそそれはバランスが悪く、支えてやらねばならない。
俺はその支えになった。彼の芯を支える左腕に。
だけど足りなかった、全然足りなかった。
だから俺は、――彼に「立たねば」と思わせる為の、仇になった。
青空を覆い尽くす大雨に濡らされ、血だまりに立つ彼のなんと美しいことか。
なんと愛おしいことか。


「もう遅いぜ、ツナ」

もうとっくに退路はない。重力と同じだ、下へ落ちることしかできない。
逆向きの弁は常識とか周囲への気遣いとかそういうばかみたいなもんで確か20年前も俺はそれに追い詰められていて、
ツナも同じようにそれに逆らえないという事だけが俺を奮い立たせてくれるんだ。

「俺は後悔してないから、葬ってくれ」

俺の血がツナの血にまじりあう。だから雨は嫌いで、好きなんだ。

「一つだけ頼む。左腕は、空けといてくれ」
「……頼まれなくても」

はは、と漏らす。やっぱり俺達は、やなとこばっか似てる。だから、一緒に居たかった。陰になりたかった。
これでやっと、もう一度、ツナの唯一になれる。





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最終更新日  2016.08.04 03:56:40
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