Laub🍃

Laub🍃

2012.01.29
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カテゴリ: .1次小
ピアノ弾きの女性が、離れたところに居る恋人を想いながら曲を奏でる。

その話を私は泣きながら読んでいる。

たった一人、体育館裏。


私の一言が、あの子の均衡を崩した。
あの子は、自分を保つために私を追い出した。


だからもう私の居場所なんてあそこにはない。

グループなんてどうでもよかった。

あの子を傷付けてしまったことが何よりも辛かった。

そんなつもりじゃなかった。


これは私の罰なんだと思った。


朝礼で喋って怒られることも。
授業中手紙を送り合って見付けられることもない。


離れていても通じ合っているその二人が本当に羨ましかった。

こんなに泣いたのは小学生の時ぶりだった。
小学生の時、涙を流しているのが見られないように前髪を伸ばしたのに。
ー今はもう大丈夫だからと、前髪を切ったのに。


あの子に合わせて染めた茶髪が馬鹿みたいに顔の横から私を苛む。


あの子は私のことなんて想っていないだろう。
忘れた方が、きっとあの子の心を平穏にする。

ただ私だけが馬鹿みたいに、馬鹿みたいにあの子と幸せだった頃の記憶を、その小説の空気から思い出してしまっている。



最初に一緒になった帰り道では何度も手を振って。


もう、それも二度とない。


あの子と過ごした場所を目に入れたくなかった。
さっきまで見返していたメール。
今読んでいた小説。




夢で、あの子に会えませんように。





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最終更新日  2017.10.08 02:02:52
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