Laub🍃

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2012.02.14
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カテゴリ: ◎2次混合
某二人の「父親」を持つ二人の、兄にあたる方のやらかしについての自己解釈ss。
説1.「親の代弁者は子の代弁者を仕立て上げたかった」

*****************

 何故俺がそいつを憎んだのか。
 何故そいつが俺に殺されそうだと思ったのか。

 その答えはきっと一つじゃない。

 「そいつの父親」であり「俺の父親」であるあの人への憎しみと、そいつへの嫉妬と、弟のように思ってきたあいつの仏壇に捧げものを得る為と。色々、色々あるのだ。
 だが、俺だけがムキになっているようで、みんなはそんなこと気にしないようにして過ごしていて、そいつを憎めば憎むほど、俺だけが底なし沼に嵌っていく。

 父親が俺達を踏み躙ってでも愛し抜いたそいつに、父親の責を負わせたかったとか。そいつの死体を父親に捧げたかっただとか。そいつが知らない父親の一面を教えたかっただとか。


 何故俺はあんな手段で虐げようとしたのだろうか。
 三人の父親の、一番俺達を歪ませ殺していった「やつ」なんかを真似たのか。

 ……もしかしたら、いいとこどりばかりしていくそいつに、二人の父親にうんと甘やかされていたらしいそいつに、「やつ」をも実感させたかったのかもしれない。
 特に、外の世界に憧れたそいつは、かつて外の世界に憧れて折られた俺とどこか似ていた。
 憎らしかった。
 俺は逃げられなかったのに。
 真っ赤で真っ暗で生臭くて、俺一人で背負うしかないと思ったのに。
 哀しかった。
 こんな手段にしか出られない、こんな手段しか出来ない、愚かになっている自分が。
 かつての自分とどこか似たそいつを、赦せず潰してしまうことが。

 けれど、心のどこかでも思ったのだ。

 そいつがそれで逃げずに闘ったならば、誰にも相談せずに飲み込んだならば、俺はやっとそいつと俺を重ねて我慢することができるだろうと思った。

 そうしたら、ぎすぎすした空気でみんなを困らせる事も少なくなるかもしれないと思った。

 けれど、結局の所俺は俺の愚かしさをもって、守るべき皆を傷付けただけだった。

 結局何も見えていないのだ。目の前しか見えていない。
 後ろや横を見て、俺に教えてくれた片割れはもう居ない。






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最終更新日  2017.02.24 20:38:06
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