Laub🍃

Laub🍃

2012.03.27
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
要目線過去話。「未完成の再来」の少し前の話。



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先輩、と呼ぶその声は、いつだって真っ直ぐで眩しくて、青かった。



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小さい頃、泣きぼくろが目に留まったのを覚えてる。
ついで名札。安居なんて、随分珍しい季語を使うものだと思った。

身体は平均。鈍いのか敏いのか、眠ってる時はなかなか起きないのに、起きる時はぱちっと目が覚めて、そして赤ん坊らしい綺麗な目でこっちを見て来る。

どんな子に育つんだろうと気になっていた。






赤ん坊の時を連想できないくらいに元気いっぱいで、優等生というには要領が良く、ガキ大将というには真面目だった。

だけど、あの真っ直ぐで空を映したような目だけが変わらなくて、僕はその空に何が入るのかが楽しみになった。

施設に入り浸るようになったのはそれから少ししてのこと。
先生達が生徒を納得させきれない部分をカバーしたり、生徒達の悩みや勉強で行き詰っている所を手助けしていくことで、僕は段々と認められはじめた。

やがて一週間の内半分程度は外、残り半分を施設で過ごすようになり、その頃には、成績でトップを取った子と勉強会をするようにもなった。
僕の経験の全てを、有望な子には与えたかった。
……やがては、哀しみも、苦しみも、絶望も……それらを乗り越える強さも、受け継ぎたかった。





安居の目の中の空に稲光が宿り始めた。
底知れない青い光はやがて強くなり、怒っている時や考えを巡らせている時はまさに眼光炯々というか、刃物のようなというか……ともあれ、見ている人に刺さるようなものになっていった。

それプラス眉間の皺にいつも見詰められている茂は結構メンタルが強いのかもしれない。


これから更に仲間と成長して、そこにどんな色が映し出されていくのか、楽しみで仕方がない。






【続】





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最終更新日  2018.03.03 21:12:32
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