Laub🍃

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2012.06.13
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カテゴリ: ◎2次裏書
あたしとあいつは似ているらしい。

その形容が嫌いでたまらない。

だから、あいつを喪った当初、あいつがあたしに向ける、歪め歪めと言う目に逆らってあたしはまっすぐであろうとしてきた。

彼氏もそんなあたしを、あたしらしいと言ってくれる。
彼氏が正しいというなら正しい。だから今のあたしは、大丈夫なあたしだ。





あたしは悪くない。


そう思うと同時に、あいつもきっと「俺は悪くない」と思ってたんじゃないかと思って鬱になる。

あたしの思考回路は下手をすると育ての親であるあの人に仕組まれていて、しかもその目指すところはかつてあの人が育てたあいつかもしれなくて。



あいつなんかとあたしは違う。

だけどそう言うことはまた、あたしなんかと違うとあいつが言いそうだという想いに繋がってしまう。

あいつはいくら欲しがっても手に入れられない子供で、あたしはそれを持っていて、だからあいつに対して汚い感情を抱くなんてするわけがない。
それをしたらあいつと同じになるんだから。

あたしにはお母さんとお父さんが居る。
あたしには彼氏が居る。
あたしにはあの親友たちが居る。
あたしにはかつての過去の世界の記憶がある。

あいつにはない。
だからあたしとあいつは違う。

あいつには先生達の支配があった。

あいつには面倒な相棒が居る。
あいつには未来への夢しかなかった。

あたしにはない。
だからあいつとあたしは違う。

似ていると語る筆頭の奴は頭がおかしい。


だけど、別に構わない。
同じように洞窟ではあいつの味方をしていても、今はあいつとの関係を薄めてくれた人達が、あたしの周りに居るんだから。

あたしや、同様に被害に遭っていたあのこたちがわざわざ、牙を剥き出しにして、あいつへの怯えと闘う必要はない。







大きな流れ星を皮切りに、連日続いた流星群。
その観覧中の出来事だった。

あたしは丁度親友たちとお風呂に入っていたので、詳しい事は全て人伝いで聞くしかなかった。
正直に言ってしまえば、人伝いでさえ聞きたくなかったんだけど。

「……それじゃあ、あいつは死んだってこと?」
「ああ。…どう見ても、や…」

住居から少し離れた場所だったから、音や閃光に気付いた人も少なくて、それでも立ち入りの封鎖を彼らはしていた。
それだけ人に見せられない状況だったということなんだろう。
数日後に恐る恐る遠目で見た所、爆心地の近くはひどく灼け爛れていた。

金属の精錬、火器の取り扱い、旧時代のまだ精密でない機械たち、いつ爆発するか分からない兵器類……そうした危険物を取り扱っている以上、いつかは起こり得たことだった。


だけどあいつが、奴を庇って焼けて溶けて崩れて死んだという話がにわかには信じられなかった。
あいつは案外しぶとい。……あたしが、あいつらに殺されかけても生き延びたように、あいつも生きているような気がしていた。

だけどあいつの残った部分として焼け焦げた右腕、右脚を見せられたら信用するしかなかった。
こちらの部分はまだましだったなんて言われたら。
……証言者が3人とも…うち一人は幼いと言っても…口を揃えて、その人には見えない塊についての話をされたら、途中で遮るしかないじゃないか。

思い出させたくもない。






奴が生きる気力を失うかと思っていたのに、彼女の為か、子供の為か、……それとも、あいつが見ていたように、大事な相手の幻覚を見ているからか、そうはならなかった。


あいつを子供達に語り…そして、あいつそっくりの子供を育てる事で、奴は生き延びた。

つくづくー本当につくづく思う、本当に父と、あたしの育ての親が彼らをこう育てたのかと。

だけど、あたしの彼氏への執着は、その行動に奇妙な共感を示していた。







あの人達やあの子やあのひとが、何かあたしに隠していることがあるなあとは思っていた。
だけど仲間や彼氏と約束したんだ。
何か気になることがあっても、出来るだけ突っ走らないって……その前に、誰かに相談するって。

誰にも相談しづらいことは、足を延ばせないことは、目を向けない方がいいとあたしは学んだ。

かつて嫌った、学生時代の女子グループの絆を彷彿としたけど、しょうがないことだった。
身を守る為という理由は、全ての生き物に共通の持ち物だ。

あいつら以外の関係する人すべてに申し訳ないと思いながらもあたしは都合の悪い事に背を向ける。






あいつそっくりの子は、奴そっくりの子と姿を消した。
安心していいよ、と誰かが言った気がした。






あのこ達はあいつらの所から帰ってこなかった。
偵察に行ったあの娘からは、空からじゃ何も見えない、と言われた。
「地上探検隊の僕達の出番デスかね……ああ、勿論あなたは大丈夫デス、ここで待っててください、危ないデスから」
「…ごめんね」
「いえいえ。罪人の扱いなら司法の番人の出番ですカラ」









……どうして、戻ってきたくない、なんて言うんだろう。

確かにこちらの村は年々飢饉に見舞われていて、人数が多いからこそしがらみもあって、それでもそちらよりはましなんじゃないのか。


分からない。

かつて、子供だった頃は分かったのかもしれない。

だけど今、大人になったあたし達には、子供達の気持ちが分からない。





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最終更新日  2018.02.12 05:21:30
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