Laub🍃

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2012.07.24
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カテゴリ: .1次メモ
魔王クロノスは激怒していた。
魔に属する全ての者を滅ぼす為に、人間たちが夜が来ないように時を固定してしまったからだ。

しかし、その配下四天王は冷静であった。

年を取る作用がなくなったようだ、と枯渇のゴビは言う。

人間共は働き詰めのようね、見ているだけで疲れると怠惰のクリフォト。

陰のない世界では面白くないと秘匿のキャンドル。

そして手を出す楽しみがなくなってしまったと嘆く軟派のテンタクルス。

追いやられた夜へ彼らは移動した。困ったのは人と魔を繋ぐ役を担っていたクロノス。
夜には明りによる人造の時があるゆえに、人間への執着さえ捨てれば代用品で他の者たちは満足できたのだ。


自分の安寧のため、人間たちの中でも夜を恋しく思う者たちと手を組んだ。

じきに消化しきれぬ昼を疎んだ者も寿命を望んだ者もそれに加勢した。

そして時を固定した勇者を倒そうと目論んだ。
ーしかし、その時には勇者は、すっかり夜だけの世界に慣れた魔たちと手を組んでいた。

こうしてーーー

かつての魔王は人間の、
かつての勇者は魔物の味方となり、決着が着くまで、いや決着が着いても役割を交換して、永遠に争い続けるのだった。





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最終更新日  2016.12.20 00:25:11
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