Laub🍃

Laub🍃

2012.12.09
XML
カテゴリ: 🌾7種2次裏
※鬱注意








世界が僕を巻き込んで滅んでくれたらいいと何度願っただろう。
大事な人を失って、生きている人にはそのあと会うこともなく、何度死を願っただろう。
でも次の日の朝日を見ると

「ああ」
「世界は素敵だ」
「僕は生きていていいんだ」
とちょっとでも思える。

そうして、ともに歩く長生きの獣だけが一緒に生きてくれた。

死なない道を、そうしてどうにかこうにか、歩き続けて来られた。





「私のこの手は人を殺したの」


「別に悪いなんて思ってない」

そう言って涙を流す彼女と一緒に生きてみたいと思った。

僕は生きる為にそうした彼女のその手を憎めない。
彼女の手にまとわりついた毒々しい草の汁を、ただ美しいと思う。

だから強く握り緊める手をほどいて、その手に宿る死丸ごとを、抱きしめる。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.06.13 00:00:18
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: