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長押綴

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2013.06.28

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蝉の命はひと夏だ。
俺達の人生が全部夏にあるなら、五月の暑苦しさと六月の梅雨、九月の残暑ばかりだろう。

梅雨。
雨安居。
すべてのものが蠢きだす、たくさんのものが産まれて死んでいく場所。

無駄に外と関わらないように洞窟に籠っていた俺達は当たりだったのか、外れだったのか。

水を見るとあの涙が。
岩に残った潮の跡を見るとあの泣き跡が思い浮かぶ。

幼い頃から、オレだって傍に居た。

何度泣いても汗水たらして広い額を拭って人に関わりに行く奴に苛立ったことも１度や２度じゃない。
それでもあいつの「助けに行く」以外の言葉は予想してない自分に腹が立つ。

ーあいつらの間にある絆をオレは知らないし、知るつもりもない。
うだうだと泣いてる奴を止めるものは腕ぐらいしかない。

沢山の踏み潰す命じゃなくて、踏み潰して泣いているそいつを留める腕ぐらいしか持っていない。

いつか、晴れる日は来るのか。

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