Laub🍃

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2015.07.06
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
・もしあの時安居の方が海に流されて幼児退行していたら
・花→黒いけど頑張り屋






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「どうしてお前が生きている」

 殺されそうだから抗ったらこう言われるって、理不尽過ぎないかな。



 あたしを殺そうとした涼から離れたら、今度はあたしを襲おうとした安居と遭遇した。
 逃げようとした。その先に川があるとも気付かずに。

 安居は、そんなあたしの腕を掴んだ。
 怖くて、何も考えたくなくて、あたしは、ただ強く振り払った。



「……え?」
「……あ」

 何を招くかも知らずに。



「……!」


 どぷんと重い音がした。



 あれからは記憶が曖昧で、気付けばあたしは、びしょぬれの涼に掴みかかられていた。


「…あいつは絶対生きてる」
「……腐っても水のクラスのトップだしね」
「ああ、そうだ……あいつが、……に生かされたあいつが、こんなことで死ぬ訳がない」

 周囲の人達が止めてなきゃ、あたしを殺していただろう腕。



 居なくなった安居の憎悪全てを吸い込んだかのような目。

「だからお前はその命をあいつに懸けるべきだ」

 ぞっとするほどに誠実で嫌になるほどに一途で気持ち悪いくらいに妄信的な声。

「放り出すなんて許さない」

 ……痛かった。



 こいつは、本気だ。
 逃げなきゃ。

 でも今度逃げたら、そうしたら、今度こそ殺される。
 それどころじゃない。

 あたしと近しい人たちまでこいつは手にかけるつもりなんじゃないか。

 そうさせるわけにはいかない。


 あたしを殺そうとした奴の為に、あたしを襲おうとした奴を一緒に探しに行くなんて冗談じゃないと思う。

 だけどあたしは、気性のさっぱりした、嵐が愛する女の子で、そしてなにより、仲間の為に命を懸ける人でいなくちゃいけない。

 だからあたしは、

「……分かった。行くよ」
「当たり前だ」


 行かなくちゃいけない。


「花さん…」
「大丈夫です、新巻さん」


 ああ、でも、あゆさんでなくあたしを新巻さんは選んでくれた。

「……一緒に、生きましょう」

 それだけで、あたしは頑張れる。








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最終更新日  2018.03.13 01:21:15
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