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長押綴

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2016.05.08

だから全てに拒否反応を示さない。示せない。示してはいけない。

おぞましいもの。
ねたましいもの。
うざったいもの。

すべて本当は大嫌いだ。
だけどそれを受け容れなければ私は駄目だ。
高潔で傲慢になる資格は私にはないのだから。

だから私はいつも笑顔を張り付けて受け容れてきた。

あたかも逆振りをするかのように、事前準備をしておくことで、結果的な釣り合いをとった。

だからコンプレックスを抱く者を安心させられた。
むしろそれを誇りに抱く者、こちらが見下していると認識する者にも次第に対処できるようになった。

しかし問題は、それ以外の点で私を、そいつらが上回ってしまうことだ。

私は努力し続けている聖職者なのに、彼等のように嫌いな事を嫌いと言わないのに、言えないのに、どうして彼等より私が軽んじられるのか。

だがそうした自分も御さなければいけない。
逆振りをするかのように、自分の傲慢さ臆病さとなにかで釣り合いをとらなければならない。

そうだ。私を傷付ければ私は傲慢ではない。私を刺せば私は臆病ではない。

ならば答えは一つだ。

＊

神父様が普段かくしておられる腕には無数の自傷痕がある。

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