Laub🍃

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2017.03.21
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カテゴリ: ●少年漫画
あるところに、小さな夢がありました。
誰からも見捨てられる、それは小さな小さな夢でした。
小さな夢は思いました。

このまま消えてしまうのは嫌だ。
どうすれば、人に僕を認めてもらえるだろう。
小さな夢は考えて考えて、そしてついに思いつきました。

自分の周りの世界をすべて、自分のものにすればいいと。



小さな少年は二人居る。

何もできず辛い日々にただ泣いている時の少年と。

「生ぬるい!この甘さ、反吐が出る」
「どうして?どうして?僕何にもやってないのに…」

片方は、殺しの感触を覚えている方の殺人鬼、地下室の王様。
片方は、全て忘れた無垢で無力な方の殺人鬼、洋館の王子様。

心の中の闇に、心の中の子供が呑まれていく。
『復讐の味は蜜の味』『他人の不幸と同じ味』

心という名の地獄の中に、被害者の亡霊が現れ刃を突き立てていく。

既に現実では全員が死んで、残るは夢の世界だけ。
夢の中での終わらない復讐に対抗するには、殺人鬼の強さを手に入れるしかない。

無力な子どもに容赦がない復讐者たちに、はじめ主人公ー『王子様』は戸惑う。


そんな王様のパートナーをやってきた女王様は早く記憶を取り戻してと言う。
王子様は記憶を、強くなるために取り戻そうとする。

けれど、亡霊たちとその集合体を操る「かろん」という少女はその邪魔をする。
いつまでも何も知らないままでもいいから復讐され続けろと。

「人殺しはどんな場合があろうと悪人よ。


 正義を持って死人を弄ぶ者よ」

かろんは、この世界の絶対的な存在。
かろんは、力でもってこの世界を支配している。
力は正義。
ならば結局、王様だって正義なのだ。
王子様は逃げながら、剣を探す。かつての、あるいは未来の記憶を探しに行く。

……そんな時、王子様を匿ってくれたのは。
王子様が殺人鬼になる前、王子様を助けられなかった、そうして王様に殺された人たち。

「僕たちは君たちを責めないよ。だって君は何もやっていない頃の子供なんだから」
「僕たちは君を恨んでいる。僕たちは君を庇えない。僕たちは君を救えない。」

けれど、永遠にそこに居る事はやはりできなかった。

「最後まで助けてくれないなら、最初から優しくするな」
「地下室の王様に会いに行くしかない」
「そうして強くなるしかない」

女王様の妹がそこに立ちはだかる。

正義を持って立ちはだかる。
強い者を好いた女王の為に、強さの象徴の武器を持って立ちはだかる。





他人の正義に傷付きながらも全てを乗り越えた先、
王子様は剣を取る。

鎖に繋がれた王様の許へ。
この世に繋がれた王様の許へ、解放しに行くーーーー。


******

以下雑感想。

個人的には、パン屋のおっちゃんが許しながらも救えなくて、どろどろに内部が腐っている癖に外見は取り繕ったぬいぐるみ姿という象徴というのが哀しいと思う。

だって人間そんな強くなれない。強くなろうとしたら剣を取るか、無感動になるか、他人事でいるかっていう選択肢ばかり。弱いからこそ分かることだってあるだろうに。
だからこそ、弱い方の王子様は救われたのだろうに…。弱くても存在していていいのだと。

2巻の最後、そして3巻の予告編。
一人残った者が語る理想の世界は本当に実現するのか。

責任を全て負って逝くひとが居るから、責任を負わなくていいひとが出来る。

もしかしたら例の躯は、広間につりさげられるのかもしれない。
そうして永遠の幸せなお茶会。
隣で一人、あの女の子だけが泣いている幸せで優しい人達だけのお茶会。

もしかしたら、実現するのかもしれない。
喩えそこが地獄だとしても、信じる人が居る限り世界は天国になるのだから。





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最終更新日  2017.03.21 00:48:01
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