Laub🍃

Laub🍃

2017.04.08
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
一度だけ、図書館で読んだ事がある。
七夕と言う風習の話。
織姫と彦星は、雨雲の上で、綺麗に澄んだ夜の中で会えるんだって。
夜の間だけ、幸せに一緒に暮らせる。その後はまた一年間離れてしまう。
それでもその一年お互いの幸せを祈り、再会を待ちわびる。

「いってらっしゃい」
「頑張れ」
「ーーなら絶対大丈夫だよ」

旅立つ皆を送り出した僕らもまた、朝が来れば消えてしまう夜の星のようだ。

もしも叶うなら、その声をどうか頼りにしてほしかった。

どちらかが違う所に行ってもまだお互いに救いで居続けられる、そんな関係を望んでいたのかもしれない。


もしも、僕たちに未来への信仰がなかったら。
朝が来るまで、静かに眠ることができなかったら。

「僕は君を幸せにできない」
「支えることも相談されることもできない」
「むしろ足を引っ張ってしまうかもしれない」
「幼い頃の関係はもう大人になっては続けていけない」
「だけど僕が居ない世界では君が生きていけないというのなら」
「ここで一緒に」

そう、言えていたのかもしれない。


僕の世界は君だった。けれど、君の世界は僕じゃなかった。

君は未来に生きていて、君はあの人を信じていて、あいつと切磋琢磨していて、
君の目の前に僕は居なかった。
時々背中を託されていたけれど、目が覚めたら真っ先に僕を探してくれたけど、それは安心毛布としての役割でしかなかった。


だけど、あの時背中に託された。

君を背負って、助けられた。


だから今も祈っている。
こうして君の救いを祈る事は、最後に君を助ける事になると信じている。
君の白い背中に、祈りを託す。

どうか生きてほしいと願う。
世界に殺されることなく。
この世界を造ったものに負けることなく。
それでもその世界を捨てない君に。
成り立たせる役目を担う君に。
うさぎを撃てなかった君に。
うさぎを撃てるようになった君に。

険しい道を行く君にエールを送る。

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そうして今日もまだ、八人目は屋根の下眠っている。
いつか彼らが還ってくる宝箱を守りながら。





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最終更新日  2017.04.14 00:21:10
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