Laub🍃

Laub🍃

2017.10.17
XML
カテゴリ: 🌾7種2次裏
真っ黒に焼きつぶされた後ろ姿。

あの輪郭から溢れる光が、あいつの受ける灼熱と暴風を語っていた。



あの背中は、一つだから美しかった。




ーどうして、奴を消そうとしたのか、やっと分かった気がした。

奴は、踏み止まらない。
それこそどんな所にでも踏み込める。


その先が地獄でも地雷原でも。


そうして逞しく生きる。
まるでここで生きていく為に育ったかのように。





あいつを傷付ける。
あいつに微妙に似ている。

そして、あいつの背中についていこうとしない。
あいつと少し離れた同じ先頭で光を受けている。


嫌いじゃない。


かつて見た背中に似ているそれを。


だが同時にどこまでも憎らしい。


その背中は託された使命など背負わず、
その目は世界に壊される由などなく、
その足はどこまでもやって来る。


無責任と無知と無謀。








俺達を嗤う、もう一つのシルエット。
その光がどこまでも目障りだった。


あいつが奴を憎んだことは。
奴があいつを理解しようとしなかったことは。
二つが別々の影であり続けたことは。




「……」


そうして、口を開く。





涙も悩みも後ろを歩く者に見せまいと前を向くあの目。

全てを背負って、今度こそ未来へと歩き出すあの足。

渋面を作った俺がついてくるものと信じるあの背。


信じられるもの。

絶対に失わないもの。

他に何を失ってもいいと思えるもの。


目を閉じると瞼の裏に浮かぶ、光に縁取られた影。



あの唯一。






俺もきっと、並び立てない。

​2017.11.02 00:25:48 ​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.11.03 13:39:21
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: