Laub🍃

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2017.11.10
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カテゴリ: 🔗少プリ
※注意

リュウホウ→直
モブ×直


*****


リュウホウは汚い路地裏で生まれた子猫だった。
親に見捨てられ、生きる気力さえ尽き果てている所で拾ってくれたのが彼女だった。

彼女は路地裏に隠れていた。兄が帰って来るのを、温かい生ごみと壊れかけたバケツの中待っているのが彼女の日常だった。


彼女は、わるがきたちと違って自分を傷つけない気がしたリュウホウは、そのまま彼女の兄が帰って来るまで彼女に寄り添っていた。





育てる余裕などないと言われている気がした。
ああ、自分はここで見捨てられるのだと思うと、リュウホウの瞼がそっと閉じていった。

けれど。

急に彼女の兄はリュウホウを掴み、服でぐるぐる巻きにしてしまった。

目を白黒させているリュウホウの口に、何か粉っぽいもの、そして少しとろりとした水が与えられた。

それはほのかに、昔かいだ母のにおいがした。
必死になりそれを飲み干そうとするリュウホウを、二対の目は切なげに見ていた。





彼女の兄はいつも傷ついて帰ってくる。
それが彼女の兄の仕事なのだという。

彼女はいつもそれを心配していたが、彼女の兄はそれをごまかすようにいつも笑っていた。




そこは雨風を防ぐことが出来て、少し暖かくて、リュウホウも、彼女も、彼女の兄も、一息つくことができた。


しかしそれも束の間。


あっという間に他の人間たちが縄張りをとりにきた。

リュウホウも知っている。幼いころに母が争い、そうして自分を置き去りにするきっかけになったことを覚えている。

けれど覚えていることと対抗できることは同義ではなく、やむなく二人と一匹はまた逃げることにした。


『どうして?めぐみもおにいちゃんについていきたい』
『だめだ。……めぐみは、まきこみたくない。ぼくはじょうぶだから、どんかんだから、だいじょうぶなんだ』


そう言って笑う彼女の兄にすり、と寄ると、彼女の兄は顔を一瞬ゆがめ、それでも立て直した。





『……りゅうほう』

ひゃあ。

掠れた声で鳴くと、彼女の兄は笑う。

泣きながら笑う。


『おまえが、ものをはなせなくてよかった』


彼女の兄は、白い雪の中、ずたぼろの体で歩いて行った母に重なる。

そうして、彼女は母にくわえられたきょうだいだ。


けれどひとつだけちがうことがある。


近付いていって、その手ひどく扱われて動かない足に前足を置く。


『……なんだ?餌がほしいのか?……っ、つ、……もう少し我慢しろ、今回はそこそこ価値のあるものを渡されたから、これをなんとか換金して……』

最後にすりよると、彼女の兄はびくりと震えた。
そうしてぼくはみずから飛び出した。


いまのぼくならきっと、彼女の兄に、仲間を作れるはずだから。


つんつんと跳ねた頭の少年を頭に思い浮かべる。
……きっと、彼ならきっと。


走り出す足は、自分のものと思えないくらい強かった。





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最終更新日  2018.08.20 22:01:00
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