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長押綴

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2017.11.17

・会話文
・『人生ゲーム』パロ

＊＊＊＊＊＊＊

「……あんご……」
「…呼んでる……？」
「どうした安居」
「……茂が……呼んでる」
「………安居。しっかりしろ」
「……そうだよな……茂は……死んだんだ」

「……ああ」

ﾌﾞﾂﾝ

「……あんご、安居」
「…茂？」
「安居、目が覚めた？」
「……俺、眠った筈なんだけど」
「ああ、ゲームの中だとそう感じる筈だよね」
「…ゲーム？ゲームって……何だ」
「何って……未曽有の大災害が起こった後の地球でサバイバルするシミュレーションゲームだよ」
「……え？」
「ああ、体験時間が長かったからまだ混乱してるんだね」

「うん。ゲームの中では外の人生なんて忘れちゃうからね」
「俺達は未来に行く為に生きてきた。お前だって、覚悟してロープを切った。それが偽物だっていうのか」
「本当にあの時は死ぬと思ったよ。でも人生半ばで死ぬパターンにしては落ち着いてるって褒められたんだよ！」
「……どういうことだよ……俺は…俺は本当に……」
「安居、心配かけてごめん。未来はどんな風だった？」

「記憶を薄れさせる薬を飲むと楽になるって」
「は？やめろ！やめ……」

ﾋﾞﾋﾞﾋﾞﾋﾞﾋﾞ

「データがうまく集まった。協力ありがとう二人とも」
「どういたしまして要さん」
「また何か手伝うことあったら呼んでください」

ﾃｸﾃｸ

「……安居の人工自律人格、結構似てたね」
「そうか？オレからすると違和感あるんだけどな。作り直したい。色々やらかした後だし」
「ええっ、そんなのもったいないよ」
「もったいないか？」
「だって未来でも、安居頑張ってたじゃん」
「……色々と犠牲を出しながら、汚くな。
　……一般社会のルールに縛られなくて身内亡くした場合、あそこまで俺壊れるんだな」
「……うーん、でも今の安居は絶対やらないよねあんなこと」
「そりゃそうだけどさ」
「細かい所直す場合もっかいシミュレーションに付き合わされるらしいよ」
「うげげ……お前も一緒にやりなおせるんならやりたいけど」
「死んじゃったらもうログインできないからなー…生まれ変わりシステムとかあればいいのに」
「生まれ変わるとして、あの世界で誰に生まれ変わるんだ？ニュー世代は無理だろ。

　俺達は親居なくて身寄り無いから、あの立場を演じられたんだぞ」

「それだよねー…海外でも同じような立場の人が居るって設定にしてくれればいいのに」
「海外は外国人の被験者用意するらしいぞ。宗教観とか季節の感覚とか、後は自分の特技や根本的な性格とか、暗示だけじゃどうにもならない部分がシミュレーションの被験者に求められるとかなんとか言ってた」
「……でもそういう違いって、喧嘩の元になるだけなんじゃない？」
「…ほんとにな。しかも喧嘩が起こりそうなイベントが頻繁に発生してるし」
「要さんはそういう仕様にわざとしたって言ってた」
「……今は世界が平和過ぎるからな。俺達みたいに身寄りがなくても、昔みたいに差別や偏見をされない時代だ。だから、変化とか不均衡が恋しくなるんだろ」
「……わかんないなあ」
「いや、茂にもあるだろ？悪夢を見た後、現実を見たらほっとする体験」
「うん」
「それと同じだ。目が覚めたら皆こう思う。
　夢みたいに幸せだって」

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