Laub🍃

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2018.07.07
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カテゴリ: ◎2次裏漫
ここは神様の居る世界。
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私は選ばれた存在だ。
故に、私こそが、あの神話の存在をここに蘇らせられるのだ。






旧世界では私のような存在をマッドサイエンティストと呼ぶらしい。
しかし私は周囲の人々には神官として扱われている。

神々の記録と記憶と亡骸をもって恵まれた子供達に神を降ろし導く存在。それが私だ。

そう言われて育てられてきた。

だから、初めてその資料を見付け、自分が何をしているのか、かつて素晴らしい文明を築いた彼らからすれば私や、私を崇める人々はなんて劣っているのかを知ってしまった。


たちまち彼らに私は殺されてしまうだろう。

ゆえに私は研究の完成を急いだ。

今のように、旧世界の生き物を復活させるだけではなく、旧世界の人々を、その知識もともに蘇らせる為に。


そうしてやっと今日その研究の一つが完成した。


昔指導者として長くこの世界で生き、もっとも多くの場所を渡り歩いた人の脳。
土葬でぼろぼろになっていたそれを培養し復活させ、生贄の一人の脳に移植した。

これが成功すれば、『彼』は、生贄のもう一つの心として存在を確立する筈だ。
そして蘇らせた私に恩を感じ、これからの研究と人民の支配に更なる貢献をしてくれる筈だ。

私は天の梯子を上るのだ。
天上の神々をこの地上の楽園にまたお招きするのだ。


そう信じた私に、偉大なる神はこう告げた。


「俺はあのまま大地に溶けて、あいつらと一緒に溶け込んだまま眠りたかった」

そうして彼は眠りについた。

生贄は意識を取り戻し、何故か知る筈のない多くのことを知っていた。
けれど肝心の、神の考え方や導く力は持ち合わせていなかった。

私は憤慨し、同じことを他の脳で何度も繰り返したが、みな同じように眠りについてしまった。



そして気が付けば知恵をつけた生贄たちは私を神官から廃し、新たな政権を築き上げた。
暗くなっていく視界、見上げた先には生贄たちの炯々と光る眼、眼、眼。

その中には私が眠らせてしまった筈の神々が居り、私は満足して目を閉じた。

最終更新日 2018.03.18 22:41:02





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最終更新日  2018.12.25 02:50:04
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