Laub🍃

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2018.08.17
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カテゴリ: .1次題
出来る手は尽くしたと思う。
目の前には妹の殺した彼氏の残骸がある。
ここまで来たら一蓮托生だし完璧にやらなきゃ殺人だけじゃなく死体損壊にも追われる。

俺でよければ役に立ってやるよと、今にもぶっ倒れそうな顔してた、彼氏に殴られてぼろぼろの妹に啖呵を切った以上、やらなきゃいけない。
やらなきゃいけないのに、体が言うことを聞いてくれない。

シャワーの中男二人で濡れそぼったまま頭を抱える。

血の処理がここまで大変だとは知らなかった。
骨を切るのがここまで大変だとは知らなかった。

いや、ぶっちゃけ一生知らないでいたかったが。


そんなことを風呂場で一人考えていると、ごとり、台所の方から音がなる。
反射的にびくりと震える、続いてこぽこぽと何かを注ぐ音。
俺がさっきびしゃああと血をまき散らしたことが思い浮かぶがこれは多分母がミルクをあっためるためコップに注いでいるところだ。

……母には頼れない。

同じ家に暮らしてはいるが父は帰ってこないし、母はDVを受けている妹についても
「ほうっておきなさい」
「外聞が悪くなきゃなんでもいいわ」
「大体あの子が選んでああなってるのよ」
「私は忙しいの、くだらない事で時間を取らせないで頂戴」
なんて宣った。

あの時の半笑いを俺は一生忘れないだろうし、あの時一生母を信じないと決めた。



何度目か分からないゲロを吐く。
酸っぱい嫌な臭い、だが目の前のこいつよりかは慣れた臭いだ。

震える手でまた俺は、のこぎりを握り直した。





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最終更新日  2018.10.08 23:29:23
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