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長押綴

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2018.08.28

引きこもってた頃、空は狭かった。
窓の外、家族が帰ってきた時のドアの外、テレビの向こう側の世界、本の中。
皆四角いもので区切られてた。

引きこもって時間が経つほど、空はどんどん『向こう側』のものになっていった。

外に出られないあたしにとってそれらは別世界だった。
だけど、その世界の色や雰囲気に確かに救われる時もあった。

＊

この世界に来て、日々探検を繰り返す中で空は広くて、そして恐ろしいものだと思い知った。
日差しも雨も風も怖くて、だけど同時に、自分が生きてることも実感した。
天気や体力の限界や新天地が怖い。

だけど受け入れて、なんとかやっていこうとすると案外生きていけるものだってことも知った。

今、空は広い。
あたしは、あの頃の向こう側に居る。
あの物語、この物語、その物語の中を生きてる。

この広さを、不安さを、自由さを、未知がやって来ることへの期待を、何もかもが滅びた世界に降り立つことの恐ろしさと鼓動を記したい。

いつか、この向こう側に届けられたらいい。

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