Laub🍃

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2018.10.11
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カテゴリ: 💫復活裏
あれから何度かザンと話はしている。
 ボンゴレという組織を継ぐことの難しさ、ザンにはそのカリスマ性があるが継げない理由があること、俺とザンの血を継ぐ子が出来ればザンがボンゴレの政治に関わりやすくなるがそれは絶対に嫌なこと、俺の知らない親父のこと。

 二人父親が居るような生活を俺が少し羨みながら聴いているのと同じように、ザンは俺の母さんの話を少し目を細めながら聴いていた。

「……ザンの母さんはどうしてるの?」

 何気なく訊いた直後後悔する。しまった。ここまで話に出ないということは触れてはいけない話題だったろうに。

「……とっくに死んだ。ジジイに俺を会わせた後は声さえ聴いてない」
「……」
「おふくろは、俺が10代目になる事を最期まで望んでたろうよ」
「……」


 胸がずきりと痛む。
 突然言われた10代目なんかになりたくない俺と、10代目になる為に育てられ生きてきたザン。

 どちらの方が辛いとか、どうすることが正解だとかは分からない。
 それでもザンの生き方には誰か人の為にという理由と、アイデンティティを確立する為という必死な想いがあることを俺は知ってしまった。
 無性にザンの手を繋ぎたくなった。

 --すんでのところで止めたけれど。

「もしザンが男だったらうまいこと友達になれたかな」
「は?んなわけねぇだろうが、男だったら今頃殺し合いしてる」

 そういう意味では女の体でよかったのかもしれねぇな、と幼い口調で呟く彼女は俺よりも背も高くて声も低くて、それでも可愛かった。





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最終更新日  2021.05.04 18:28:38
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