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長押綴

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2018.11.12

「だってリルバはあたしを嫁にもらうまで死なないって言ってたんだよ」
「お前が売れ残りそうだからもらってやるっつってただけだろ。
　心配すんなよ、俺が貰ってやっからよ」
「リルダじゃなきゃだめなんだよ馬鹿」
「馬鹿とはなんだよ」

　リルバリルバとうるさいモクワを引き摺って逃げる。

　リルバの遺体は置いていく。そうしてくれと頼まれている。
　俺に何かあったらモクワを助けてやってくれと。あいつ馬鹿だからと。
　仕方がない。　俺はこんな役回りばかりだ、めんどくせえ。

「おうよ、その息だ」

　そうだ、生きてくれ。

　泣いてもいい、苦しんでもいい、失ってもいい。
　それでもお前は生きてくれ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　あの日から１０年が経った。ついに復讐の目処が立った。
　押して駄目なら引けばいい。
　あいつらに俺たちの専門分野が効かないのなら、逆だ。
　俺達の非専門分野を研究検討してぶつけりゃあいいんだ。

　犬も喰わないこの廃棄物の行き場が見付かった。

　ついでに沢山の遺体から毒を抽出しては廃棄物との相性も確かめてみた。

　俺達の小さな爆弾が、あちらさんの量産してる兵器と発展した化学文明のお陰で大きな大きな花火を起こしてくれることだろう。ああ、楽しみだ。

　俺の名前はきっと歴史に刻まれる。最悪の形で。
　一人の看護婦に篭絡されて最悪の事態を引き起こした馬鹿。
　終戦後はきっと責任も取らされる。

　だがそれでもいいんだ。

　なあ、モクワ。

　俺の名前、ファーガって言うんだぜ。

　それでもモクワ。お前はきっと、あいつに褒められた大分薄くなった山鳥の尾のような痣のほうが、俺と成したなにものよりも大事なんだろうな。

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