Laub🍃

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2019.12.03
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この世界では。かつてちっぽけな人間だった者ほど、異様な結末に至るらしい。
 目の前で真っ黒に空を焦がしながら燃え盛るそいつによって、集まった兵隊たちが次々とエネルギーを吸い取られていく。そうして、そのエネルギーはたった一人に捧げられる。

 その一人の意志を無視したまま。

「おれは、おまえがぶじなら。おまえといっしょにいられるなら、どんなすがたになったっていいんだ」

 そう呟く「それ」に、雁字搦めにされたホーマが叫ぶ。

「どうして!おまえはいつもそうやって!危ないことばかりするんだ!」

 そう叫ぶ彼には同意しかない。
 ボクもまた、彼と同じように危なっかしい相方を持っているから。

 危なっかしいことをする同士、きっと同じ陣営だったら仲良くなれたのだろう。

 いや、断る神様に供物を捧げる狂信者同士、同族嫌悪に陥るかもしれないな。

「ホーマがチャーチを相手してるから、ボクたちはこっちをなんとかしないとね」
「お前に命令される筋合いはない」

 まぁ、素直に聞いてもらえるとは思ってないけど。

「じゃあ、コジョウの命令をボクは聞くことにするよ。どうする?」
「…アタシの魔法は今、貸し出し中なんだ」
「えっ!?」
「今『使えねー』って思っただろ、テメェ…」
「おっ、思ってないよ!!」

 コジョウじゃあるまいし、という言葉は呑み込んでおく。

「でも、代わりにもらったものもある」



「それは…」
「アタシが能力を貸した奴…ウィズとかいう頭のおかしい奴から借りた。
 精霊を殺しまくったナイフだ」

「えっ」
「精霊の怨念が染み込んでる。立派な呪具だ。持ってるだけで不幸が起きる。---つまり、ここに効く」



「これでお仕舞だ、チャーチ。ホーマと一緒に永遠に仲良くしてな」

 瞬間、雪崩が起きる。チャーチと、そのすぐそばに居たホーマの周りだけ。

「なんてことをするんだ君は…っ!」
「これしかないだろ?もとよりアタシはあの方さえ無事ならどうでもいいんだ」

「それにきっと、あの2人だって、お互いさえいればどうでもいいのさ」

 そういって笑うコジョウの笑顔は、どこか憧れを含んでいるようでさえあった。





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最終更新日  2020.12.28 00:57:18
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