Laub🍃

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2020.01.31
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カテゴリ: .1次長
「最後に教えろ……どうしてお前はそうやって……洞窟に住む蝙蝠のようにひらひらと立場を変える?」
「……アタシは墓守。地獄の門番の相方。だから、ここに居なきゃいけない。
 でも……長く同じ場所にずっと籠ってるとな、暇なんだよ」

「だからアンタたちを使って楽しませてもらった。それだけだ。
 もう疲れただろう?休むといい。これはお前に夢を見させてくれる」

 駄目だ、やめろーーーーーーー

 そう言う声は、生ぬるい泥に呑み込まれた。


……

…………




『ああ、帰ってこられたのですね!流石に糞がつくほど頑丈な貴方でも流石に危ないと思ったのですよ』

 ……?
 あれ?俺は確か、地の魔女の所に踏み込んで……

『ただいま』

 口が勝手に動き、返事をする。目の前の幼馴染はほっとした表情を見せる。

「地の魔女は倒してこられましたか?それとも…逃げ帰ってきましたか?」

 ふふふ、と笑う目の前の野郎に腹が立ち、「んだと」と言い返そうとした瞬間また口が勝手に動く。

『ああ、倒してきた。だからそれをあいつに報告するところだ。
 あいつを支配してる地の魔女を倒した事を伝えればきっと洗脳も解けるだろ』

 ……!?なんだ、何が起きてる?
 勝手に話が俺の目の前で進んでいく。



 そうして俺は訳の分からないまま、地獄に踏み込んだ。


********


「グルル、グルルゥ……!」

 はじめ嘘だ、ありえない、あいつが死ぬわけがないと喚いていたケルベロスだが、俺が嘘を吐いていないとみるや一転攻勢、体を獣化させ、失った手足も歪に再生させながら飛びかかってきた。

 だが一瞬後その首はびんと引っ張られる。


「お前は俺達のものになったってわけ。あいつにしたように仕えてくれねえとなあ」

 拷問女が愉快そうに嗤う。

『おい、やめろ』

 俺の偽の声は勝手に重々しい声を上げる。
 一瞬助かった、と思うがその気持ちは次の声でかき消された。

『俺がこいつに分からせてやるよ。あいつはもう居ないんだって』

 俺の体は勝手にケルベロスの首元をわしづかむ。

『もう体力は限界だろう?……俺ならお前を甘やかして助けてやれる』
「俺は……っそんなの、求めて、ねぇ……っ」

 ケルベロスの目と目を合わせる。

「っ……あっ……?」
『俺の言うことを聞け』

 嘘だ、やめろ、俺はお前に酷いことはしたくないんだ。
 世界中の誰がお前を傷付けても敵対しても、俺だけはお前を守って、味方で居てやりたいのにーーーーーーー俺の手は無情にも、ケルベロスを蹂躙しはじめた。


【続】





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最終更新日  2021.04.17 23:38:56
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