Laub🍃

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2020.02.07
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「ひっ、あっ💛やっ、そこ、ら、めぇっ」

 ぐちゅぐちゅ、と濡れた音が響く。

「ふむ、成程……貴方は夢現で正史、とやらを聴いていたのですね」

「んっ、そぉ💛だって、やっ」

 ケルベロスは小さく吐息を吐きながらも正直に答える。これまでどんな拷問にも屈しなかったのに。もっと早くやっていればよかった。

「そこで我々は何も知らず上の人々にいいように利用されていると……」

 くちゅくちゅ、ケルベロスの脳味噌を弄っている ロガス の問いに返ってくるのはくぐもった呻き声と喘ぎ声交じりの答え。

 訊きたいことは大体訊き出せた。後はこれをどう上や周りに伝えるかーーーーーと独り言ちていた隙を、縫うように。



 いやに明瞭な声が響いた。

「所詮お前らは全員あいつの掌の上なんだよ」

 ケルベロスが微笑んだ。

 あり得ない。
 ケルベロスを犯していた勇者は引き離して拘束させてもらった。
 存分に脳を弄らせてもらっていたケルベロスは先程まで奇妙に笑ったり泣いたり喘いだりと騒がしかったのだ。それなのに突然ーーーーーどうした?

 ロガス、手を引け。
 自分に命令するが、手は動かない。どころか。

「俺が。あいつが。なんの策も持たずに捕まると思うか?」

 ぐぼ、と音がする。拘束していた勇者が溶けおちる。溶けてーーーーみるみるうちに小柄な女の姿になる。

「地の…魔女……!勇者を乗っ取ったのか」

「……散々中に出しやがって。こいつらしくねぇと思ったけど、やっぱりお前だったんだな。この変態野郎が」
『……ま、そういうことにしといてやるよ。そうそう、全部私のせいだ。おかげで回復しただろ?』
「……腹が立つけどその通りだよクソ」

 ー何か勇者の様子がおかしいと思って駆けつけたが、手遅れだったようだ。

「このわんこは返してもらう」


 急いでケルベロスに向かって拘束具を投げるが一足遅かった。
 部屋のベッドが溶ける、装飾具が溶ける、部屋全体が溶けるーーーーーーー

「お前も、戻ってこい」

 そうしてーーーーー泥人形である ロガス も、溶けた。





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最終更新日  2021.05.07 23:54:32
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