やっぱり本が好き♪

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August 3, 2004

『海のふた』よしもとばなな

(4)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91909)

カテゴリ： ♪本の覚え書き♪

そう気づいたまりちゃんは、今はさびれて観光客もまばらな海辺の町へと帰ることを決意しました。
こんなにかき氷が好きだということは、これが天職だ。と、母の居る西伊豆へと戻り、一人でかき氷屋を始めるのでした。そしてその始まりの年に、母の親友の娘のはじめちゃんはやってきたのでした。

このところ読んできたばななさんの本は、すべて同じ一本のスジが通っているように思います。しっかりとした根の元に枝葉を伸ばし、いろいろな花をつけているような、そんな気がします。

大好きなおばあちゃんが亡くなり、遺産相続で修羅場と化す親族達。そんな中にいては身も心も傷ついてしまう。そんな配慮からはじめちゃんはかき氷屋を始めたばかりのまりちゃんのところへとやってきます。はじめちゃんは幼い頃火事に合いおばあちゃんに救い出されるのですが、顔と体にやけどを負い、その痕が残っています。しかしはじめちゃんはすれてもふさいでいることもなく素直で、かえってガラスのような心を持っていたりします。

まりちゃんが自分の住むべきところとやるべきことを見つける過程や、はじめちゃんが癒されてゆく様と、それを見てまたいろいろなことに気づいてゆくまりちゃん。
本当にばななさんの世界だなぁ。と堪能しきりでした。

ちなみに「まりちゃん」「はじめちゃん」と表記していますが二人とも大人です。

この本はすっきりとした表紙で作られているのですが、中には細かく力強い版画がたくさん盛り込まれています。

絵に目がいってタイトルを見てまた考えさせられる、そんな感じでした。

はじめちゃんとまりちゃんのその後と自分の生活を考えずにはいられない一冊でした。

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