謎の絵師といわれた東洲斎写楽は、一体何者だったか。 後世の美術史家はこの謎に没頭する。大学助手の津田も、ふとしたことからヒントを得て写楽の実体に肉迫する。そして或る結論にたどりつくのだが、現実の世界では彼の周辺に連続殺人が起きていて-。 浮世絵への見識を豊富に盛りこんだ、第29回江戸川乱歩賞受賞の本格推理作。
名作なだけに『今頃?』とお思いの方もいらっ者るかと思いますが、私にとっては今だから、この年齢だったからより楽しく読むことができたと思っています(笑)。
なんといっても、ミステリー性というよりは浮世絵の知識、時代背景、そして写楽という人物の謎にがっちり心も頭もわしづかみされて、主人公とともに写楽とは誰なのか!ということを調べている私がいました。
『ドールズ』シリーズを読んで初めて高橋さんを知った時も感じたのですが、なんて豊富な知識と語りのうまさなのでしょうか。
読み始めてすぐにとりことなってしまった私は、読むときは必ず電子辞書片手にして、わからないことや人物が出てくるとすぐに調べて読まなくては気が済まなくなっていて、そしてこの物語が空想でも絵空事でもなく、事実にとてもそっていることに驚き、私の中でもきっちりと人物の関わりや流れがつながって、とっても楽しかったのです。 田沼意次の政治、江戸時代という背景。。。なるほど~と感嘆しきりでした。
まったく物語に関係ありませんが、私個人の写楽の見解は…
節約政治に意を反した蔦屋が同じ思いの浮世絵師を内々に集めて共同作業で写楽という人物を作って、ある時期すっぱりと解散させたのではないかと思いました。 だから写楽と推定される人物が多数いるし、短期間で大量の作品を残したのではないでしょうかねぇ。
そんなことまで考えてしまうほど引き込まれる小説でありました。
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