PR
カレンダー
キーワードサーチ
特にこの講演会は事前に郵送されてきたプログラムの内容を見た瞬間に素晴らしい内容であることを確信し、「その日、自分の葬式でない限りは絶対に参加しよう!」と楽しみにしていたのです。今日はその内容をレポートしてみたいと思います。 なお、一部に専門的な内容を含んでいますことを御了承下さい。
特別講演が3題あったのですが、どれも明日からの日常診療にすぐに役立つ実践的で素晴らしい内容でした。1題目は「緑内障性紙神経症の診断と経過観察 コツと落とし穴」でした。ここで抜群に勉強になったのは以下の内容でした。
1. OCT(光干渉断層計)がないと診断できない視神経障害というのは確実に存在する。ただし、「ノンコン高眼圧症」ならぬ「OCT緑内障」の診断を下してしまうリスクもはらんでいる。それを避けるためにはOCT検査結果の「左右非対称性(緑内障のほとんどは左右非対称)」、また視野検査結果との「相応性」を確認することが大切である。(自分もOCT緑内障を量産しないように肝に銘じなくてはと思いを新たにした。)
2. OCTは素晴らしい器械だが、緑内障の進行判定に使うのはまだ危険。進行判定にはやはり視野検査が頼りである。そしてその視野検査をどの程度の頻度で施行すべきかについては、2008年のBJOに掲載された論文等から考えて、初回検査から緑内障の進行具合を示すグラフである「MDスロープ」を引ける5、6回目までは4ヶ月に1回が推奨される。進行スピードを把握できたらその後は6ヶ月に1回で良い。(以前から視野検査の頻度に悩んでいた。今回クリアカットに教えて頂いて本当に助かった。)
2題目は「フルオレセイン染色による眼表面疾患の見かた」でした。ここで特に勉強になったのは以下の内容でした。
1. フルオレセイン染色検査では、水滴を良く切って眼瞼縁にソッとつけるようにして無駄に涙液量を増やさないように意識することが検査の正確性を保つために大切である。(基本事項だが忘れがちと感じた。)
2. Blue Free Filter(BFF)というフィルターを使うと、通常のコバルトフィルターでは見えないものまで観察できる。具体的には結膜の上皮障害が良く分かる。このBFFはほとんどのメーカーの細隙灯顕微鏡に装着できるので是非使ってみて欲しい。(後で講師の先生に聞くとフィルターは12万円くらいするとのことで、ちょっとぷちぼったくり気味かなと思ったが、早速自分のクリニックでも注文した。)
上記のBFFフィルターですが、早速当院でも注文して装着しました。
このBFFフィルターを通すと、今まで観察しにくかった結膜上のSPK(細かいキズ)がはっきりくっきり色鮮やかに見えて、ドライアイ患者様の診察にものすごく役立ちます。まだ装着されていない先生には強力にお勧めできるアイテムと思います。
勉強会の話に戻りますが、3題目は「外来でできる! 眼形成小手術のあれこれ」でした。ここで格別に勉強になったのは以下の内容でした。
1. 霰粒腫の切開では挟瞼器を使わないやり方もある。その方がトータルの出血量が少ないし、指で挟んで取り切れたかを確認しやすい。また鋭ヒをガーゼでくるんで取り残しがないかを確認すると良い。(自分も一度挟瞼器を使わずにチャレンジしてみようと思った。)
2. 涙小管炎は見逃されやすいが日常臨床で意外に多い。涙洗で通水は可能だが出血がある、涙点付近に炎症がある、そういった症例では綿棒2本で涙点を圧迫すると菌塊が出てくることがあるので、意識して診察すべきである。(自分もかなり見逃していると思った。明日から気をつけたい。)
このように3題とも本当に勉強になり、明日からの毎日の診療ですぐに役立つエクセレントな内容でした。頑張って八幡浜から出かけて良かったです。
3次元眼底撮影装置OCTの制御パソコンをア… 2024.06.30
さよなら、US-4000。 2024.06.03
近視の進行を抑える魔法の方法を教えます。 2024.05.17