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さて今日も「フォーサム2012横浜参戦記」の続きです。
7月15日(日)の午前中は、日本眼感染症学会の一般講演をひたすら聞いていました。毎年この眼感染症学会はフロアの討論のレベルも高くて滅茶苦茶勉強になるんですね。
以下に勉強になったことを数回に分けてメモ書きします。眼科専門医向けの内容となりますことを御了承下さい。
一番勉強になったのは、「眼内炎」のセッションでした。
白内障の手術後には1000~2000分の1の確率で眼内炎という感染症が起こることがあり、
その発症予防にはプリセット眼内レンズ(目の中に入れる眼内レンズが予め機械にセットされていて、眼の表面に触れることなくレンズを眼内に挿入できるもの。ちなみに当院でも全ての症例に対してこのプリセットタイプの眼内レンズを採用している。)
の使用が推奨されています。プリセット眼内レンズでの眼内炎の報告は少ないですが、今回の学会では実際に起こった症例の発表がありました。
それは術後3週間程度経ってからの発症であり、原因菌はP.acnes(プロビオニバクテリウム。皮膚に一番多く存在する菌)と考えたとのことでしたが、フロアからの討論で「P.acnesなら4~6週はかかるのでちょっと発症が早すぎる。電子顕微鏡所見からS.epidermidis(表皮ブドウ球菌。主として鼻腔や表皮に常在する。通常は非病原性だが体内に入ると今回のように病原性を発して悪さをすることがある。心臓のOPでカテーテルや心臓弁に付き易い)だろう」。との指摘があり、すごく勉強になりました。
今回の症例では眼内レンズ(IOL)ループの最先端に菌の塊とバイオフィルム形成を認めており、IOL挿入前に創口付近をBSSで十分に洗浄していなかったことにより、そこにいた菌をIOL挿入時に拾ってしまいそれが眼内炎発症に繋がった可能性があるとの結論でした。
私はいつも術野を常に水で洗い流して綺麗に保つように気を付けているのですが、今後、眼内レンズ挿入前の洗浄をいつも以上に更に徹底して行こうと肝に銘じました。(続く)
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