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さて今日も第6回東京眼科アカデミー参戦記の続きです。
次のセクションは「緑内障診療の進め方」という、日本の緑内障診療の第一人者の先生による特別講演でした。
この講演では緑内障診察で大切なことが豊富なデータ・論文と共に示され、抜群に分かりやすい上に内容が深くて感嘆しました。以下に勉強になったことを個人的なメモとして残しておきます。眼科専門医向けのややマニアックな内容となりますことを御了承下さい。
緑内障は慢性疾患で何十年も患者様を診ないといけないので、常に「基本に忠実に診ること」、目の中の水の出口である隅角(ぐうかく)を必ず診ることが大切であることが強調されました。特に隅角検査については、見ないと分からないぶどう膜炎や続発緑内障、外傷による隅角解離などがあるので必須であることを繰り返し述べられていました。
また最近では緑内障の目薬は新薬や配合薬の発売で百花繚乱の状態であるものの、実質はPG、β、CAI、α2の4択であること、PGが入っているとα1(デタントール)はほとんど効果が無いので注意が必要なこと、
新薬のアドレナリンα2受容体作動薬のアイファガンは、他のどのクスリにも追加できる良さがあること、ただし、その追加の効果は先生のデータでは107例107眼で平均0.5mmHgの下降に過ぎず、やってみると思ったほどでもなかった、ただし中には凄く効く人もいたこと、「眠ったまま起きなくなった子が実際にいた」ことから2歳未満には禁忌であること、副作用として眠気やめまいが出る人はどうしてもいること、併用注意にアルコールがあるがまあ大丈夫でしょう、など細かいノウハウが凄く勉強になりました。
また現在緑内障治療の第一選択薬であるプロスタグランジン(PG)関連薬の副作用の一覧表も滅茶苦茶勉強になりました。
ここで私なりに各PG薬の長所をまとめると、
ラタノプロスト(キサラタン)は、最初に出た薬で非常にバランスが良い
トラボプラスト(トラバタンズ)は、効き目が他のPGより長い可能性があり、また防腐剤に工夫が凝らされているのが良い
ビマトプロスト(ルミガン)は、副作用が多いがとにかく効き目が強くて眼圧がガツンと良く下がる
タフルプロスト(タプロス)は日本の参天製薬の自社開発品で、日本人の瞳を見つめて作られた良さがある、また全体に副作用が少なく防腐剤の濃度も極めて低い(0.001%)
となります。
ここで最初の副作用の表の話に戻ると、最近DUES(デューズ)といって、目の上の皮膚が奥に落ち窪んでしまう副作用が割と問題になっているのですが、PG関連薬の中で最初に発売されたラタノプロスト(キサラタン)ではこのDUESがほとんど無いという話が印象に残りました。PG関連薬では今でも一番古いラタノプロストがシェアナンバーワンな のですが、それはやっぱりクスリとしてのバランスが非常に良いということなんだろうなあ、と納得しました。(続く)
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