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2013年01月06日
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友 よ (二)


念頭にエッセイを再掲します

悲しいとき、
苦しいとき、
このエッセイを読むと私の青春がよみがえってきて
私を激励してくれるのです

「まけないで 前へ!」

涙がでるほど嬉しいときは

「よかったね!」

一緒に喜んでくれるのです




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                                    母衣崎 健吾


白百合を手向けし墓標 真向かえば
  君が顔見ゆ 君が声聞こゆ

恥じらいて「白百合が好き」言いし友 
  ひたむきに生き ただひたむきに     


 友が逝って、三年が過ぎた六月、嫁ぎ先を初めて訪ねた。

 友と初めて出会ったのは中学の頃だ。私はバスケが飯より好きな少年で、雨の日もドロンコになってコートを走り回り、日曜日も練習に明け暮れていた。そんな時、顧問の先生が奔走して隣村の中学の女子バスケ部との対校試合を持ち込んできた。友はその隣村の中学のキャプテンだった。
 隣村の中学の男子部は、例年地区大会の最大のライバルで、まじかに迫ったその年の大会でも私たちのチームと、郡大会に出場できる優勝をかけて激突するはずだ。その学校の女子部との対戦ということが気がかりだった。
「きっと、偵察される。それになぜ女子部と:」


 当日、隣町の中学に着くと、バスケコートを取り囲んで何重にも輪ができていた。その中央には既にメンバーは整列していて、私たちを拍手で迎えてくれた。
 私たちの整列を待って、友が片手をあげて、
「大会前の貴重な時間を私たちのために割いてくれてありがとうございました。胸を借りるつもりで、本気で戦います」

 堂々の宣誓だった。背丈は私たちと同じ位だったが、ずっと大人に見えた。何よりも半袖にブルマ姿が眩しかった。私たちの中学は体育の時間は男女別々で、一緒に競技することはなかった。

 試合が始まってすぐにリードされた。すぐにタイムがコールされた。

「キャップテンの君がそれでどうする。彼女たちは県大会の優勝候補だよ。忙しい日程を空けて、君たちと対戦してくれているんだ。彼女たちを女子と思うな。素早いパス、正確なシュート、ドリブル力、ジャンプ力、いずれも君ら以上だ。全力で立ち向かえ」

 タイムが終わってコートに戻ると、恥ずかしい気持ちは消えていた。
 徐々に差が詰まり接戦になった。応援の人たちも総立ちになって声を嗄らした。経験したことのない一体感が全身に押し寄せてきた。
試合が終わると彼女たちが駆け寄ってきて、握手をしてくれた。
「いい試合だったわ。ありがとうございました」
「ぜひ県大会で優勝してください」

 笑顔いっぱいの彼女たちは、コートの中央で円陣を組んで、私たちのチーム名を連呼した。
私たちは、分け隔てなく応援してくれた隣村の生徒たちに正対して四方にお辞儀した。波のような拍手がコートを包んだ。
顧問の先生はいつもの柔和な顔に
戻っていた。

 友は高校を卒業すると、幼稚園の先生になるのが夢だと言って、故郷を離れ、働きながら学べる夜間の短大に進んだ。成績は抜群であったが、親に負担をかけたくなかったのだろう。村中が貧しかった。運命は自分で切り開くしかなかったのだ。
 無事に保母の資格を取って、故郷の幼稚園に職を得た。数年を経て、友を励まし続けていたSさんと結婚した。


 運命を自分で切り開いてきた友を病魔が襲ったのは三年前の春のことだった。責任感の強い友は、新学期の始めの忙しさも災いして、変調を感じながらも、大好きな園児たちと接し続けた。立って歩けないほどの状態になって、病院の門を叩いた時は、もう手の施しようがないほど、病気は進行していた。
 せめてもと、友の教え子が通う小学校の校庭が見える病院に移ったのが秋、友が逝ったとの知らせを受けたのは、春がそこまできていた三月のことだった。

 バス停から友の嫁ぎ先まで歩いた。
 路地に入ると、一人の少女が待っていた。
友との出会いのころからこれまでのことに想いを巡らしながら歩いていたので、危うく声をあげそうになった。目鼻立ちが端整なその少女は、出会った頃の友にそっくりだった。
 軒先までくると、少女ははにかみながら踵を返していなくなった。
友の遺影がある仏間に通された。
「文集がやっとできたよ」

 静かな時間が流れた。
お墓参りに向かうと、少女が再びやってきて、先立って案内してくれた。

 墓標は海を見下ろす高台に、海に向かって立っていた。
「お母さん、お母さんがよく話をしていた人がきてくれましたよ。お母さん、会いたかったでしょう。よかったね」

 少女は私に一礼して下りていった。
 私を気遣ってくれたのだろう。
 一人になって、友が好きだといっていたユリの花を手向けると、止め処もない新たな悲しみが襲ってきた。


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                                 カット作品:赤ずきんちゃんの散・歩・道





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最終更新日  2013年01月06日 05時44分57秒
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