月臣邸

2005.12.26
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扉には「ナイトメア様」って書かれた紙が貼ってあるから、ここだろう。
扉を前にして、何故か自棄に緊張した。

ドアノブに手をかけて、ゆっくりとドアを開ける。


――…すると、そこに広がっていた光景は。







…黄泉が、ドラムの奴とキスしてる姿。
俺からは、ドラムの奴の背中しか見えないけど。そいつの頭は下がってて、黄泉と顔を合わせているのがわかった。
黄泉が小さな白い手で、ドラムの奴の衣装の袖を握り締めている。


…なに、あれ。






俺の存在に気付いた黄泉は、そのドラムの体の陰からひょこっと顔を出し、俺の名前を呼ぶ。


…ウザい

なんだよ、結局

あの影アナも…ソイツとジャレついてたんだ。

”俺が見てるから”ライブ中は少しもジャレつかなくて…俺がいない楽屋ではイチャついてるって訳ですか?


ふざけんなよ






「…! 流鬼!?」


くるっと後ろを向いて、楽屋を後にする。
すると楽屋からは黄泉の驚いたような声が聞こえてきた。

何? 追ってくる気?
ついてくんじゃねぇよ、バーカ。



なんだ。結局は俺との関係は遊びだったんだ。そっか?


だったら俺から消えてやるよ。




急ぎ足で、ライブ会場から去っていった。












「…甘…」


一昨日と同じ、喫茶店。

しかし、どうも俺には甘すぎる。


…ハァ。なんかもう…なんだってんだよ。
こんなに――黄泉のこと好きだったのに。

まぁ、黄泉ってモテるし。俺も、モテるし。
別に黄泉にとっては、俺じゃなくてもいいのかもしんねぇな。


…でも……

だけど。




「…る、流鬼…ッ」
「…――ッ!?」


ギュッ、と。


不意に、小さな――少し汗ばんだ体に、抱きしめられた。

すぐに、香りで黄泉だとわかる。


夜だから、客も全然いないけど。
店員に、チラッと見られた。


「ちょ…やめろよ。なんなんだよテメェ」
「だっ…て。なんか怒ってるみたぃ、だったから…。楽屋にも入ってこなかったし…。追いかけて、きたの」


…ハァ? 怒ってる”みたい”? 
何言ってんの、コイツ。

恋人が浮気してんのに平常心でいられる奴いる訳ねーだろ。


「…ああ、怒ってるよ。怒ってるに決まってんじゃねぇか。
ウゼーよお前…どっか行け」
「……っな、…で……そ、んなことゆぅ…の…っ?
ゃだ、よぉ…俺…ッ流鬼のこと好きなのにぃ…」
「へーぇ。俺のこと好きなの? 信じらんねぇ。俺、浮気する奴とは付き合いたくねぇんだよ」
「う、わき…? 俺がいつ、浮気したの…っ」


…マジでなんなんだよコイツ…。バックれる気?
苛立ちが隠せなくて舌打ちすると、涙を溢れさせる黄泉の身体がビクンと強張った。


「影アナ。聞いてたよ」
「…ふぇ…」
「楽屋でも、ドラムの奴とキスしてたよな? 俺とのキスよりずっといいだろ?」

「な、に言って……キスなんてしてない、してなぃ…よ」

「…俺、見てたんだけど。お前とドラムがキスしてんの」


「違う、よぉっ…見間違いだもん…っ


アレは、目に入ったゴミ見てもらってただけだよっ!」





「……は?」


かなぁり、間の抜けた声を出してしまった。



「影アナは罰ゲームだもん…っ
 指スマで負けたせいでね、罰ゲームで…くすぐりされながらアナ、してたの…っ」







…………。



アレ。なんだコレ。
言い訳じゃねぇよな。

…もしかして、俺の勘違い……?




「ゆ、許してよぅ流鬼ぃ…っも、目にゴミ入っても…自分で取る、からぁ…ッ!
指スマも、負けないようにいっぱいいっぱい練習するからぁっ…。
だから、怒らなぃでぇ…っ浮気なんてしてなぃっ…しなぃ、からぁっ!」

「ちょ、黄泉…落ち着け」


逆に俺が焦って、黄泉の瞳から零れ落ちてくる雫をひとつ舐めて頬を撫でた。
小さい身体を、力いっぱいギュッと抱きしめる。




…心底、ホッとしてる自分がいた。

なんだよぉ。俺の勘違いかよ!
勘違いでこんなに嫉妬するとか…どんだけヤキモチ焼きなんだ俺…。

いや、違う。黄泉が可愛すぎるからだよ。黄泉のこと好きすぎるからだよ。


「ごめ、黄泉……。俺もう、勘違いしたりしねぇから…ちゃんと確かめてから、それから怒る…から」
「ん、流鬼ぃ…っ好きだよっ! 嫌いに、ならなぃでぇ…」
「わかってるから…。俺も、好きだから」


チュッ。と音を鳴らして
口付けを、した。




なんで、こんなに愛しいんだろう。
俺の恋人は、こんなにも。






愛してるよ。
ごめん、こんなにも嫉妬深い俺で。
でもそれも、愛の証だから。
仲直りする度、愛が深まっていくんだ。




この溶けたパフェの、
クリームとアイスみたいに

混ざって混ざって


これからも、愛し合おう。




…因みにこの2人は場所も考えずイチャついている為店員に白い目で見られているなんてことは言うまでもない。


Fin





途中で力尽きた感が大有りですなー…(汗








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Last updated  2005.12.26 16:36:15
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