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2008.07.16
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真説 金田一耕助
横溝正史『真説 金田一耕助』
~角川文庫、1979年~

 横溝さんの随筆集です。こちらは、昭和51年(1976年)から翌年まで、毎日新聞で連載されていたそうです。
 最近紹介しました 『横溝正史自伝的随筆集』 よりも、軽快な感じです。和田誠さんによるイラストも素敵です。

 映画「犬神家の一族」に出演されたときの思い出から、とつぜんのブームに驚いておられる様子、作品にまつわる思い出など、いろんなエピソードの紹介があって面白いです。そう、金田一シリーズの自選ベスト10なんかにもふれられていますよ。

 本書を読んでいて思うのは、横溝さんはとてもサービス精神が旺盛な方だったんだなぁ、ということ。文章からも、ファンへの感謝の気持ちや優しさが伝わってきます。
 印象に残って付箋をはったのは、勲章(勲三等瑞宝章)をもらったときのエピソード。芥川龍之介は「勲章を胸にぶらさげて歩く人間の気がしれぬ」という意味の言葉をいったそうですが、その言葉をひきながら、次のように続けます。
ところで私の文庫本を支持してくれる読者の大半は、ヤングといわれる年齢層だときいている。私のところへくるファン・レターも大部分は高校生である。しれみれば、ヤングが勲章をくれたのも同じではないか」
「そうなのだ。私だって苦しみの連続だった。たとえいかがわしいと自分で極めつけている作品にしろ。そういう作品群が、若い人たちのいくらかでも憩いになっているとすれば、誇りをもって勲章をもらってよいではないかと、私は納得した。
 ちかくごく内輪のひとたちで、私の叙勲祝いをやろうではないかという議がもちあがっている。私は胸に勲章ぶらさげて、その席に臨むつもりである。たとえ芥川龍之介が生きていて後ろ指を指そうとも

(52-53頁)
 なんというか、素敵な方だなぁとあらためて思います。

ーーー
 ところで、この土曜日に出かけたときにかけていたラジオで、たまたま横溝さんの話題になっていました。どうもご親戚の方が言うには、横溝さんは気むずかしい方だったとか…。そんなエピソードも興味深いですね。
(2008/07/14読了)


*表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。





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Last updated  2008.07.16 06:39:08
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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