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2010.10.21
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~島田荘司『島田荘司全集I』南雲堂、2006年、335-579頁~

 島田荘司さんの第2作品にして、御手洗潔シリーズ第2弾です。
 全集の背表紙と扉では『斜屋敷の犯罪』となっているのは、有名かもしれません。せっかくの全集なのに、たしかにこの誤植は残念ですね…。
 2007年に文庫で再読した時の自分の記事では、「御手洗シリーズの中ではあんまり…」と書いていましたが、その感想を撤回したいですね。たしかに大仰なトリックですが、面白いものは面白いです。
 と、感想が先走ってしまいましたが、あらためて内容紹介と感想を。

ーーー
1983年(昭和58年)12月~1984年(昭和59年)1月、北海道。
 流氷をのぞめる宗谷岬のはずれにある高台に、「流氷館」はあった。ハマー・ディーゼル株式会社社長の浜本幸三郎が建てたその館は、塔とセットになっており、そのいずれもが斜めに建てられていた。そのため、それは「斜め屋敷」とも呼ばれた。

 英子の態度により、幾度か不穏な空気が流れたものの、おおむね穏やかにパーティーが終わった、その深夜に異変が起こる。菊岡社長の秘書クミが、不気味な顔が窓から覗いていたというのだった。翌朝、さらに事件が起こる。菊岡社長の運転手が、密室状態の中、胸部を刺されて死んでいたのだった。
 刑事たちの捜査が始まり、彼らも泊まり込んだために何も起こらないと思われたその夜に、ふたたび事件が起こる。菊岡社長が、完全な密室状態の中で、背中を刺されて死んでいたのだった。
 あまりに不可解な事件の中、捜査に当たっていた牛越刑事は東京の中村刑事に応援を依頼する。それを受けた中村刑事の依頼により、御手洗潔と石岡和己が「斜め屋敷」を訪れる。
ーーー

 外国で活躍する御手洗さんに比べ、特にこの頃の御手洗さんは演説家ですね。なにかそういう時期だったのでしょうか…。
 本作に登場する牛越刑事は、『死者が飲む水』でも活躍されますが、好きな刑事さんの一人です。吉敷シリーズで吉敷さんに協力する人たちもそうですが、案外素敵な刑事さんも島田荘司さんの作品に登場するように思います。
 内容の方は、大がかりなトリックを中心とした本格ミステリです。読者への挑戦も付いているのですが、私はもう何度目かの再読というのに、さっぱりでした…。この記憶力の低さは何度もミステリを楽しむための特技だと思うようにしましょう…。

 さて、上で一つ誤植のことを書きましたが、一点気になる(そしてげんなりする)誤植がありました。 522頁「おムツにカビがはえましてよ」は、正「おツムに…」
 だと思います。
 ちなみに文庫版の方を確認しますと、「おツムに」の言葉は入っていませんでした。全集に入れるにあたって改訂されている部分なのに、残念ですね…。第2版では修正されていて欲しいです。

 雑学として気になった人物が二人いるので、メモしておきます。


 フランスの郵便配達員。配達の道中石を拾うようになり、拾った石で理想宮を造った。
・ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(Giovanni Battista Piranesi, 1720-1778)
イタリアの建築家、銅版画家。古代のローマの研究もされていたようですね。

(2010/10/02読了)





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Last updated  2010.10.21 07:05:31
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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