~講談社文庫、 2019 年~
堂シリーズ第7弾にして、シリーズ最終作。解説含めて約 620 頁と、ボリュームのある一冊です。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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宮司百合子のもとに届いた、数学界の天皇とも呼ばれる藤衛からの手紙。それは、 24 年前に彼女の親族も犠牲になった大聖堂への招待状だった。
善知鳥神とともに大聖堂のある島を訪れるが、その他の客がそろった時点で地震がおき、ヘリポートは崩壊し、島に閉じこめられたような状態になってしまう。
そして訪れた大聖堂は、客室のある塔と、空洞の塔が重なり合ったような、奇妙な作りだった。それは、 24 年前の事件で崩壊した大聖堂の再現だった。
招待者の藤衛は、大聖堂に現れない。彼は、百合子たちが訪れた翌日に襟裳岬で講義し、百合子たちは相互対話が可能な大聖堂のモニター越しに、その講義を聞くこととなるという。
講義の最中、次々と事件が起こる。数学者たちが、撲殺、焼死、刺殺、凍死と、不可解な死を遂げる。 24 年前同様、遠く離れた場所にいる藤しか犯人はいないと思われるが、はたして事件の真相とは。
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最終巻ということもあり、提示される謎のスケールが桁違いです。犯人は誰か、はほぼ特定されているので、ひたすら「いかに不可能犯罪がなされたか」の解明が焦点となります。問題点が明確になり、追いやすいですね。
謎解きの面白さはもちろんですが、終章が特に好みでした。解説が担当編集者さんということもありますが、周木さんはもちろん、編集者さんも含めて、このシリーズを大切にされているのが伝わってくる物語でした。
良い読書体験でした。
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