のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2024.12.30
XML

ポール・ショシャール(吉倉範光訳)『動物の社会・人間の社会』
~白水社文庫クセジュ、 1957 年~
Paul Chauchard, Sociétés animales, sociétés humaine , Press Universitaires de France, 1956


 著者ショシャールについての情報は本邦訳書になく、出版年の記載も見受けられませんでしたので、フランス国立図書館のショシャールについての記事から原著出版年の情報は補足しました( https://data.bnf.fr/fr/12596472/paul_chauchard/ 2024.09.16 閲覧)。
 本書の構成は次のとおりです。

―――
訳者序
まえがき
第1部 社会の有機的基盤
 第1章 社会関係の生理学
 第2章 社会と性
 第3章 昆虫の社会生物学
第2部 脊椎動物の社会心理
 第1章 領分と共同生活
 第2章 社会の席次

 第3章 動物の水準と飼いならし
第3部 社会意識と人間社会
 第1章 人間の水準
 第2章 人間社会進化の二段階
むすび
文献
―――

 著者は、社会について、「社会的なものとは、他人との、とくに同類との関係における個人の行動にほかならない」 (11 ) 、「基本的社会事実は個人の生物的特性、個人が集団を作って他と接触するときに起こる生理的変化である」 (19 ) と述べ、「個人を外部から支配して、個人の行動を団体の行動に合わせる超組織」 ( ) ではないとします。
 以下、上に掲げた構成をなぞるだけになりますが、第1部の中でも第1章・第2章は本書の前提をなしていて、社会の類型などが論じられる部分を特に興味深く読みました。
 第1部第3章は、昆虫に着目し、特にシロアリ、ミツバチ、アリについて論じます。
 第2部は脊椎動物に目を移し、第3部は人間社会を扱います。人間は動物から進化してきたため、「人間には動物的のものが残存して」いるため、「人間と動物に共通な行動に向けられるべき面がある」 (101 ) とし、本書で論じる動物社会学の意義を説きます。一方、人間が「古い本能に身を任せれば……腐敗し、けだもののまねをする。人間の生き方にも、生物的のがある」 (103 ) と述べ、いわば人間かくあるべし、といった提言のような論調になっていく印象を受けました。
 ふだんふれない分野ですが、昆虫や動物の行動について興味深い言及も多く、また構成もすっきりしていて、読みやすい1冊でした。

(2024.09.06 読了 )

・その他教養一覧へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.12.30 12:54:43
コメント(0) | コメントを書く
[教養・学術書(西洋史以外)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 第2部第…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 脳科学に…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: