ツルゲーネフ(神西清)『はつ恋』
~新潮文庫、 1987
年 73
刷改版~
ロシアの作家イヴァン・セルゲーヴィチ・ツルゲーネフ( 1818-1883
1860
年発表)。ある青年(少年?)の、不思議な初恋を描く物語です。
ヴラジーミル・ペトローヴィチが回想する初恋の思い出。
1833
年夏。 16
歳の頃、両親と別荘で過ごしていたヴラジーミルは、はなれの別荘にいる女性―ジナイーダと近づきになりたいと願い始めます。
没落した公爵夫人であるジナイーダの母が、無心のため、ヴラジーミルの両親を訪れた日、ジナイーダは自分には目もくれません。しかし、それからというもの、ヴラジーミルは、ジナイーダを慕う男たちとともに、ジナイーダの部屋で様々なゲームに興じます。
とはいえ、ジナイーダが自分の思いに気付いていることは分かりますが、彼女が自分をどう思っているのか分からないまま、彼女に優しくされては舞い上がり、冷たくされては悶々とした日々が続きます。
ある日、彼女の様子がおかしいとき、彼女が誰かに恋をしていることに気付きますが…。
初恋の女性に心を振り回される主人公ですが、彼を待ち受けるのはさらに残酷な状況です。
訳者による解説によれば、ツルゲーネフ自身の生涯も踏まえ、本作には「不気味な美」がある、と評されていますが、まさに不気味さも感じる1編です。
(2024.10.30 読了 )
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