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2025.01.13
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ツルゲーネフ(神西清)『はつ恋』
~新潮文庫、 1987 73 刷改版~


 ロシアの作家イヴァン・セルゲーヴィチ・ツルゲーネフ( 1818-1883 1860 年発表)。ある青年(少年?)の、不思議な初恋を描く物語です。

 ヴラジーミル・ペトローヴィチが回想する初恋の思い出。
1833 年夏。 16 歳の頃、両親と別荘で過ごしていたヴラジーミルは、はなれの別荘にいる女性―ジナイーダと近づきになりたいと願い始めます。
 没落した公爵夫人であるジナイーダの母が、無心のため、ヴラジーミルの両親を訪れた日、ジナイーダは自分には目もくれません。しかし、それからというもの、ヴラジーミルは、ジナイーダを慕う男たちとともに、ジナイーダの部屋で様々なゲームに興じます。
 とはいえ、ジナイーダが自分の思いに気付いていることは分かりますが、彼女が自分をどう思っているのか分からないまま、彼女に優しくされては舞い上がり、冷たくされては悶々とした日々が続きます。
 ある日、彼女の様子がおかしいとき、彼女が誰かに恋をしていることに気付きますが…。

 初恋の女性に心を振り回される主人公ですが、彼を待ち受けるのはさらに残酷な状況です。
 訳者による解説によれば、ツルゲーネフ自身の生涯も踏まえ、本作には「不気味な美」がある、と評されていますが、まさに不気味さも感じる1編です。

(2024.10.30 読了 )

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Last updated  2025.01.13 10:53:19
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