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まだアピタがなかった頃。潮見通りのその向かい側に「浜正」というお店があった。和食全般を扱っていたが、私はそこに行くと決まって、穴子丼を注文した。それは一店一品に値するような素晴らしい代物だった。丼には、ほかほかのたっぷりご飯。その上に縁を大幅にはみだして、穴子の1本揚げがどんと鎮座していた。25~30センチくらいはあっただろう。濃厚で甘辛いたれが双方にまんべんなくかかっている。やや色白っぽくあがった穴子天はまさに絶品。カリッと噛んだあと、身のふんわりが優しくやってくる。その歯ざわりだけでやられてしまう。歯みがきでよくケアしなければいけない部分、歯の裏側の全部が、その食感にもだえ喜んでいる。食べかけのあな天の断面がほっこりとのぞいている。そこをまた一口いく。身の一部がほつれ落ちる。湯気の香りまでがおいしい。存分に淡く、存分に甘い。鰻重は大好物なので、たぶん毎日食べても飽きないだろうが。それを食べるときとはまた違った充実感が、この穴子丼にはあった。同じく大好物の天丼とも、また異なる。淡白でいて濃厚。濃いようでいて、素材の淡さを存分に楽しめる。白身魚のようでいてやはり穴子。鰻のようでいて、やはりそこは穴子。天丼のようだが、たれはみごとに蒲焼系。蒲焼だれだが、天ぷらのおかげもあって、そのしつこさがずっと和らぐ。和食系の食欲の隙間(ニッチ)を縦貫して、その横一文字の逸品は、みごとに存立していた。味噌汁と香の物がつき、これで1000円。(サイズはややショートになるが)夜は2本載りになって1200円。穴子丼というと、この店の逸品が標準品であるし、基準品となっている。残念ながらそれ以来、これをこえる品物にはまだめぐり会っていない。
2006.09.30
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以前、詩で入賞した。その副賞がイタリア旅行だった。ミラノからローマにむかう列車の中。対面座席のコンパートメントの中で、イタリア人の老夫婦と知り合いになった。こちらは少しの英語と少しのイタリア語と大量の日本語。むこうは少しの英語と大量のイタリア語。イタリア語といっても知っているのは、歌曲の歌詞と音楽用語と食べ物の名前くらい。これでよく通じたものだと後になって感心するぐらいだが。とにかく気持ちだけは通じ合っていた。スイスの方を旅してきて、いまフィレンツェに帰るところだという。穴のあいたコインが珍しいだろうと5円と50円硬貨をあげる。おじさんはそれを妻に見せてから、両手を大げさにふって(ありがとう)と頭をさげた。(今夜どこに泊まるんだい)(フィレンツェです)うんうんと納得顔をする。ガイドブックのフィレンツェの市街図を出すと、ここだここだと指をさす。(うちに来てゆっくりしていきなさい)と言っているらしかった。隣の奥さんも(そうよ、そうして)と言うように微笑んでいた。住所はここだからと一枚の名刺をくれた。日本のものよりサイズが二周り大きい。これでEさんの本名を知った。既製品ではなく、特注のパックツアーだったが、スケジュールがびっしり入っていて、とても抜けられそうになかった。私はお礼だけ丁寧にのべた。周囲に建物が重なりはじめ、大都市の予感が満ちてくる。列車がスピードをゆるめていく。継ぎ目をひろう音が小刻みにつづく。線路が枝分かれし、枝分かれをくりかえす。それはどんどん幅広くなっていった。Eさんご夫婦が先に立ちあがった。ツアーの同行の人たちが私の名前を呼んだ。みると、通路にいたEさんが向こうの大きな建物を身ぶり手ぶりで私に示していた。大聖堂―ドゥオモだった。(よーく見てくれ。俺たちの街の誇りを)と言いたげな胸の張りかただった。ホーム上でもう一度あいさつして、私たちは別れた。その夜、やはり抜けられるような余裕はなく、Eさんの所にはいけなかった。ツアーから帰って半年後。部屋の整理をしているとき、あのときもらった名刺が出てきた。私はダメもとで絵葉書を送った。2週間くらいして、ベッキオ橋の絵葉書がやってきた。Eさんの奥さんからの返信だった。1年後結婚した。新婚旅行はイタリア。今度は、あのとき行けなかったEさんの家をたずねてみようと思った。その旨を告げる手紙を出すと、ただ一言(OK)と記した絵葉書がやってきた。ツアー会社の人に連絡を取ってもらって、時間とかは調整済みだった。公園近くの石造りのマンションの前に立つ。Eさんのネームプレートをその柱に見つけた。一棟に六戸しか入ってないマンションだった。インターフォン連絡をすると、その向こうでたしかにあのときの奥さんの声がした。回廊のようになった石畳のところに奥さんが姿をあらわす。懐かしくて嬉しくて。握手のあと、思わず抱きしめ合ってしまった。初対面の奥方を紹介する。モノクロ映画に出てくるような鉄格子の重厚なエレベーターにのり、3階でおりた。お子さんやお孫さんが来てくれていた。この日に合わせて、呼んだらしかった。おじさんは仕事で出かけていて今日は不在だという。また列車のときと同じように、少しの英語と少しのイタリア語と大量の日本語、少しの英語と大量のイタリア語同士で会話しあった。別室に招き入れられた。壁一面に写真がかざってあった。大小さまざまなサイズの額が適当に配されているのだが、それがいかにも自然にバランス良く飾られていた。そこに写っている一人ひとりをおばさんが説明してくれる。一つの額の中に、以前私が送った私と奥方二人の写真があった。鶏レバーのカナッペのプレートが供された。ロッソワインが注がれる。今晩は、おばさんが料理の腕をふるってくれるという。しばらくして、ダイニングのほうに通された。7人ほどで囲む大きな食卓。イタリア映画の1シーンに、自分たちも参加しているような気がした。ペペロンチーノがやってくる。大きなビーフステーキが続いた。バージンEXのオリーブオイルが行き交う。新たに白ワインが注がれた。腕と腕が交差した。私が立ち上がろうとすると(いいから)と、おばさんがお孫さんに指示した。ドルチェは、ヌガーとジェラートが出された。本当に濃厚なエスプレッソをやりながら、にぎやかになごやかに会話しあった。お腹をよじって笑った。なぜかベルルスコーニの名前まで飛びだした。ヴェルディの一節を口ずさみあった。「アイネ・クライネ」を、お孫さんがリコーダーで吹いてくれた。このときの食卓のことは、たぶん一生忘れないだろう。Eさんご夫婦との交流は、今もまだ続いている。年に何回か手紙のやりとりをする。クリスマスカードは、互いに欠かしたことがない。すごいことは書けないが、むしろ簡単な単語の羅列くらいのほうが気持ちが通じるような気がしている。おばさんがあのときくれた(OK)の葉書こそ、心のすべてが含まれた最高の手紙だと今でも思っている。「長靴の親和」田園を吹き押すようにTEE列車はなめし流れる 南下にぬれて遠く湾曲していた道がふと斜めに近づいてきて踏切(れっしゃ)に至る血も影も香らず車窓をうつり行く 街の稜線・オリーブ・みどりわれという縦歴史誤差どうすれば「にがい米」とのリンクかなうか花の都を細くアジアな風が斬る アルノ河沿いぐんぐんバイク右ひねりしたまま俊な手わき見る眼 縦列組もうとフィアット・ウーノ青銅のとびら彫刻見つめすむ人ら 各個にくすむ仰角忽然の窓からのぞく裏通り 遠近法とフィレンツェ・オレンジ気持ちよく磨耗したリアル石壁にざらり撫で行くボクが昼影どうなってもいいような気で石畳奥の射影にずぶずぶもぐる2分だけじっと目を閉じHIGHで立つ 一切を吸う硬派の午睡コンパスは必需品かも海の伸す方位つかんでいないと不安路の辺にフリル添えおる鉢群れにおもう 花・秘話・都市との自愛イタリアを旅する自然必然にパスタ飽かずの嗜好整う他所を視るイマジネーション善悪の内におさまる誤差にしたしむ「ちょい似てるけど基本から違う、そこが狂おしいくらいいいんだよなあ」と強く説くような6月ローマの光見送れる老夫婦まるく立ち止まり祈手くむサン・ピエトロの内峻険にしまる教会椅子に座すときの意外な木冷え、硬質旅急ぐ群れ借りながらデミタスの紙カップカフェかさねるテラス
2006.09.29
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五井駅前の「UNDICI」に立ち寄った。ランチとして用意されているのは3種類。真ん中のランチセットを注文した。カレー2種、ピザ2種、グラタン2種、パスタ14種から一皿選択を行うことができる。特にパスタの充実ぶりが素晴らしく、これだけあればその日の気分にあったワンディッシュを選べそうだ。網焼タラコのクリームソースを選んだ。女性客で、けっこうにぎわっている。インテリアは、オレンジとブラウンをポイントに使っている。ダウンライトが効いて、いかにもおしゃれっぽい。ロック風味のポップスが静かめに流れていた。ミニサラダがやってくる。レタスの上に刻んだマッシュルームが載っている。さて食べようとフォークかごのほうに手をやると、中に箸が入っていた。とりあえず、箸を手に取る。甘みを排したドレッシングが、最初からかかっていた。バルサミコ酢が効いている。前菜がやってきた。蕪の酢漬け・さつま芋スライス・サラミ・半熟玉子がワンプレートで供される。右手にフォークを持ってみたが、これはやはり箸でいくほうが良さそうだ。箸でいただく懐石風フレンチというのはけっこうよくある趣向だが。このへんのイタリアンでは珍しいかも知れない。この中ではさつま芋が素材を殺さない淡い塩味でおいしかった。網焼タラコのパスタは、カッペリーニ仕立てだった。極細なので麺密度が高い。そこをフォークでうまく流すようにからめ取る。きちっとしなやかなアルデンテで、食感が最高に心地よい。明らかに濃厚まったりなのだが、極細麺がきいて、それをややあっさり方向に振ってくれる。こういうのはブガティーニ等の太系がベストマッチだとばかり思っていたが。意外に合うようだ。(ここ。良いかも)と、このとき感じた。5月オープンなので、4ヵ月経つか経たないかという現在。給仕もサービスもぎこちなさはなく、きわめてスムーズにいっていた。一皿一皿ゆっくりやってくる。カウンター向こうのオープンキッチンのようすをうかがうと、客の進捗状況を見ながら、確実にプレゼンしようと努力しているのが見てとれる。タイミングを計って、なるべく出来立てを供するよう配慮されている。駅前ということで、昼と夜とではまるきり異なったキャラクターを与えられるようだ。夜は単品中心。文字数たっぷりにその内容を説明するような品々がずらりとならぶ。「居酒屋ひさまつ」のイタリアン版を目指す感じだろうか。となりが「串屋横丁」というのも、また微妙な位置関係だとは思うが。店の名前の「UNDICI」は伊語の11。店長の名前が(じゅんいち)ということで、それにかけた店名とのこと。あと、五井のイタリアンで(ゴイタリアン)。なかなか言葉遊びがお好きなようである。(それにあやかって、本日のサブタイは何も考えずに流用の仕儀)東口の「EST EST EST」が失くなってしまったので、この辺りでは貴重な伊系のお店である。熱々指向、本物指向というのも好感がもてた。このまますんなりと伸びていってほしいと思う。「ゴイタリアン ウンディチ」住 所: 市原市五井中央西2-8-29 高石セントラルビル1Fアクセス:五井駅前 千葉銀行わきを入り すぐ左側 P(2台) (付近の100円パーキング利用/400円まで店負担)電話番号:0436-23-6899営業時間:11:30-14:00/17:00-23:00(平日) 11:30-15:00/17:00-23:00(土日祝)定 休:無休(盆・年末年始等不定休)客 席:カウンター10席/テーブル6卓(可変)/小上がり2卓/利用種別:個人向き/少人数向き/女性向き/カップル向き/家族向き/メニュー:(平日・昼)900/ (昼)1400/ 2500/ (夜)(小皿ほか単品) フライドポテト350/揚げニョッキカレーチーズ味350/ カリフラワーのホットサラダ350/水菜とベーコンのソテー350/ 季節野菜のポリポリマリネ350ガーリックトースト400/ 半熟卵とトマトの天ぷら400/アンチョビとドライトマト450/ 若布とカコとカブのマリネ450/あさり白ワイン蒸450/ 岐阜県の肉厚椎茸の刺身500/白レバーのムース500/ 北海道ししゃものムニエル600/極上濃厚フォアグラ丼1800/ 生かきと茸ガーリック焼600/ノルウェーサーモンマリネ900/ ソーセージとアボガドのオーブン焼900/チーズ盛合せ1200/ (サラダ) 温泉卵のシーザーサラダ600/ベーコンとルッコラサラダ600/ 鮪中トロのたたき生春巻800/帆立のグリルサラダ仕立て900/ 11種のごちそうサラダ1100/フォアグラとリンゴのソテー1600/ 生ハムとルッコラサラダ600/ (ピザ) マルゲリータ850/ジェノベーゼ850/ハーフー&ハーフ850/ トマトとハッシュドビーフカレー1200/ (パスタ) 手長海老のペペロンチーネ1500/塩昆布のペペロン900/ ニョッキのクリームグラタン1200/椎茸のカルボナーラ1300/ くるみとレモンとクリームスパゲティー1600/ボロネーゼ1200/ ペンネアラビアータ900/ミートソースの坦々麺1200/ ブガティーニのアマトリチャーナ900/ (デザート) ハートのカタラーナ400/ふわふわティラミス400/ チョコとキャラメルのケーキ400/本日のおすすめパフェ時価/ (コース)3000/5000/ (飲物)スーパードライ450/焼酎各種500~/グラスワイン400/ 飲み放題90分1800/評 価:☆☆☆☆ (味4/量3.5/サービス4/雰囲気4/CP4/駐車場3)
2006.09.28
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茂原の「麺屋一徹」に入った。中華そばとつけ麺というラインナップである。シンプルに普通の中華そばをたのんだ。昼だと、サービスでライスの(小)をつけてくれる。Wスープという触れこみだったが、魚系のだしがかなり勝っている。充分すぎるくらい効いていた。かなり濃厚な味わいで、ライスをくれたのは、一度口の中をゆすぐ意味でけっこうありがたかった。麺は縮れた太麺。この濃厚なたれとの相性は悪くない。麺といいスープといいほとんど「大勝軒」に通じる部分を感じる。ラーメンの減り具合を見ながら、ライスも平行して食べ進めた。つけ麺は静かなブームといってよいだろう。普通のラーメンと2本立てでやっている店が、グンと増えてきた。どちらにするか、なかなか悩ましい問題ではある。つけ麺の場合、スープで腹が膨れないその分、麺が多くなっている。じゃっかん価格がつりあがる。つけ麺の冷や盛りだと、麺を一度水にさらすので、格段にコシが強くなる。夏の暑いときでも、するする行けて食べやすい。具が別添えの場合、いろいろアレンジしながら食べられる。スープ割りがあるので、そちらの味も(普通のラーメンと同じように)楽しめる。つけ麺は、たしかに魅力的なメニューだ。しかしそれでも、これを頼むのに躊躇させる部分がある。フーフーいいながら食べる熱さが、どうしても欠けている。それは熱盛りを頼んだとしても、きれいには解消されない。麺とスープと具で織りなすラーメン世界が整然と分離され、その熱い魂まで奪いさられたような感じがしてしまう。それは、具とライス部を分けたメニュー、中華丼→八宝菜+ライスや天丼→煮天ぷら+ライスなどとは比べものにならないほど、悲しい別れかたをさせられている。一体こそが命題で、それを分離されたら存在自体まで危ぶまれるようなもの…。たとえば、サンドイッチ→具+パンや炒飯→炒めた具+炒めたライスのようなものか。一杯のラーメンには、絶対的に完成された美がある。一塊として、一切の無駄のない相補を極めたまとまりを持っている。愛する家族が、ひとつ屋根の下にいて生活感情を共有していくことによって到達するより高い感情レベル―最初から寸分たがわずその家族の一人ひとりのためにスペシャルオーダーされた造りつけ家具を思わせるような感情レベル―を連想させる。よそ者が手を出せない充実なる緊密がある。どんなまずいラーメンでも、そこはみなきちんと実現している。まずいスープとまずい麺とまずい具が盛られたラーメンでさえ、それは悲しいまでに寄り添った一つの完成形としてのまとまりがある。至高のラーメンも激マズのラーメンも、驚くことに完成度としては同じなのである。私もたまにつけ麺を食べる。たしかに美味しいつけ麺は存在する。しかしそれは、人が手を出さないかぎり永遠にまとまらない。パーツを合わせて、一切を自分の胃に収めてからはじめて、それは完成するのである。「麺屋一徹 茂原店」住 所:茂原市早野1413アクセス:国道409号から県道27号へ バーミヤン先左側 P(約14台/共用) 電話番号:0475-26-5188営業時間:11:00-15:00/17:00-21:00/ 11:00-21:00(土日祝)/定 休:水曜日客 席:椅子席8席/小上がり2室/利用種別:個人向き/少人数向き/家族向き/ メニュー:(中華そば) 中華そば650/特製中華そば900/チャーシュー麺850/ ワンタン麺800/味噌ラーメン700/お子様ラーメン500/ 中盛1.5玉100/大盛2玉200/特盛2・5玉250/ (つけ麺) つけ麺750/特製つけ麺1000/ チャーシューつけ麺900/ みそつけ麺800/味噌つけ麺800/カレーつけ麺900/ 中盛1.5玉100/大盛2玉200/特盛3玉300/激4玉400/ (単品) 一口餃子(6個)350/ミニ焼豚丼350/ライス150/ 半ライス100/枝豆300/メンマ300/チャーシュー400/ ※月~土(除く祝日)11:00~15:00の間、麺類注文の方は 半ライスサービス/11:00-14:00は禁煙タイム/ 評 価:☆☆☆☆ (味4/量4/サービス4/雰囲気3.5/CP4/駐車場4)
2006.09.27
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学園前のプロヴァンスに立ち寄った。さすがに人気があって、順番待ちができていた。ナンジャタウンの「シュークリーム畑」にも出ていた「井田シュー」を頼む。「ビアードパパ」と同じように、注文を受けてからクリームを充填する。ちょうど握りこぶし大の大きさか。上面が、冷えた溶岩状というか、褶曲山脈のようにゴツイ感じの山塊になっている。クリームが飛び出さないように、充填口のほうから食す。食感を擬音でそっくり現すと(サックリ)(!)(サクサク)(トローリ)(!!)(ぽよ~んぽよぽよ)(ふわふわ)(ムニャムニャ)というところか。上にクッキー生地をのせている。クッキー、それも普通のではなく(不二家のカントリーマアム、それも個装を開封したてのカントリーマアム)的なソフトさとサクサクを兼ね備えたクッキーがのっている。下のほうは、やや硬質ながら普通的なシュー皮で、その対比が面白いといえば面白い。中のクリームは少し濃厚系か。バニラビーンズの細かい粒がのぞいている。こういうサクサク系で起こりがちなクリームの横へのはみ出しが、毎回のように起こってくる。その部分をぽよぽよ可愛がりながら食すのも、この種のシューの主なる楽しみかと思う。一度、天地をさかさまにして食べてみる。しかしこれは、邪道の食べ方だった。そのサイズからも分かるように、下の前歯はメインのおこぼれ的・副次的・補助的な役割しか担っていない。メインぽい硬質に慣れてない彼には、負荷がありすぎた。違和が大きすぎると言いかえても良い。上の歯と下の歯との噛み方のバランスというのも関係してくるのだろう。常態であれば、口はヘの字で下垂れ傾向。さかさにすると、その曲率に逆らうようになってしまう。横のはみ出しが意想外のほうに起こって、クリームが中指についてしまった。とにかく、食べていて居心地が悪い。噛み心地がきわめてよろしくない。元にもどして食べると、やはりこれがベストポジションなのだと再認識する。口周辺の構造図と甘いキャベツの断面図は、こうしないとうまく合致しない。ケーキや焼菓子類も豊富にそろっている。イタトマやコージーコーナーとまでは行かないが、それなりのボリュームがあるので、CPは高い。おゆみ野に行ったときには、外せないお店になりそうだ。「菓子工房 プロヴァンス」住 所:千葉市中央区生実町2499-4アクセス:県道66号線 イエローハット並び P(10台)電話番号:043-266-1104営業時間:10:00-20:00定 休:水曜日/客 席:無利用種別:個人向き/少人数向き/女性向き/家族向き/グループ向き/メニュー:(ケーキ/ホール) フルーツの森2800/生デコSP2900/いちごの生デコ2500/ いちごの森1700/いちごの森2700/ (ロールケーキ) マロンドール950/いちご畑950/関西ロール650/ (ショートケーキ) タルトショコラ400/プロバンスの石畳300/エベレスト350/ 南瓜のチーズケーキ400/苺のプディングタルト430/ キャラメルボアール350/マスカルポーネの四角トルテ350/ デリスフロマージュ350/デリスフロマージュショコラ350/ ブルーベリーのタルト420/エリゼ420/井田シュー100/ (税別表示)(メニューは季節・時期により変動あり)評 価:☆☆☆☆ (味4.5/量4/サービス4/雰囲気4/CP4/駐車場4)
2006.09.26
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久しぶりに光風台の「かずさ」に寄ってみた。セットメニューがあったので、それを注文する。前回食べてから、すでに半年が経過している。セットもそうだが、味噌・つけ麺・チャーシュー麺・餃子・焼売と、その他のメニューが格段に充実していた。餃子以外のセットが盆にのってやってきた。肝心のスープだが。変なにごりがなく、いかにも食欲をそそる澄んだ醤油色をしていた。一口すする。魚系のくせを極力おさえて、うまみだけを引きだそうとしている。ブランドをかえたのだろうか、醤油臭も強くやってこない。たしかにまろやかに進化している。それに比べると、麺のほうがすこし弱いか。これは趣味の問題かもしれないが、トレンドにそってもう一目盛アルデンテのほうにシフトしたほうが良いと思う。サラダが付くのは、栄養面でもイメージ面でも効きそうだ。最初からサウザンがかかっている。餃子は、菜物主体のシャキシャキ感のある一品。表面がパリッと焼けている。杏仁豆腐は、前回より甘さ控え目のあっさり系になっていた。極ソフトな質感で、プルンとしているのは相変わらず。ボリュームもたっぷりある。子どもは喜びそうだ。このセットは、ランチタイムだけでなく、いつでも注文することができる。サラダや杏仁がついてうれしがる男性は、私くらいかも知れないが。しかし選択の幅が広がったのは、歓迎すべきことだろう。カウンター内では、ご主人がしこみに一生懸命だった。その仕事ぶりを見ていて、私は不意に「透明な決意」という言葉が思いうかんだ。中島みゆきの「わかれうた」に(道に倒れて~)というくだりがある。しかしそれは、人間のことをあまりに知らなすぎる描写ではないだろうか。土でもアスファルトでも、とにかくベッタリつけば痛いし汚れるだろう道に倒れこんで、去りゆく者の名前を呼びつづける…。まともな神経の持ち主が、そんな行動を取るわけがない。人は、想像以上に自尊と羞恥を持っている。感情の表出において、そこは無視できない。もし表現するにしても、もっとデリケートに、もっと秘めやかに行動する。歌の中の(大人の童話)としてはあり得るが、リアリズムではあり得ない。一方、決意する瞬間というのがある。こちらは別れのシーンの数層倍、その傾向が強まるだろう。下手なドラマでは、大げさな身ぶりと言葉でそれを演じさせるかも知れないが。実際はみな、人知れず、無言のうちに行われる。私はそれを、人生のもっとも重大な局面だと捉えている。自分の内でためてきたもの、うすうす気づきはじめていたもの、それぞれバラバラに向いていた矢が、何かをきっかけに同一方向をめざしていく。まとまったその瞬間こそ、立ちあがるときだ。自分の自分への自己宣言。自分にむけて、強硬なる方位表明をおこなう。カウントダウンもなく、拍手喝采もなく、万歳三唱もなく、テープカットもなく、鐘突きもなく、BGMもないまま行われる。ただ、液温だけは沸点近くまで上りつめている。人は変わる。変わりうる。無言、無表情のまま瞬時のうちに激変してしまう。自分で起こした革命は、どんなものより深く強い。そういう決意こそ、その人の決定的なターニングポイントとなる。その最重要事は、道に倒れるようなオーバーアクションなしに、普段通りの生活のなかで、ほとんど透明な存在感をもって遂行される。前回、私は(グンと良くなる素地はある)と記した。素直にいい方向に行っているのは疑いない。たしかな決意のもと、かなりの試作と努力があったのだと思う。寡黙なご主人の仕事ぶりと目の前の労作のラーメンを見ていたら、その間の現実齟齬を埋めるのは容易なことではないと推察できるのである。最後の一口までスープを飲み干し、私は立ちあがった。「ラーメン寺子屋 かずさ」住 所:市原市光風台1-339アクセス:光風台トヨタの交差点から坂を上りすぐ左側 P(無)電話番号:0436-36-0706営業時間:11:00-14:00/18:00-21:00定 休:火曜日/水曜日/客 席:カウンター8席/テーブル2卓/利用種別:個人向き/少人数向き/家族向き/グループ向き/メニュー:特製ラーメン500/かずさラーメン600/焼豚麺800/ つけ麺650/味噌ラーメン650/餃子400/焼売200/ 大盛100/ライス100/杏仁豆腐100/サラダ200/ ミニチャーシュー丼350/ビール500/ジュース100/ Aセット(ラーメン・餃子・ミニ焼豚丼・サラダ)1000/ Bセット(ラーメン・餃子・サラダ・杏仁豆腐)800/評 価:☆☆☆☆ (味4/量3.5/サービス4/雰囲気3.5/CP4/駐車場1)前掲の「ラーメン寺小屋 かずさ」~素直系~
2006.09.23
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石畳のアプローチをだらだらと上がっていく。屋敷を改造したというだけあって、ほとんど私邸に入っていく雰囲気である。玄関などは、まったく個人宅の趣きだ。すれ違いになった男性と(こんばんは)という挨拶をかわす。棚になった下駄箱に靴をおさめる。受付の番頭氏があらわれた。本当にここを蕎麦屋といっていいのか。割烹に近いが、それより地方の格式のある旅館風といったほうが、分かりやすいかも知れない。待ちが必要なときは、入口わきのウェイティングバーに通されるが、きょうは即、座敷のほうに迎えられた。となりが茶室になっている。広縁の向こうにライトアップされた庭先が見える。ひと呼吸あって、お茶がやってくる。亥庵そばをたのんだ。和室だが、天井のダウンライトが効いてレトロモダンな雰囲気が満載だ。会話に邪魔にならない程度のボリュームでジャズピアノが流れている。ほどなくして注文品がやってきた。一口にいうと(天せいろ)なのだが、そこは店名をつけただけあって、そこかしこにこだわりが見える。冷つゆと温つゆと双方が供される。本わさびはセルフ仕立て。トッピングとして、ねぎ・海苔・胡麻・おろしが付いてくる。二八の蕎麦は、繊細な細打ちといったビジュアル。きれいなモンブラン色をしている。それをまず、ねぎ+冷つゆの組み合わせでいただく。のどごしが最高によい。ただ硬いだけのコシではなく、そこも勘案した上での二八だろうか。つゆはソフトな辛口というところ。温つゆにはみつばが浮いていた。すった胡麻と柚子こしょうを入れる。これはこれで、また違った味わいがある。冷たいほうよりさらに返しが効いて、上品なやや甘いたれにシフトしている。もちろん、温かいほうで天ぷらをいただく。メンバーは、茄子・みょうが・芋・海老。どれを食べても文句のつけようがない。海老のプリプリさ加減は、ちょっと類を見ないくらい。思わず(厳選素材)ということばが浮かんでしまう。このあとも自分の好き勝手な組みあわせで存分に楽しんだ。楽しみ尽くした。以前、蕎麦以外のメニューも試しているが、どれも素晴らしかった。刺身・だし巻玉子・磯部揚・サラダなど。そのへんの割烹以上の逸品がやってくる。地酒や焼酎は、国分寺の「遊心」を思わせるような豊富な品ぞろえ。ワインは品数が限られるが、エールフランスのファーストクラスで供されている「シャブリ・ボードベイ・プルミエクリュ」などもあって、ツボは逃していない。ロケーションの良さは文句のつけようがない。高雅で繊細でおしゃれで気品高い。出てくる料理すべてに素材の厳選と調理の至芸を感じる。値段にシビアな私だが、このお店だけは許してしまう。洋装の黒木瞳が似合う。和装の高島礼子が似合う。そんなこと言ってお前はどうなのかと訊かれたら、たしかにちょっと詰まって(和・洋・中・四川・広東・エスニック)(どんな格好をしても似合わない)と認めるしかない。しかし、店から拒否られることはない。心地よい応対でしっとり包んでくれる。いま誰かに(どこかいい所に連れてって)(美味しいお店に連れてって)と言われたら、私は迷わずここに直行するだろう。たまには、これくらいのドライブもいいものだ。「旬・彩蕎麦処 亥庵」(いおり)住 所:千葉市若葉区大宮台7-7-10アクセス:県道66号線 大宮ICから坂月交差点方向へ約1キロ 大宮小学校向かい P(約30台) 電話番号:043-209-2810営業時間:11:30-14:00/17:00-22:00(LO21:00)/定 休:月曜日(月が祝日の場合は火曜日)客 席:椅子席52席/座敷4室(8卓/可変)/利用種別:個人向き/少人数向き/お忍び向き/接待向き/法事向き/メニュー:(そば) せいろ700/小せいろ350/おろし900/とろろ1100/ 野菜天せいろ1300/鴨せいろ1500/天せいろ1700/ おかわり500/おかわり(小)300/爆弾せいろ1600/ 亥庵そば1400/かけ700/力そば1000/山かけ1100/ 鴨南蛮1500/天ぷらそば1700/そばがき1000/ 揚げそば五目あんかけ1200/亥庵膳(月替り)2500/ (ご飯ほか) ご飯200/汁物200/ (単品) ふぐ薄造り2000/さんま握り1400/かつおたたき1000/ 鮪刺身1200/あおいいか刺身1000/真鯛刺身1200/ 生うに1200/鮑3000/あん肝900/あさりバター800/ 冷しトマト300/川海老唐揚600/山芋磯辺揚800/ 旬の天ぷら1000/旬の天ぷらせいろ1600/あさりそば1300/ きのこ炊き込みご飯300/刺身盛(1人前)2000~/ 馬刺1500/近江牛ステーキ5000/だし巻玉子600/ 地鶏塩焼700/フライドポテト500/煮物600/爆弾1000/ 漬物600/帆立とレタスのサラダ800/丸ごとトマト800/ 亥庵風そばサラダ1200/お子様ランチ1000/ (コース/2名~) 九十九5000/愛宕7000/清澄10000/上総 応談時価/ (飲物) エビス樽生(中)580/スーパークリア450/ウーロン350/ コーラ350/オレンジ350/カルピス400/アイスコーヒー450/評 価:☆☆☆☆☆ (味5/量3/サービス5/雰囲気5/CP4.5/駐車場5)
2006.09.22
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子どもが言ったひとことで、ハッとすることがある。祭の行列待ちで、列の少ないところに行くようにいったとき、子どもは頑強に嫌がった。それでも強くすすめると(やめてよ。今いちばん大切なのは、この場を楽しむことでしょ)たしかに、子どもの言うとおりだった。大人は、要領良さとか合理的とかスムーズに行くこととか、そんなことばかりで動いているから、本当に大事な部分を忘れてしまうときがある。子どもはなぜそこに自分がいるのか、本当に分かっていない。ただ確かに自分が存在していることだけは知っている。なぜデパートに行くと、若いお姉さんのいる狭い箱に入るのか。たくさんの人が押してきて、ツーンと変な感じになって、また降りる。そのへんをうろうろしてから、また同じように乗りこみ、また吐きだされる。いったい何をしているのか、意味がまるで分からなかった。雨の日のバスに乗るのが好きだった。いつも、前のほうに座るか立つかしている。ウインドーのワイパーをよく見ていた。乗用車のとは違って、左右くっついたり離れたりする様子が面白かった。床の一部が鉄板のふたになっていた。Tの字を斜めにしたようなすべり止めのエンボスがたくさんついている。それを傘の先でなぞって遊んだりした。スタートとゴールを決める。袋小路の場所は、自分の中でちゃんと出来ている。これで立派な迷路になった。行き止まりポイントを変えれば、何面でも展開していける。吐息で曇ったガラスは、恰好のお絵かきパネルになった。母の友だちだったNさん一家との交流が、けっこう印象に残っている。最初は市原に住んでいたが、やがて千葉、東京と引っ越していった。その豊島区の家に、母に連れられて訪ねて行ったことがある。乗りかえの千葉で、不二家のマーブル模様のアイスクリームをいくつか購った。なぜそんな溶けるものを買うのか、よく分からない。Nさんの家までどれくらいかかるのか知らないが、かなりかかることだけは想像がつく。母は(ドライアイスがあるから…)といって、ぜんぜん取りあってくれなかった。そのあとの電車の中は、アイスのことばかり気になって仕方がなかった。心配でしょうがない。向こうにいってベチョベチョだったらどうしよう。だったら、今のうちに全部食べたほうがいいんじゃないか。どんなになっているか見てみたい気もするが、見ないほうがいいような気もする。途中、何度か乗りかえた。乗っている時間があきれるほど長く感じられた。退屈とは無縁だった。アイスの心配で、頭のなかは満杯以上にあふれ返っていた。西武線のとある駅にNさん一家が迎えに来てくれていた。結局、アイスは無事だった。そこで全神経を使い果たしてしまったのだろう。そのマーブルアイスがどんな味だったのか、どういうふうに食べたのか、まったく記憶に残っていない。子どもの気持ちを詠んだうたで締めておくことにする。「風のあるひなた」なぜそこに行くか ここがどこなのか知らず 晴れやかなわれだけが立つ欲しいもの買えばすぐにも帰りたい あとは家での自分とすごす名前貼る机につくと目の前に山とおかれる入学(ゆいのう)の品口すぼめかず数え棒に極小の名前付す父 全部の一本ぜったいに動かぬ時計がしばらくは宝 フトンの闇まで持ちこむバスワイパー繰りかえすさまにほころんで 小さな恋人たちのkissかも二人とも手は後ろ組み顔だけが小粒にチュッとあそびのようにちょっとした考えごとのすきにキスしてた子どもは剣道試合雨にあき 傘の先つき床蓋の浮きぼりなぞる パズルに飛んで晴と雨のサイコロ同士がぶつかった境目ちょうどに立ってみたいな半歩だけ踏めば青空 また逆に寄れば濡れちゃうキャンディーな場所青さなか 西にながれていく雲を自転のせいにして見つめ酔う雲はいつも決まった風の庭にいて その底でみな巡っているだけ
2006.09.21
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「ラ・マッシリア」に入ってランチのパスタセットを食べる。前掲に書いた感想そのままで、評価もゆるがない。デザートメニューが少し入れ替わり、品数も多くなった。かなりそそられるメンバーが揃っている。ズッパ・イン・グレーゼ、アップルパイ、ティラミスというデザートの3品盛りを追加した。それぞれに濃厚でしっかり甘い。一つのプレートを3つのエリアに分けて盛ってあるが、フォークを少し泳がせるようにして、ティラミス→ズッパというように双方を絡ませるようにすくい取る。するとまた別の味のスイーツとなって、こちらを魅了してくる。単純な(A+B)÷2ではない、得も言われぬミックス加減でそれはこちらに迫ってくる。境界・境目が好きだ。そこにこそすべての美が甘美に集約し、屹立している。狂おしいまでに鋭い芳香を放っている。ひとつ、谷崎の「陰翳礼賛」にならってみるか。焼き加減・むらし加減によって数多くの言い方がある目玉焼。白身と黄身の境界ゾーンが何といっても最高においしい。カスタードプディング。3個105円の品でもビッグプッチンでも自家製でも有名店製でも、カラメルソースと本体とが滲みあいながら接合する山頂付近のデリケート部分が至高のゾーンであることは、誰も異論の余地がないだろう。チョコorフルーツパフェ。アイスとクリームと具とソースがそれぞれ独立しながら身体を寄せあっている。そこを適度なミックス加減ですくい取って食べるからこそ、あのおいしさがある。オムレツ・オムライス・餃子・焼売・とんかつ・メンチカツ等々。それらは皆、外皮と内具の双方を同時に食べることによって美味しさを100%取りこめる、境界系の食べ物だ。最近「ニュー・シネマ・パラダイス」のサウンドトラックをよく聴いている。愛のテーマをサックス→ホルンで取る場所がある。まるでフローリングにベタ座りしているかのような、少し濡れ加減でしっとり奏でるサックス。そして、急に姿勢を正して大真面目で端正&清涼に奏でてくるホルン。その受けわたし部分を聴くと、私はほとんど忘我の境地に達してしまう。どちらの音色も好きなのだが(どちらでもなく)(どちらでもある)ような、その不安定なブリッジ部分が大好きでたまらない。精神医学でいう「境界例」。正気の青空の中に狂気が混ざり、狂気の台風の中に正気が混ざる。無意識の中に自意識が混濁し、自意識の中に無意識が攻勢してくる。自己パラメータ的にいえば、もっとも幸福な人は「境界例」の人なのかも知れない。川沿いの夜道。数十メートルおきに街灯がともっている。愛する人が遠ざかっていく。あかりの下に来るとその後ろ姿が浮かびあがり、すぐ闇にまぎれていく。その先でまた同じようにフッと浮かび、フッと潜っていく。確実にデクレッシェンドしながら、それを繰りかえしている。無防備にフェイドアウトしていく…。境界・境目が大好きだ。そこにこそすべての美が甘美に集約し、屹立している。狂おしいまでに鋭い芳香を放っている。「ラ・マッシリア」住 所: 市原市松ヶ島1-13-1アクセス:潮見通 しゃぶしゃぶ「温野菜」の裏 P(5+1台)電話番号:0436-23-8910営業時間:11:30-14:30(LO13:50)/ 18:00-22:30(LO21:50)/定 休:火曜日客 席:カウンター3席/テーブル7卓(可変)利用種別:個人向き/少人数向き/女性向き/カップル向き/メニュー:(昼)1300/1700/2800 (夜)3700/5000/8000(コース) (デザート)デザート1品盛400/2品盛600/3品盛800/ カスタードプリン/洋梨のオーブン焼/フルーツゼリー/ティラミス/ リコッタチーズケーキ/ガトーショコラ/苺のショート/レアチーズ/ キャラメルアップルパイ/フランボワーズムース/ロールケーキ/ ルビーグレープフルーツのババロア/フルーツのコンポート/ クリームブリュレ/イルフロッタント/カッサータ/アフォガート/ ズッパイングレーゼ/(アイスorマンゴソルベ添は200円増)評 価:☆☆☆☆☆ (味5/量3.5/サービス4/雰囲気4/CP4.5/駐車場3.5)前掲の「ラ・マッシリア」~オトナのための甘美なスープ~
2006.09.20
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今年の7月にオープンしたてまだ間もない「さそう」に入る。1階が厨房、2階が客席となっている。奥のフローリング仕様の(座敷)のほうに上がった。とてもシンプルなメニュー構成で、昼は2種類、夜は3種類のコースしか用意してない。単品は始めからない生粋の会席料理店である。サービスランチを注文した。女性を意識したのか、バックには明るい洋物ポップスがかかっている。最初に刺身皿がやってきた。表に出ている写真では全品セットのように写してあったので、一気に持ってくると思ったが、一品ずつ出すようだ。まぐろ・金目・あいなめなどが盛られている。エッジが切り立っていて、なかなか包丁の冴えを見せてくれる。小粒で上品そのものだが、ネタが新鮮でさすがに美味しい。揚物は海老とすり身が供される。下味が付けてあるというので、素のままでやってみた。確かにこれに塩なり醤油なりをつけると、濃すぎるかも知れない。揚げたて熱々なので、これも文句のつけようがない。メインがやってきた。おくら・茄子・芋・ごぼうなどの煮物。茄子の味噌あんかけ・鶏の焼物の梅肉あえ・いちじくの胡麻あえなど。見た瞬間、お見事というしかない一皿だった。季節感たっぷりの一品一品は、それぞれ趣向をこらし、視覚面でも味覚面でも豊穣なる今をたっぷり味わえるように調製されている。すべてが京風の薄味なのかというと、そうではなく、それぞれしっかりした味付がなされている。単純に濃厚なのではない。素材にベストマッチな味を追求した末の濃密でしっとりした調製なのである。やみくもに健康志向に走って味気なくなるより、こちらの方が百倍好ましい。松茸ごはん・味噌汁・香の物とつづいて置かれた。どれもていねいの見本のような品々だった。食後の甘味(白玉のぜんざい)をやっていると、包丁人の主人が私のテーブルの所にやってきた。あちこち食べ歩きをしていることを告げる。少しこみいった話をした。食べる側から見た(こうすればいいんじゃないか)的な提案をいくつかあげる。例えばメインの品々は、小分けにしたパレットに盛れば高級感がグンと増して、食べるほうも楽しいだろうとか。甘みを出すとしたら今の女性は洋系のほうが喜ぶだろうとか。そういう類の話だ。少し熱くなって「原価率」とか「回転率」とか「荒利」という言葉まで出てしまった。よその人が見たら、ほとんど経営コンサルタントとの会話に映っただろう。期待を抱かせるにじゅうぶんなお店だ。駅前という立地を存分に生かしてほしいと思う。「日本料理 さそう」住 所: 市原市八幡1013-4アクセス:八幡宿駅西口 びっくり箱の一方通行を入りすぐ右側 P(2台) 電話番号:0436-42-3751営業時間:11:00-14:00/17:00-21:00/定 休:月曜日客 席:テーブル5卓/小上がり2卓利用種別:個人向き/少人数向き/グループ向き/家族向き/接待向き/メニュー:(昼)サービスランチ2100/コース3150/ (夜)コース3150/5250/7350/評 価:☆☆☆☆☆ (味5/量3.5/サービス4.5/雰囲気4/CP4.5/駐車場3)
2006.09.19
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大通りから1本はずれているだけなのだが、そのハンデは計りしれないだろう。長くやっているだけあって最近はかなり知られてきたが、10年くらい前までは、店の名を出してもピンとくる人が少なかった。多くの店を知っていることで、ちゃんとメリットはある。金持ち顔でないのと無関係ではないだろうが、けっこうおごってもらう機会があるのだ。近場のファミレスで軽く済まそうとする取引先or上司に(それならもっと美味しくていい所がありますよ)と耳打ちをする。不思議にこれが断られたためしがない。すぐに乗ってくる。相手に余裕があるときは「蟹工船」か「天藤」に、それほどないときはこの「囲炉裏」に連れていくのが、パターンになっていた。風評がめぐって、飲食関係は奴に聞けというようになればしめたものだ。(いい店を数多く知っておいて、決して損はない)そういう訳でここは、かなりお世話になっていた。(こんなところに美味しい蕎麦の店があったんだ)と感心されるだけでもポイントが高かった。きょうは、かき揚げせいろを注文した。一そろいがワンプレートで供される。蕎麦は色白系のきれいな細打ち仕様。光の方向にさらしてみたくなるような透明感がある。つやつやしている。昨今、スーパードライが多い中、割と甘めにシフトした中濃のたれにつけて、するする行ってみる。素直にうまい。以前と変わらない。かき揚げは、上面に海老がのって、こちらも色白っぽい。これも、揚げたてを即平面移動したように供されているので、美味しいことこの上ない。きちんと頃合を見て蕎麦湯を置いていってくれる。本場流と違ってかぼちゃの入らないほうとうが隠れた名物になっている。存外コシがすごいので、アゴの弱い人は覚悟が必要な代物だ。これから寒くなってからの季節もの、柚子切りの登場が今から待ち遠しい。店の人に訊くと、出すときと出さないときがあるので、注意が必要とのこと。かくれた名店=通りから少しはずれたお店=秘密っぽいロケーション=密会に使えるお店となるだろうか。そのくくりの蕎麦店というと、私はどうしても木更津の「みず野」や大宮台の「亥庵」(ここは直に通りに面しているが)を思い浮かべてしまう。イメージで端的にいうと、黒木瞳か高島礼子が似合う店と言えばわかりやすいだろうか。残念ながらここは、そのお二人を据える雰囲気はなく、室井滋か岡本麗が似合っているお店という感じだろうか。これはけなしているのではなく、褒め言葉として使っている。「手打ちそば 囲炉裏」住 所: 市原市白金町3-37-3アクセス:白金町 エンターキング裏 P(無) 電話番号:0436-22-3622営業時間:11:30-14:00/17:30-20:00/定 休:木曜日客 席:大テーブル9席/テーブル1卓/小上がり4卓利用種別:個人向き/少人数向き/グループ向き/家族向き/メニュー:(冷/うどん・そば) 天せいろ1370/かき揚げ天せいろ1000/海苔せいろ680/ 車海老天せいろ2300/せいろ630/胡麻だれ790/とろろ850/ 鴨せいろ1050/納豆790/みぞれ790/おろし790/ (温/うどん・そば) 天ぷら1260/かき揚げ天950/鴨南1000/肉南790/鰊900/ 車海老天2300/なめこ900/力たぬき950/力840/ おかめ680/かけ580/鍋焼950/囲炉裏うどん950/ 煮ほうとう950/カレーうどん950/釜揚うどん680/大盛320/ (ご飯もの) 天ぷら定食1360/かき揚げ定食1150/天重1370/ (単品) いか塩辛330/小海老から揚げ580/そばがき(甘・辛)740/ 茶碗蒸500/かき揚げ630/天ぷら1050/おにぎり160/ (飲物) ビール630/酒(一級)420/冷酒530/ジュース260/評 価:☆☆☆☆ (味4.5/量4/サービス4/雰囲気4.5/CP4/駐車場1)
2006.09.19
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俵型ハンバーグが代名詞のストーンバーグに入る。少しひねって、サーロインステーキを注文した。アリオの通路から素通しに見えるような店の造りである。オープンエアで音や雰囲気まで筒抜けてしまうので、あまり好きなスタイルではない。しかしここはひと工夫してあって、目隠し壁があるので、その分すこし救われている。やがて、真底から食欲を刺激するいい音を振りまいて、そのプレートは目の前にやってきた。十分に熟熱した石板の上でジュージュー音を散らしながら、充実した柔軟なる肉片は、ややレアの寝姿でその受益者が授受するのを、今か今かと待っている。こちらも食欲の獣性に従順に立ちかえり、充溢した受脂まみれの肉片を蹂躙するようにいただく。…アホな男のアホなことば遊びはこれくらいにして、本気で向かいあう。ポットで供されたにんにく醤油ソースを、上からたらりと垂らした。熱泡が肉の周囲を転げまわる。焼き蒸されたいい香りが鼻をつく。ここのソースは本当に充実していて、ドミグラス・イタリアントマト・エスニックカレー・ホワイト・大根おろし・にんにく醤油・ピリ辛から選ぶことができる。そのへんの細かい配慮がうれしい。汗をかいた肉にナイフがきれいに入る。素直に割れて離れていく。切れ目から落ちた肉汁が、その周囲にやんわり広がっていく。肉の一片をほおばった。口の中がそのジューシーさであふれかえる。一度、ナフキンで口元をぬぐった。美味しすぎて思わずニンマリしてしまうのをどうすることもできない。遠赤の効能もあるのだろう。最後の一口まで同じような熱々でいただけた。ここは、メインであるハンバーグもかなりいけることを付記しておこう。通路に出て、以前「すしざんまい」があったその店の前に行った。入口付近はベニヤでふさがれ、中の様子はうかがい知ることができない。(8月31日を持って…)の告知の紙が何枚か貼ってある。分かっていた。分かりきっていた。しかし現実この姿を目の前にすると、自分があらかじめ予想した感情とはまた異なる、イヤなもの寂しさ・空しさを感じた。胸の下あたりが妙に重苦しいのは、満腹感のせいばかりではなさそうだった。「石焼ハンバーグ&ステーキ ストーンバーグ アリオ蘇我店」住 所:千葉市中央区川崎町7-20アクセス:蘇我駅海側 国道357号 アリオ蘇我2階 P(多数有) 電話番号:043-209-2121営業時間:11:00-23:00(LO22:15)客 席:24卓/分煙/定 休:アリオ蘇我に準ずるメニュー:石焼ハンバーグ(180g)930/(270g)1230/(360g)1830/ 石焼ハンバーグ+リブロース1680/チキングリル1580/ ハンバーグ+ステーキ1680/ハンバーグ+エビフライ1630/ ハンバーグ+帆立バター1680/ハンバーグ+ハムエッグ1680/ 有頭海老フライ1680/アタックステーキ1480/ サーロインステーキ2880/リブロースステーキ(200g)1680/ (300g)2350/ (トッピング) チーズ 100/目玉焼(1個)150/フライドポテト150/ じゃがバタ150/オニオンリング150/チョリソ(2本)150/ (単品) よくばり2色のふわとろオムライス950/フライドポテト300/ ジャガバター300/チョリソー840/骨付きソーセージ840/ チキンフライ840/帆立バター970/アスパラバター580/ オニオンリング450/サラダ970/ウエスタンサラダ970/ キッズハンバーグセット450/和風セット350/洋風セット350/ ソフト250/生ビール600/グラスワイン400/ドリンク280/評 価:☆☆☆☆ (味4/量4/サービス4/雰囲気3.5/CP3.5/駐車場5)
2006.09.17
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近年、ラーメンを食べたうちで最安値だったのは、東京の台東区にあるお店だった。店名を忘れてしまったが、 場所はハッキリと覚えている。醤油と味噌ラーメン2種類のみのラインナップで、どちらも160円だった。みごとなくらいお飾り一切がないそれは、きちんと一人前の量があった。味を変えてもう一杯食べてもよかったのだろうが、とてもそういう気にはならなかった。市原でラーメンの安い店というと、どこがあるだろう。辰巳の「宝山飯店」は代表例なのだが、つい最近なくなってしまった。あと思いつくのは…。光風台の「南寿司」350円、海士有木 「光屋」の素ラーメン300円、297バイパス「ラーメンショップ」400円、不入斗「味楽」400円、白金町「寿々女」380円、五所「王将」420円。「幸楽苑」の304円の一品も忘れてはいけないだろう。これくらいか。そういえば浜野の陸橋のそばに一軒あったなと思い、とにかく行ってみることにした。2年ほど前に食べたと思うのだが、さっぱり印象に残っていなかったのである。今では珍しいドライブイン形式の大衆食堂である。トレーラーが何台も停まっている。好きな所に停めようとしたら、男性が近づいてきて、正面のほうにしてくれという。人が当たると軽く動きそうなチープなテーブルと椅子が余裕でレイアウトされている。となりには、手酌でビールをやっている労務者がいる。広い座敷があり、そこに食事を終えたドライバーらしき人が(でれん)と横たわっている。サービス品と銘打ったラーメンと炒飯を注文した。メニューにはそれぞれ525円、630円で出ているのだが、どちらも350円で壁に貼りだしてある。価格が違う2本立てでやっているのか訊いてみたが、その値段のをサービスしているのだという。数分後、ほとんどセットというように同じお盆にのってやってきた。見ると(あれれ)と思ってしまう。丼や皿自体も小さいのだが、それにもまして量の少ないのが一目瞭然である。ラーメンは麺の密度のゆるいのがスープごしにもはっきり認識できるし、無造作に盛られたチャーハンのほうも、0.7人前のようなさびしい盛り加減で、食べる前に(げんなり)してしまうような代物だった。ボリュームダウンすることで、しっかり帳尻あわせをしている。メンマ・焼豚・刻み海苔・そしてなぜか紅白蒲鉾2切れというお飾りの陣容。刻み玉ねぎが垣間見えるが、決して竹岡系ではない。細い縮れ麺のごく普通の中華そばだった。チャーハンのほうは、良くいえば母親が作ってくれたような懐かしい味。悪くいうと…とてもフォローできそうにない表現になりそうなので、ここでは触れない。両方ともとにかく、熱いことだけは取り得といってよい。しかし、食べ終わったあとどうなのか。せっかく(外食をしたというのに)(外食はさておき、せっかく一食食事をしたというのに)かんじんの満腹感も満足感もさっぱりやってこない。私は、このあとどこで食べ足そうか、この辺の店のことをしきりに思い浮かべていた。食欲中枢を中途半端に刺激したということでは、立派な前菜役になっているのだが。それにしては量がありすぎるし、値段が高い。店側はサービス価格だというが、それはただ単に時代の趨勢から取り残されているにすぎない。350円でこの内容だと、かえって高いくらいである。ラーメン界のサイゼリヤ「幸楽苑」のFC店がすぐそばにあるのだが、そこは目に入らないらしい。しかし。ここはここで存在意義は立派にある。実質のボリュームではなく、とにかく一品を一食としてカウントできる御仁には、かなりありがたいお店だ。駐車場が、あり得ないくらいに広い。トレーラーがこれだけ余裕をもって納められるところは、あとほかにないだろう。許可をとれば、泊まることさえできる。新横浜のラー博以降、昭和レトロをコンセプトとする飲食店が頻出した。五井西の「ぼちぼち」・ちはら台の「田島商店」・東金の「富士乃家」など。それぞれに意匠をこらしている。しかしここなら何の工夫もせず、すべての点でその雰囲気を体現化している。ホーロー看板ひとつないし、演歌もかかってないけれど。ここは紛れもなく、あの当時のドライブインそのものである。「光香大飯店」(みつこうだいはんてん)住 所: 千葉市中央区浜野745アクセス:茂原街道 浜野陸橋そば P(20台以上/トレーラー可能/許可あれば宿泊駐車可能) 電話番号:043-264-6636営業時間:7:30-21:00定 休:日曜日客 席:テーブル10卓以上(可変)/座敷3卓(可変)利用種別:個人向き/少人数向き/グループ向き/トラックドライバー向き/メニュー:朝食セット(7:30~11:00)450/ (麺類) ラーメン350/タンメン630/ワンタンメン735/五目そば735/ ざる中華525/焼うどん630/鍋焼うどん735/かけそば630/ (定食) 野菜炒め630/ニラレバ炒め735/ハンバーグ735/焼肉840/ イカフライ735/エビフライ840/トンカツ840/天ぷら840/ (ライス・丼) カレーライス350/炒飯350/オムライス735/カツカレー945/ かつ丼840/天丼840/中華丼840/鰻丼840/鰻重1050/ (単品) 焼鳥420/サラダ525/げそ525/八宝菜630/鮪刺身840/ 餃子420/冷奴315/にら玉525/さつま揚げ420/評 価:☆☆☆ (味2.5/量2.5/サービス3/雰囲気3/CP3/駐車場5)
2006.09.16
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「ラーメン三吉」が退いたあと、どうなるかと思っていたら、この「天馬」が入った。同じ場所で同じ品種を出すとなると、(良きも悪しきも)前の店の幻影を引きつれてしまうので商売が難しいのだが、ここはきちんと続いている。味としては、しょう油と味噌の2種類。味噌チャーシューを注文する。L字のカウンターに酔客が2名。小上がりに4人のグループが納まっている。昭和レトロとまではいかないが、それっぽい雰囲気が横溢していて、雰囲気は悪くない。均一・明光化された照明、合理をきわめたレイアウト、整然・明瞭化されたサービスのチェーン店などとは、また違ったおもむきが楽しめる。(お待ち)という声がして、カウンターの上面に注文品がおかれた。見た目がきれいなラーメンだ。筋がスッと通ったチャーシューがそのビジュアルを決定づけている。お飾りとして他に煮玉子・もやし・ねぎなどが載る。脂身が少ない焼豚は、このままテイクアウトして、よその店の(チャーシューが弱い)ラーメンに載せたい逸品だった。ぐずぐずにほどけるタイプではない。噛んで食べて、その食感を味わうタイプとして、どこかで見本プレゼンテーションしたいくらいである。味噌は少し赤寄りで、好き嫌いは分かれるだろうが、自分としてはほとんどJUST FITという感じがした。表面に胡麻や唐辛子がのぞく。中細の麺も湯切りがよく、茹でかげんに関しても不満は出ないだろう。五井駅前の居酒屋から流れてくるのに、ちょうどよい距離(歩数)の立地である。それにしては、閉店が少し早すぎる気もするが。ラーメン作りに一本気なこの店には、それが似合っているかも知れない。揚げた餃子皮とアイスを段重ねにしたミルフィーユがあったのだが、もうすでにメニューからは外されていた。店を出ると、パブ「ブレイズ」の前に女の子が二人がならんで立っていた。一人がこちらのほうをうかがうと、膝元をキュッとひねり加減にしてさらしてきた。夜は、まだまだ続いていく。「ラーメン 天馬」住 所: 市原市五井中央西2-10-5アクセス:五井駅西口 不二家の信号を八幡方向へ 30m先右側 P(無/近くに市営駐車場有り) 電話番号:0436-24-5406営業時間:11:00-14:30/17:00-22:30定 休:日曜日客 席:カウンター6席/小上がり2卓/利用種別:個人向き/少人数向き/グループ向き/酒宴後向き/メニュー:醤油ラーメン570/チャーシュー麺730/ねぎチャーシュー790/ 味噌ラーメン630/味噌チャーシュー790/天馬ラーメン790/ 天馬味噌ラーメン840/餃子370/炒飯630/枝豆250/ ミニチャーシュー丼450/点心3種盛150(昼限定)/ ライス210/ビール520/ジュース160/杏仁豆腐210/評 価:☆☆☆☆ (味4/量3.5/サービス4/雰囲気3.5/CP3.5/駐車場1)
2006.09.14
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店内は、L字のカウンターにテーブル席1つ。味噌ラーメンのランチセットを注文する。先に味噌のほうがやってきた。炒めもやし・キャベツ・メンマ・コーン・ねぎなどがのるきわめてオーソドックスな札幌スタイル。胡麻が湖面に浮いてみえる。麺は中細のちぢれ麺で、本場「西山製麺」を使用とのこと。スープは思ったより濃くて、適度な深みがある。油に頼らない、すっきりしたコクがある。すこし唐辛子が効いているか。もし前頭葉に味噌ラーメンセンサーがあるとしたら、そこが直にビビと反応して、思わずVサインを突き出したくなるような美味しさが、きちっと実現している。餃子がやってきた。表がパリパリに焼けている。小粒の野菜系で、こちらもあっさりしている。噛むと肉汁がほとばしるような品は、他で食べればよい。餃子の出に合わせたように、半ライスが供される。麺+150円でこれが付いてくるのだから、充分お買い得品といえるだろう。どうしても、何がなんでも、はいつくばっても、じたばたしても、どうにも我慢できないくらいラーメンが食べたいときがある。それはほとんど、動物的な欲求といってもいいくらいだ。私は、どんな味でも、どんな濃度でもOKだが(味噌)となると自分の内のセンサー(許容度)が、かなり厳しくなるのを感じる。サッポロラーメンが登場したときの衝撃が、それだけ強いのだろう。その後どんなご当地ものが出てきても、あれ以上のインパクトは感じなかった。そのときの刷りこみが、センサーの幅を狭めているのだと思う。味噌ラーメンというと、西五所の「北国ラーメン」、五井東の「圭水」、ボートピア近くの「どさん子」などが真っ先に思いうかぶ。この店も、当然その中に割って伍してくるだろう。近年、札幌系が弱体化しているので、そうなってもらわないと困る。理想の黄金比に近いものを食べることができ、私はかなり満足して席を立った。「麺屋 かわぐち」住 所: 市原市惣社2-11-6アクセス:市役所通りを駅方向から下り 国分寺の小僧寿司の信号を右折 すぐ左側 麺屋紅丸やホワイトベルの向かい P(3台) 電話番号:0436-25-1386営業時間:11:00-15:00/17:00-21:30定 休:水曜日客 席:カウンター10席/テーブル1卓/利用種別:個人向き/少人数向き/家族向き/グループ向き/メニュー:(ランチセット/平日昼/麺類+餃子+ミニライス) ラーメンS700/みそラーメンS850/塩ラーメンS800/ チャーシューめんS900/ねぎみそラーメンS970/ 習魂ラーメンS970/味噌チャーシューラーメンS1050/ (レギュラー) ラーメン580/塩ラーメン680/もやしラーメン(醤油)680/ みそラーメン700/チャーシュー麺780/ねぎラーメン800/ ねぎ塩ラーメン800/ねぎみそラーメン820/ 習魂ラーメン820(辛口味噌味/納豆入り)/ みそチャーシュー麺900/大盛200/餃子300(5個)/ ビール中ビン500/オレンジ200/コーラ200/評 価:☆☆☆☆ (味4/量4/サービス4/雰囲気3.5/CP4/駐車場3.5)
2006.09.12
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その頃の私は、ただのすっからかんだった。世界中でいちばん不幸だとは思わなかったが、いちばん孤独だろうとは思っていた。両親が割烹をはじめ、一緒に住むことが難しくなった。八幡の祖父母の元から学校にいかねばならなかった。その中学が好きな訳ではなかったが、転校するのは億劫だった。店の場所は学区内だったが、祖父の家だと完全によその学区となる。それを誰かに告げ口されるのを、心のどこかで恐れていた。通学途中、朝の5分だけ店に立ちよった。帰り道も立ち寄ったが、宴席が入っていることが多く、その準備を手伝ってかえった。両親に話すべきことはたくさんあるはずだったが、特に何も話さなくなっていた。昔、世話になった人が新築の家を建てたというので、家族そろって訪ねたことがある。そこに、私より一つ上の女の子がいた。久しぶりに会って懐かしいはずだったが、互いの変わりようが恥ずかしいのか、昔の話も今の話も出なかった。ただうつうつとしていた。メリハリがなかった。自分が何者なのかさっぱり分からず、やりたいことも、やるべきことも見つからなかった。身体の奥底からやってくる重い霧の実体がわからずにすごしていた。ある日の放課後、部活をしてない「お帰りクラブ」の連中が、教室に集められた。A組と自分のクラスの担任が前に立った。ブラスバンドの部員が少なくて、存続の危機だという。そのクラブ員の勧誘の件だった。その場に40人くらいいたが、誰一人として手をあげる者はいなかった。業を煮やした担任がそこから10名の手を引いて(とにかく入ってやってみろ)と言った。(やめるのはいつでもできる。まずやってみろ)ピックアップされた中に私も入っていた。早く帰ることだけを考えて、周りの連中ははやし立ててくる。とにかくこの場だけはOKしないとまずい雰囲気になっていた。同じ被害者になったヤマと、駅までの道を一緒した。五井駅前通りに「富士屋」という小さな食堂があった。押しても引いてもスプリングで戻るような入口で、いつ入っても暇そうにしている。その店にヤマと入った。上にべっとりケチャップがかかったオムライスを食べた。半分怒ったような勢いでパクついた。彼も自分も、気持ちは固まっていた。何日間だけは顔を出してやるが、そのあとは絶対やめようと。音楽なんて真っ平だった。それも今まで自分が触ったこともない楽器をやらされるなんて。とてもあり得ない話だった。「旬の縁側」家に呼ばれ 半日ひなたの縁側でながめて暮らす「少女フレンド」 * * *だれも本当のぼくを見ようとしないから 解きやすそうな我だけ見せる声そろえ 体育館の割れ窓に投げこむ食べかけの棒アイス新築の屋上にそろうほつれた目 余興に手すり渡りをきそう大人なんて 売れるためなら前後左右殺す静物 ちゃんと見てるよ気にかかる冥王星の孤絶性 太陽までも星と凍えて一億年前と後では別の北斗七星(あや) いま在る章の冷厳浴びて歩道橋裾のかぎりの自転車群 自分一人いてもいなくてもアイモナク相互誤解の庭先で死んでいくのか 糸ムダばかり鋭さをどうにもできず 涙ながら疾駆する中央分離帯 * * *あっさりと笑顔で向かいあう日なた ホットケーキを鋭角に切る
2006.09.11
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お客さんの視線より低い姿勢で注文をとる。よくある格好だが、ここは変にいやらしいポーズもなく、それが全員さりげなくなされていた。応対がスムーズで心地良いので、イントロとしてはなかなか秀逸。サラダは、最初からシーザー系がかかってやってきた。まずまずの量がある。鮮度の良さがわかるシャキシャキ感。途中でまた、店員氏が低い姿勢をとって、次の品物にソースとマヨネーズをかけていいかどうか、訊いてきた。ほどなくして、そのとんぺい焼がやってくる。これは、豚の端肉を玉子ロールで巻いたものだ。たしかに、きれいな細筋を描いてソースとマヨがかかっている。完全にお好み焼風味なのだが、それでは前菜として出すには重すぎる。さっきのシーザーと味がかぶるので、わざわざ訊いてきた訳である。このへんの気配りもさすがか。 メインの和牛のサーロインステーキがやってきた。添え野菜としてモヤシ・ピーマン・かぼちゃがつく。醤油味とポン酢仕立ての2種類のつけだれが置かれた。ご飯と味噌汁がやってくる。 サイコロ様の肉片だが、これには何もつけなくても充分にいける。やわらかくて甘くてジューシーそのもの。これはたまらない。美味しい肉を食べる、噛む、味わう、そこからあふれ出るエキスも含めて食す、肉系の脂を感じる、旨味を受けとる、滋味を取りこむということが、どれほどありがたくて素晴らしいことなのか。(これまでの人生でイヤというほど分かりきっているはずなのに)今さらながら、またリアルタイムで直に感じてしまう。それが感じられただけでも、このステーキランチは価値がある。エレガンスは、鉄板焼の「ぷれじでんと」とお好み焼の「千房」の両方のいいとこ取りをした新形態の千房だ。簡単にいえば、客単価を上げるためには、肉系食材が必要だというだろう。まだ難波とこの千葉そごうにしか出店してない。様子をうかがいながらの展開になるのだろう。もっと安価なお好み焼・焼きそばを食べたければ、よそでどうぞと割りきっているフシがある。ここは、それら大阪名物を出すこともできる、おしゃれな鉄板焼のお店なのである。「千房エレガンス そごう千葉店」住 所:千葉市中央区新町1000アクセス:千葉そごう10階電話番号:043-203-8580営業時間:11:00-22:30(LO22:00)定 休:千葉そごうに準ずる客 席:カウンター6席/テーブル10卓/利用種別:個人向き/少人数向き/ファミリー向き/グループ向き/メニュー:(平日ランチセット)(1名~/サラダ/お好焼or焼そば)1480/ (平日ランチセット)(2名~/とんぺい焼/お好み焼)1380/ (+エビマヨのセット)1850/ (平日ステーキランチ)(1名より)2980/ ドリンク 200/デザート350/ドリンクプラスデザート450/ (昼・夜) コース(2名より)レディスコース2280/賑2780/ 華やぎ3880/楽(まどい)4380/ (お好み焼き) 千房焼1580/広島焼ミックス1480/ミックス焼1300/ 海鮮焼1300/ねぎ焼ミックス1380/豚もだん980/ もっちり山芋焼1250/黒豚玉1180/ (焼そば) 千房焼そば1580/ミックス焼そば1300/野菜焼そば1300/ ねぎかけ塩焼そば1150/そばロール1080/そばめし750/ (鉄板焼) 特選和牛サーロイン3500/フォアグラと茄子四川風1350/ 地鶏のガーリックオイル焼1350/ゲソの鉄板焼480/ 帆立貝柱の鉄板焼1000/特製エビマヨ1200/ (単品) とんぺい焼550/チーズフォンデュ(2名~)1250/ 鉄鍋餃子 480/ (前菜) 冷しトマト680/極上和牛たたき1200/豆腐600/ まぐろとアボガドのタルタル820/ブルスケッタ600/ (サラダ) お豆腐の薬膳サラダ680/シーザーサラダ680/ プリプリ海老とジャガイモのサラダ780/ (甘み) ミルク豆腐ときな粉黒蜜風味480/わらび餅とアイス500/ 京風寒天のバニラアイス500/ (飲物) エビス樽生530/エビス中瓶600/アイスコーヒー350/ ジンジャエール350/ペリエ400/オレンジジュース400/評 価:☆☆☆☆ (味4/量4/サービス4.5/雰囲気4/CP3.5/駐車場5)
2006.09.10
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2006.09.09
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ヒルトン成田にある「テラス」のランチブッフェに寄らせてもらう。食台は、中央と壁寄りの2箇所。広スペースを生かして、それぞれの料理が余裕を持って配置されている。席はほとんど埋まっているのだが、並んだりせず、自分の好きな品物の前にすぐつける。メニューは洋風主体で、味わいきれないほど豊富な料理のラインナップだ。サラダバー・パンプキンスープ・ソーセージのペンネ・バジルの冷製ペンネ・豆腐のサラダ・牛肉と茸のソテー・フライドポテト・鮭の醤油バター風味・鶏もものローズマリー風味・シーフードカレー・イカのスパイシー揚げ・すずきのホワイトソース・スペアリブ・白身魚のサラダ・チキンフィレ・パン・ライスなどなど。ほとんど洋コースの順番にならって、取りに行く。(欲張らない、欲張らない)と自分にいいきかせるようにして、控え目によそう。スープなど、素性の良さがわかる濃厚な仕立て。あと他では、すずきのホワイトソースがグンを抜いておいしかった。なくなる端から、パンが次々と補給されていく。中では、爽快系のバジルロールが気に入った。料理系の締めを何にするかすこし迷ったが、結局カレーライスにすることにした。しかしこれを締めに持ってくるのはどうなのか。それは自分にとって、寿司の最後をカッパ巻にするのに等しい。会席料理の最後を酢の物で仕上げるのに等しい。酢豚や焼売や炒飯の最終局面を、グリンピースで終わらせるようなものだ。(余談だが。うちの子はこれが大嫌いなので、本当にそういう場面に出くわす)途中に挟まれているからこそ生きる、あるいは物品に紛れこんでいるからこそアクセントになれる。要するに力量不足で主役をはれない役者に、大トリを任せたようなものだ。カレーは主役級なのだが、ブッフェの中では異端児扱いされても仕方ないだろう。そもそもカレー味でしめることが、食生理的にあわない。バイキングでもお決まりのように登場してくる定番だが、私はほとんど相手にしていなかった。はっきりいって、お子様むけに調製したものが多く、とてもオトナの口に合うような代物ではなかったのだ。だがここのシーフードカレーは、かなりいけた。適度にスパイシーで超クリーミー。とろみを少しゆるくして、具材の食感を楽しむようにしつらえてある。逗子の「小海亭」あたりの逸品を連想させた。サラダ用の小ボールにカレーライスを作り、そこにイカのスパイシー揚げをのせる。プチトマトを添えて、粉チーズを振りかける。その場に応じた自己流のアレンジをするのはいつものことだが、連れはこうすることを極端にいやがる。イカフライカレーは最高に行けた。もともとカレーのほうにもイカが入っている。合わないわけがない。もう一杯、半量にして食べる。ここのデザートコーナは充実している。ロールケーキ(白・抹茶)・マンゴーケーキ・ラズベリームース・チーズケーキ・クランベリーケーキ・エスプレッソムース・パンプディングにアイス4種というラインナップ。どれも、間に合わせで作ったのではない、このラウンジ入口で小売しているもののアレンジ版である。アレンジといっても、チョコ製の(HILTON)プレートがつかないレベルのもので、内容的には同じものが供されている。どれを食べても、個性が際立っている。スイーツとしては白眉中の白眉で、料理系はさて置いておいて、メインをこちらにしても悪くないだろう。名もなき100円ケーキ、シャトレーゼの低価格帯ケーキ&月1の300円引券を利用した「オランダ家」のケーキばかりを食している低レベルの身としては、ここで少し食べ溜めをして、イメージだけでもグレードアップしておかねば。遠慮なく何度もいった。当初の(欲張らない)が、すっかり吹き飛んでしまっている。広い窓一面に緑がひろがる。その向こうに成田ビューホテルの建物がのぞいている。いちおう14時までと断ってあるが、それはメイン料理のアウト時間で、もちろんこの先もゆっくりすることができる。飲物は、温かいコーヒー・紅茶以外は別料金となってしまう。ドリンクフリーでないのが、すこし痛いか。9月から、ブッフェに限り子どもを無料にしている。(ただし大人一人につき子ども一人)いつまでこのセールが続くのか訊いてみたが、係の人もよく分からないらしかった。しばらくは続くようである。前掲のホテルニューオータニ幕張の「ザ・ラウンジ」と同じように、ディスプレイ型ブッフェの一つの到達点を示していると思う。本当にゆっくりしたい、いつもの時間の流れから開放されたいときに利用したら最高ではないか。ここは、食の部分以外でも極上のシエスタ空間だ。「カフェレストラン テラス」住 所:成田市小菅456アクセス:ヒルトン成田内 P(多数) 電話番号:0476-33-1121営業時間:(平日)11:30-14:00/17:30-20:30 (土日祝)11:00-14:30/17:30-20:30定 休:無休客 席:テーブル40卓以上(可変)利用種別:個人向き/少人数向き/ファミリー向き/女性向き/グループ向き/メニュー:ランチブッフェ(大人)2100/(シルバー)1800/(小)1050/ ディナーブッフェ(大人)3750/(シルバー)3450/(小)1400/ ホリデーブランチ(大人)3050/(シルバー)2520/(小)1050/ (サービス料別途) (前菜) チキンバスケット1110/冷製牛肉のタリアータ1630/ 生ハムメロン1740/スモークサーモン1740/ (サラダ) コールスロー370/豆腐サラダ840/シーザーサラダ1110/ (スープ) コーンスープ690/ミネストローネ690/ワンタンスープ800/ (サンドイッチ) ベジタブルサンド1220/クラブサンド1640/ミックス1640/ (お子様メニュー) コーンスープ370/甘口ビーフカレー1110/お子様セット1110/ (パスタ) つぶ貝とバジルのペペロン1640/ペンネアラビアータ1740/ ミートソース1740/明太子1740/ラザニア1850/ (ピザ) ミックス1640/ベジタブル1530/シーフードピザ1740/ (メイン料理) 地鶏のグリル和風ソース1950/コルトンブルー2160/ ハンバーグデミグラスソース2370/サーロインステーキ2790/ (和食) 天ぷらうどん1640/豚角煮御膳1950/とんかつセット2100/ 本日の松花堂弁当2350/大海老フライセット2350/ (カレー) ベジタブルカレー1640/チキンコンフィカレー1950/ シュリンプカレー1950/ビーフカレー2160/ (デザート) ケーキ各種430/バニラアイス580/チョコレートアイス580/ フルーツシャーベット580/フルーツクレープ790/ プリンアラモード1050/フルーツの盛り合わせ1950/ (飲物) 国産ビール870/輸入ビール960/ミネラルウォーター550/ カプチーノ690/コーヒー610/紅茶610/(サービス料別途)評 価:☆☆☆☆ (味4/量5/サービス5/雰囲気4.5/CP4/駐車場5)
2006.09.06
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楓さんを連れて「パリ2」に入った。駅前の大通りを見下ろせるガラス張りのティールームである。向かいあってすわる。となりの椅子に、楽譜ファイルとフルートを静かにのせた。私はアイスティーを、楓さんはフルーツパフェを注文した。ここのパフェは、盛りの良さ、豪華さでけっこう評判になっていた。彼女と知りあったのは、ピアノの先生を通じてだった。伴奏者を探しているフルートの子がいるときいた。それから3度くらい合わせて、やっと互いの呼吸というか、間合いが分かってきた頃だった。駅前教室から、表通りのほうに抜けてきた。注文品がそろいでやってきた。彼女は、その大盛りの品物を見て(!)という顔を向けてきた。パフェのほうだけ、空の小さなプレートを添えてある。淡い射光が、口もとをよぎっていた。一度、そのカップの上を、大切なものを両手でおおうような仕種をしてから、椅子を引きよせた。長い髪がやんわり揺れた。瞳がきらめいた。上面に、メロン・西瓜・いちご・パイン・バナナ・オレンジ・キウイ・パパイヤなどが盛り沢山に飾ってある。それはパフェというカテゴリーを越えて、ほとんどフルーツの盛り合わせ状態だった。1口サイズの品はなくて、よくて2口3口。中には半身で入っているものもある。皮へりに沿ってナイフを入れてあるが、皮つき・ヘタつきの仕様が多かった。実は、彼女がこれを注文したときに、はたしてどういう風に食べるのか、興味津々だった。男はみな、最初は素手でこの果物の群れと格闘していた。ひとまわり小さなナイフとフォークを手に持つと、彼女は大柄なパインとか西瓜などを、小皿に移しはじめた。フォークで相手ができそうな小物だけが、カップにそのまま残る。パインを小さくカットして口もとに運んだ。そしてまた一口。ナイフを入れる角度が絶妙なのか、それとも品物の熟し加減が最適なのか。計ったようにスッと切れていく。同じように、フォークの入射角と入射力もうまい具合にいくらしく、すんなり命中する。ミスがなかった。すべらなかった。たまにカップのクリームのほうに手をつける。スムーズさの極地がそこに実現していた。いつも、男子の無骨で不器用なフルーツパフェの食作法ばかりを見ていたので、この対照的な様子がいたく新鮮だった。この品のハンデを全く感じさせず、ほとんどチョコパフェを食べているのと同様にパーフェクトに食べ進んでいくさまは、本当にお見事としか言いようがなかった。16の私は、ただただ見惚れるばかりだった。甘やかな香りが、周りじゅうからやってきていた。やわらかな眼差しのさなかに、一瞬きらめく光がのぞいた。(おいしい)というときに、まばたきが入る。酸味系のフルーツを食べると、口もとをキュンとすぼめた。これ以上かわいい存在はないような気がした。たぶん。そのときすでに、恋に陥ちていたのかも知れない。大切な原風景の一つになっている。もしかするとあのときから私は、進歩も退歩も進化も退化もせず、その場でフリーズしたまま長い年月を漫然と過ごしているのではないか。たまに、そんな気がするときがある。「初恋主義」君は なんて初恋の大事な上にも大事なひとボクはいつでも想っているよだからそのあとの恋は全部 浮気君のことは ずっと覚えているよ恋をして その恋が破れても次の恋をして その恋が破れても結婚して 子どもができても二度目の結婚をして 子どもができても三度目の結婚をして 子どもができても何度結婚して 何人子どもができてもずっと ずっとひとつだけお願いがあるこの先 一生のうち一秒だけでいいボクのことを 強く想ってボクもこの先一生のうち 一秒だけ君のことを 強く想うからそれはデリケートな光となって宇宙のかなたに飛びだしていく互いが互いを想う二本の光軸はやがて 時空を超え億光年の奥底のひっそりした広場でやさしく めぐり逢う透明なリボンを結ぶように相手の夢をいたわるように君は なんて初恋の大事な上にも大事なひとこの場所は 誰にもゆずらないボクのありったけの力できれいに守っていくよいつまでも ずっといつまでも…
2006.09.05
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日にちや曜日や時間を区切った時限系のサービスというのがある。今回はそれを軽くメモ書きしておこう。参考になれば幸いである。思いつくままなので、書き漏れたものは容赦されたし。(ランチサービスまで含めると無限に膨れあがるので、それは除外)(推薦店という意味はないので、その点要注意)(日にち系)○3のつく日(3日・13日・23日)は、ラーメンが333円。「食事処 またの」睦沢町上之郷2699(0475-44-0470)○9のつく日(9日・19日・29日)は九十九の日。決められたラーメンが半額。塩とんこつ・醤油とんこつ・味噌とんこつが月ごとにローテーションしていく。塩とんこつの場合300円。塩とんこつチャーシューが500円。「九十九ラーメン 市原店」市原市五井西6-37-18(0436-24-9951)「九十九ラーメン 木更津店」木更津市東太田3-3-13(0438-98-9970)○8・9・10日はハットの日。持ち帰りピザが半額。味種(デラックス/アイダホスペシャル/シーフードミックス/チーズ&チーズ/ミートパラダイス/韓国風プルコギ)生地種(イタリアンクリスピー/ゴールデンチーズクラスト/ふっくらパンピザ)例をあげると、デラックスM1890→945、L2940→1470。「ピザハット 五井店」市原市五井中央東2-11-1(0436-25-1161)○9のつく日は感謝デー。300円以上のクレープが90円引き。「ウッフ」アリオ蘇我2階(043-209-2521)○11日はラーメンの日。ラーメンが350円。麺類全品100円引き。「中華 新華園」市原市光風台3-543(0436-36-2793)○18日はサービスデー。パイ包みスープコース2100円が1050円。(昼・夜とも有/コースとは内容が少し異なる)「キャセロール」袖ヶ浦市福王台2-12-17(0438-63-5111)○22日はカレー500円が380円に。「バルチックカレー」千葉市中央区本千葉町15-1(043-225-0411)○23日は麺類(指定)が半額。「ラーメン柵々」(さんさん)千葉市中央区新宿町1-10-12(043-246-4950)(曜日系)○月曜日はサービスデー。パイ包みスープコース2100円が1050円。(ランチのみ/祝日を除く/コースとは内容が少し異なる)「キャセロール」袖ヶ浦市福王台2-12-17(0438-63-5111)○月曜日11:30~14:00は板そば630→500円に。「紅の花」千葉市若葉区みつわ台4-16-4(043-284-0089)○火曜日は餃子の日。380円→210円に。「らーめん亭 リトルチャイナ 市原店」市原市古市場594-2(0436-43-7030)○水曜日。回転寿司全皿が210円均一。「旬屋」(ときや)フェスティバルウォーク蘇我1F。○金曜日は均一価格品がある。通常390円品が290円に(ごぼう天うどん・かき揚げうどん・丸天うどん)通常510円品が390円に(海老天うどん、山かけうどん、牛カレーうどん)「ウエスト 市原店」市原市五所字北新田1671-1(0436-40-3303)「ウエスト おゆみ野店」千葉市緑区おゆみ野3-41-3(043-293-6911)「ウエスト 花見川店」千葉市花見川区柏井町1640-6(043-215-2200) 「ウエスト 千葉旭町店」千葉市中央区旭町16-17(043-202-5291)○金曜日は、餃子210円が160円に。「王将 市原店」市原市五所1676-1(0436-41-8351)「王将 君津店」君津市北子安903(0439-55-8690)「王将 千葉寒川店」千葉市中央区寒川町3-90-30(043-268-7566)「王将 稲毛海岸駅前店」千葉市美浜区高洲3-23-2(043-303-1201)「王将 新検見川店」千葉市花見川区花園1-7-21(043-272-1464)「王将 都賀駅西口店」千葉市若葉区都賀3-3-1(043-207-0366)(時間系)○11~12時まで全品20パーセントオフ。「豆富創作料理 茂蔵」アリオ蘇我2階(043-305-0223)○麺類注文の人に。11~12時は牛すじ丼(小)。16~18時は替玉無料。21~22時は棒餃子がサービスされる。「げんこつラーメン 光屋」市原市海士有木574-1(0436-36-0059)
2006.09.04
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鴨川の伊料理店「キッズ」に立ち寄った。屋外にテラス席があり、室内のほうもなかなかしゃれている。窓際の席についた。フィレンツェフローレンスというピザとペペロンチーネ、ティラミスを注文した。同じ都市の名前を二つつなげたよく分からないネーミングのピザだが、サラミメインの品物だった。サイゼリヤのピザは、どこをどう上手く持っても全体的にダラリと曲折してしまうが、ここのは十分に足腰が強かった。端の一部がやや曲折するが、フォークを軽く添えればきちんとした気をつけ姿勢で口もとまで持っていける。ぺペロンは野菜をたっぷり駆使した逸品だった。唐辛子を使っているからといって、それほど辛くない。刺すような痛みは感じず、ちょうどよい度合にコントロールされている。昨今の辛味ブームは異様だろう。美味しさのために辛味があるのではなく、辛味のために辛みがある。何かいったん事を突きつめようとすると、止めどもなく進んでいく日本人の悪癖が、そこにも表出しているような気がする。要するに何にしても(適度)というものを知らず、心得ず、単に(過剰適応)に邁進するばかりなのである。デザートは、正統派そのものの佳品が供された。濃厚さゆえの甘味でたっぷり潤っているが、糖質的な甘味は極力おさえてある。この鴨川でこれだけオーセンティックな一品がいただけるのだから、かなり良しとしなければならないだろう。セットメニューがない。それが、私がたずねたときだけの仕様なのかどうか。単品ばかりでコースを組むと、都会の一流店と同じような価格帯になってしまう。利用者としては、もっとリーズナブルなセットが欲しいと思っているちがいない。またプライス自体、決して安くない。どうしてもそこに寡占の悪癖のにおいがしてしまう。鴨川は気候が温暖で、住む人たちの気質ものんびりしているのだろうか。それにしても、もっと正常な競合と洗練された均衡価格があってしかるべきではないのか。情報が氾濫・錯綜する時代に、それだけが独立して地元民の前に立ちはだかっているという構図は、いかがなものだろうか。実地・現地にプライスリーダーが登場しなければ、それはかなわないことなのだろうか。参考までに触れておくと(今のところ)イオン富津店が、房総半島最南端の「サイゼリヤ」である。「イタリアンレストラン キッズ」住 所:鴨川市横渚1550アクセス:鴨川街道沿い 鴨川警察署近く P(9台) 電話番号:04-7093-4589営業時間:11:30-22:00(LO21:30)定 休:不定休客 席:12卓以上(可変)/個室有/メニュー:(昼) 野原の散歩道1210/ペペロンチーネ1160/ 青じそとパンチェッタ1160/ペンネアラビアータ1260/ ポロネーゼ1260/完熟トマトのパスタ1260/ カルボナーラ1260/からし明太子のフェデリーニ1260/ ゴルゴンゾラチーズのクリームショートパスタ 1260/ 渡り蟹のリングイネ1790/ピザマルゲリータ1260/ ピザプリンセス1370/カタラーナ 400/ (夜) 前菜盛り合わせ1260/ビーフコンソメスープ530/ パン210/ガーリックトースト530/ピザマルゲリータ1260/ ピザプリンセス1370/モンテナポレオーネ1260/ ATGピザ1260/フィレンツェフローレンス1260/ ココパッチャ1370/セット(サラダパンドリンク)650/ 更にデザート付のセット980/ 野原の散歩道1210/ペペロンチーネ1160/ 青じそとパンチェッタ1160/ペンネアラビアータ1260/ ポロネーゼ1260/完熟トマトのパスタ1260/ カルボナーラ1260/からし明太子のフェデリーニ1260/ ゴルゴンゾラチーズのクリームショートパスタ1260/ 渡り蟹のリングイネ1790/金目鯛のアクアパッツア2000~/ 愛さん家の有機野菜サラダ1050/イタリアサラダ1160/ 生ハムのサラダ1260/イベリコ豚の網焼グリル1870/ 仔羊の網焼きグリル1890/牛フィレ肉のステーキ1890/ ティラミス630/パンナコッタ630/ベリータルト480/ クラシックショコラ480/アップルパイアラモード630/ 紅茶のシフォンケーキ480/評 価:☆☆☆☆ (味3.5/量4/サービス4/雰囲気4/CP3.5/駐車場4)
2006.09.03
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アリオ蘇我の「すしざんまい」に入った。じつは8月31日をもって閉店というので、足を伸ばしてきたのだった。今回はメニューも見ずに、いままで試してなかった(よろこび)を注文する。まさか、というのが実感である。まさかこのお店が撤退するとは思ってもみなかった。だからこの夏、東京ベイ幕張で「つきじ喜代村」のまぐろ賞味会(解体ショー付)があると聞いても、食指が動かなかった。それなら、いつでも蘇我で食べられると思ってしまったのである。はたしてどんな経営判断があったのだろうか。どう考えてみても大変な1年半だっただろう。開店から9ヵ月のあいだに2度の5割引セールを試験実施。2006年初頭から、4割・5割引きという新価格で勝負に出た。それも8ヵ月続けてみたが、今回(撤退)という結論にいたった。前掲でいろいろ書いたが、正直ここの店はかなり重用していた。レポ後も78回は入っている。1貫から気軽に頼めるし、セットも幅広く用意してある。どれも回転寿司のような低価格で、ネタは専門店にひけをとらない。アイドルタイムも開いていて、夜も10時半まで長くやってくれる。ここのテナントの中で、利用しやすい店NO1だと思っていた。(ちなみにこの価格は、蘇我店だけの特別戦略価格である)(よろこび)が目の前にやってくる。これが、ラーメンより安い620円なのだ。そうとう無理をしていたんだな、と1貫ずつしみじみゆっくり食べすすめた。混雑率は20%くらい。いくら平日の夜だからといって、これでは厳しすぎないか。安い床屋は、常に待ち客がいるからこそ、あの値段で出来るのだという。コマは回り続けなければ、傾斜し、やがて止まるだけだ。ここの代わりが出来る店を思い浮かべようとしたが、どうしても思いあたらなかった。この喪失の穴は意外に大きいかも知れない。単にアリオ蘇我からの1店舗の撤退にとどまらず、もっとマクロ的に考える必要があるだろう。リーズナブルでネタが良いこの店でアウトなら、他にどんな店が出てきても無理な気がしてしまう。勘定のとき(どうしても閉店するんですか)と訊くと、小声で(ええ)と頷いてきた。このあとのテナントについてたずねたが、よく分からないらしかった。(たぶんお寿司屋さんだと思うんですけど)たしかにそれなら、内装に金をかけずにできるだろうが…。最後のジョーカーまで出し切ったこの店の残像もあるのだから、この後釜はもっと大変な思いをしてやっていかねばならないだろう。通路に出て、そのむかいの中華店「胡弓楼」のほうに行くと、入口に貼紙がしてあった。9月10日をもってここは閉店し、18日から「蕎麦処いろり」がオープンすると書いてあった。「つきじ喜代村 すしざんまい」住 所:千葉市中央区川崎町7-20アクセス:蘇我駅海側 国道357号 アリオ蘇我2階 P(多数有) 電話番号:043-305-1421営業時間:11:00-23:00(LO22:30)定 休:アリオ蘇我に準ずるメニュー:特選すしざんまい1620/店長おすすめ1180/ みやび880/よろこび620/ 極上鉄火丼780/づけ丼780/ちらし丼880/ 上あなご248/中トロ198/えんがわ98/帆立98/ 茶碗蒸し300/鯛のかぶと焼600/ざんまいサラダ680/ お通し210/かに汁350/貝汁150/生ビール473/評 価:対象外(2006年8月31日 閉店)前掲での「すしざんまい」~ヨーカ堂内で生きるということ~
2006.09.01
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