おいしい　千葉　～ponの食べある記～

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ちょっと見、ジャズでも流しているような店構えをしていたが。中にはいると、大衆食堂然とテレビが流れていた。

メニューは数多くない。塩、塩のつけ、坦々にシンプルな醤油。かなり熟考して、しぼってあるのだろう。塩そばの全部のせを注文する。

わりあい大柄な丼でご登場となった。中のボリュームがどうあれ、外装の器は大きいにこしたことはない。額縁にたとえるなら、周縁を幅広くとった額縁といえるだろうか。貧相でないのが良い。（面がまえだけでも）みじめっぽくないのが良い。手にしたときの重量感が心地良い。

量としては、正直少ないほうだろう。替え玉１玉まで無料となっているが、それなら最初からその分を入れて欲しくなってしまう。

澄みきったスープは、仕事のていねいさをきちんと反映しているのか。塩味だけれど、しっとり甘い。魚介系、肉系、野菜系。それぞれの旨みの精髄を濾過して凝縮させ、それをミネラル系の岩塩で割ったような甘み。目を細めてみると、わずかにサフランでも混ぜたような色合いに映った。もっと目を細めてみると、極薄いローズピンクのような色合いに見えてしまう。

あっさりも、ここまで達すれば至芸の域といえるかも知れない。マイルド系塩スープの亀鑑のような出来栄えを呈していると思う。ほとんど十全なる満足感をもって、店をあとにした。

道をとってかえすと、先ほどの橋をまた渡った。その先で左折して、河口のほうに出てみる。

九十九里浜の末端から風にのり、出島風に出張してきたかのような、ごくごく小さな砂浜が広がっていた。そこを分け入るように、わずかな水量の川が、何事もない日常茶飯事的な平穏さで平板に注ぎこんでいる。

せっかくの最終曲面だというのに、この物寂しさはいったい何なのだろう。高低差のほとんどない房総丘陵のゆるやかな斜面をすべってきた水たちは、劇的な要素の一欠片さえ持たされず、眼前の太平洋に簡素に注ぎこむ。川幅も広がらず、水量も増さず、ただもう陸地の尽きる場所が来たからと、事務的にカットされたかのようだ。

私はしばらくの間、潮風にあたって、この寂寥とした川の注ぎ口を見つめていた。

「三軒屋」
住　　所：いすみ市岬町江場土２２１７－２
アクセス：国道１２８号沿い　Ｐ（１５台くらい）
電話番号：０４７５－３２－３３３８
営業時間：１１：３０－１４：３０/１８：００－２２：００/（平日）
　　　　　　　１１：００－２２：００/（土日祝）
　　　　　　　※スープがなくなり次第閉店/
定　　休：木曜日
客　　席：カウンター席/テーブル４卓/
利用種別：個人向き/少人数向き/家族向き/グループ向き/
メニュー：（ラーメン）
　　　　　塩そば７００/塩そば三軒屋９５０/塩つけそば７００/塩つけ三軒屋９５０/
　　　　　（替玉１玉まで無料/替玉２玉目から１００）
　　　　　坦々麺８００/素そば５００/
　　　　（トッピング）
　　　　　全部のせ３００/あぶりチャーシュー３００/玉子１００/地のり１００/
　　　　　ねぎ１００/青梗菜１００/にら１００/
　　　　（単品）
　　　　　特製水餃子４００/炙りチャーシュー３００/地のり丼３００/ライス１５０/
　　　　　たたき飯３００/地のりたたき飯４００/チャータマ丼６００/
　　　　（デザート）
　　　　　杏仁豆腐３００/
　　　　（飲物）
　　　　　エビス生４５０/ウーロン茶２００/オレンジジュース２００/
評　　価：☆☆☆☆
　　　　（味４．５/量３．５/サービス４/雰囲気３．５/ＣＰ４/駐車場５）

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