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2006.11.20
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カテゴリ: アメリカ映画





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  初めて観るジョン・カサヴェテス作品でした。
久しぶり、完全にノックアウトされた鑑賞後。こんな風に人の内面を、こんな風な切り口で見せてくれる作品は珍しいのではないでしょうか。
ある労働者階級の一家に起こった、妻であり母であるメイビルの精神の乱れを、取り巻く周りの人々や日常の中に描いた傑作でした。


カサヴェテスの妻であったジーナ・ローランズの演技には目を見張るものが。
上手く感情をコントロールできずにいるメイビルは、顔や手足が小刻みに動き、始終落ち着きがなく、ヒステリーの発作に苛まれています。
ジーナは演技を超えたものを感じるくらいの力演。
彼女あって、ピーター・フォークあっての傑作といえそう。


以前の妻とはいっても、それを見られるシーンなどなく、始まりから終わりまで一貫してメイビルの心の病は続きます。
その理由さえも語られることなく、ただ後半わずかに登場する無関心そうな彼女の父親に、何らかの関係を思わせる台詞がひとつ。
「パパ、私のために立ち上がって・・」と。
父親は無意識で席を立ちますが、彼女の意図した気持ちにはなにも気づかず、「意味がわからん」を繰り返すだけ。
立ち上がるというのは、何かをするために腰を上げて動き出すこと、彼女はその無関心のことを言っていたように見えたシーンでした。


――とはいっても、ここがあまり重要ではないのがこの作品のすごいところではないでしょうか。
普通の映画なら、こころの病が癒えたときの感動を謳いあげたりしがちかもしれません。
けどこちらは、とりあえず愛し合う一組の夫婦がいて、幼い3人の子供たちがいて、夫の同僚たちがいる。周りには親族が、ドクターが、親友らがいる。
みんなで一人の女性の病に振り回されて、夫婦の勝手にも振り回されて、幾度も気まずい中に置かれていくのに、繋がりが一切切れることなく、どうにかなっていく登場人物たちの柔軟さにこそ面白さがあります。
ズバっとものを言う西洋の良い面を存分に楽しめ羨ましくもなる人間ドラマでありました。



こわれゆく女

日常にあるさりげないカットがドキュメンタリーみたいにリアルで生々しい。

そこに描かれていくからこそ、とても身近な、人の営みの妙を存分に味わえる作品になっているのかもしれませんね。


作業員が歌うプッチーニのオペラ、存在感たっぷりの情緒あるピアノ曲。
訳もなく沁みるシーンに溢れていて、目が離せませんでした。
正気とは思えない短いスカートを履いて、右往左往しているメイビルが痛々しいのだけど、子どもたちを傷つけ不安にさせてもなお、心から愛している母親としての顔が、ほんとうに印象に残ります。
まわりの人々が、そんな彼女を愛していることを感じるのが、何よりとてもよかった。

イライラにヒステリーに、暴力に怒鳴り声。とんでもなく不快な映画のはずなのに、感じるのが「愛」であるこの作品はまさに傑作かも。
監督をはじめとする作り手たちの手腕以外のなにものでもありません。


こわれゆく女

半年間の入院を経て、久しぶりに自宅へ帰ったメイビルは、神経質になっている親戚家族の面々に戸惑いながらも、必死に自分を抑えて耐えます。
しかし、張り詰めていた糸がブツリと切れた時、再会もパーティも、突然の彼女の奇行でお開きに。
来客をみんな帰して、家族5人残された家では、壮絶な狂乱のはじまり。
幼い子どもたちも巻き込んで、怒鳴り狂う父、血を流す母。
それが愛と確認して静まった時、嘘のような静寂と幸福の時がやっとこの家族に訪れるのでした――
ただ愛する夫とふたり。誰にも邪魔されないで過ごすことができれば、心穏やかになるメイビル。
人の心の脅威を超えた微笑ましさが、ただただ余韻となって心地よく漂う愛のあるラストシーンなのでした。 



死ぬまでに観たい映画1001本



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監督  ジョン・カサヴェテス
製作  サム・ショウ
脚本  ジョン・カサヴェテス
撮影  マイク・フェリス 、デヴィッド・ノウェル
音楽  ボー・ハーウッド  
出演  ジーナ・ローランズ 、ピーター・フォーク
     マシュー・カッセル 、マシュー・ラボルトー
     クリスティーナ・グリサンティ 、ニック・カサヴェテス






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Last updated  2007.08.29 17:44:25
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